バットをやや短く持ち、右に左に器用に打ち分けるシェアな打撃が魅力の山本泰寛選手。
日本シリーズでの痛恨のエラーが記憶に新しいですが、守備力は決して低い選手ではないので、2019年に得た経験を活かして、2020年は打撃、守備の両面でレベルアップを果たして、レギュラー取り出来るか?
今回、山本選手の過去の成績やデータを見ながら、課題や期待するポイントをまとめていきます。
山本泰寛選手のプロフィール
最初に山本選手のプロフィールですが、
出身校 | 慶応高→慶応大 |
身長 | 176センチ |
体重 | 76キロ |
高校2年の時にピッチャーからショートへ転向、秋にはピッチャーも兼用するようになりましたが、甲子園の出場経験は無し。
大学に進学後、1年から活躍、2年にはショートのレギュラーを獲り、通算78試合出場、打率.261、7本塁打18打点、6盗塁の好成績を収めた事でスカウトの目に止まり、2015年ドラフト5位で巨人に入団しています。
ちなみに、4年秋には東京6大学野球リーグのベストナインに選ばれています。
当時のスカウト評では、
「守備力は安定していますし、打撃も小柄ながら実戦的。坂本選手を脅かすような選手になってくれると思っています」
と言われていますが、ショートでの起用は少なく、主にセカンドを中心にバックアップ要因として起用され続けています。
山本泰寛選手の主な打撃成績
次に、山本選手の打撃の成績ですが、
試合 | 打席 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁刺 | 四球 | 三振 | BB/K | 打率 | 長打率 | 出塁率 | OPS | |
2016 | 27 | 86 | 20 | 0 | 2 | 0 | 1 | 2 | 20 | 0.10 | .256 | .346 | .275 | .621 |
2017 | 29 | 83 | 12 | 1 | 7 | 1 | 0 | 9 | 18 | 0.50 | .182 | .258 | .289 | .547 |
2018 | 38 | 120 | 26 | 0 | 3 | 2 | 0 | 13 | 19 | 0.68 | .255 | .314 | .350 | .664 |
2019 | 92 | 212 | 41 | 2 | 10 | 2 | 0 | 22 | 51 | 0.43 | .232 | .339 | .340 | .679 |
守備固めで出場する事も多いですが、2019年は吉川尚輝選手の怪我の影響で、セカンドが日替わり状態でしたので、山本選手が一時期固定して起用される事もあり、出場機会を大幅に伸ばしています。
しかし、選球眼の指標になるBB/Kが低い数字のため、山本選手のように小柄なタイプの選手にしては淡白な印象を与える可能性が高いと言えそうです。
山本選手の場合は、四球数が少ない割に、三振数が多いですが、2019年のボールとストライクの見極め、見逃し、空振り率をそれぞれ出してみたところ、
ボール球見極め率 | ストライク見逃し率 | ストライク空振り率 |
75.12% | 33.74% | 10.29% |
となっていて、セ・リーグで同タイプに近いセカンドのレギュラーと比較してみると、
ボール球見極め率 | ストライク見逃し率 | ストライク空振り率 | |
中日ドラゴンズ 阿部寿樹 | 71.26% | 30.95% | 6.95% |
阪神タイガース 糸原健斗 | 80.34% | 45.32% | 2.99% |
ストライクに対するコンタクト率の低さが課題なのが明白です。
ストレートへの対応が課題
また、もう一つのデータを見ておきたいのが、球種別割合ですが、
球種 | 打率 | 打数 | 安打 | 安打率 | 本 | 四死 | 三振 | 三振率 |
ストレート | .247 | 73 | 18 | 24.66% | 1 | 18 | 24 | 32.88% |
シュート | .429 | 14 | 6 | 42.86% | 0 | 1 | 3 | 21.43% |
カットボール | .353 | 17 | 6 | 35.29% | 0 | 1 | 5 | 29.41% |
スライダー | .167 | 30 | 5 | 16.67% | 0 | 1 | 4 | 13.33% |
チェンジアップ | .308 | 13 | 4 | 30.77% | 1 | 0 | 3 | 23.08% |
フォーク | .125 | 16 | 2 | 12.50% | 0 | 0 | 8 | 50.00% |
カーブ | 0 | 14 | 0 | 0.00% | 0 | 0 | 4 | 28.57% |
ストレートへの対応に課題があり、追い込まれてからスライダーやフォークで三振というケースも多いのもデータ上から読み取れます。
特に、速いストレートに空振りするケースは中継を見ていても多かったので、巨人の若手選手の課題である「強いボールに対しての対応力の低さ」は山本選手の課題となります。
山本選手が当初起用された時には、打率.300を超え、出塁率も.410をキープする事もあったのが、どんどん失速しています。
この事について、井端氏も
「試合に出始めた1カ月前と比較して、粘れてはいるものの、少しずつタイミングが遅れ始めています。これは山本が打撃を崩すときのサイン」
とコメントした通り、年間通して高いパフォーマンスを発揮できるように、速球への対応力を高めなければ、レギュラーの座は獲れないという事でしょう。
山本泰寛選手の守備力は普通も印象が悪い
次に、山本選手の守備ですが、ドラフト時には堅実な守備やスローイングの正確さは定評がありましたが、
試合数 | 刺殺 | 捕殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 |
48 | 103 | 132 | 5 | 31 | .979 |
失策が5つと、大事なところでエラーをしている印象も残っています。
実際、井端氏も5月の時点から
「スローイングが気になります。下を使い、相手に向かって投げることが基本なのに、いまは上半身だけ。しかも投げた後、しっかりとターゲット方向に指が向くのではなく、例えば一塁送球ならライト方向に流れてきています。余裕のあるときならば隠せますが、目いっぱいのプレーのときにどんなミスにつながるか」
と試合に出場する事に「慣れて」きて、基本がおろそかになり始めている点を指摘しています。
1年活躍してもレギュラーではなく、2年、3年と続けなければ真のレギュラーにはなれませんので、厳しい意見かもしれませんが、ライバルは沢山いますから、少しだけ活躍しても、周りの評価は上がらない・・
という事を、今回身にしみて感じたのでは無いでしょうか。
この日本シリーズでのエラーの事を忘れず、基本に忠実に堅実なプレーを心がけて欲しいですね。
山本泰寛選手の年俸と背番号の推移
続いて、山本選手の年俸と背番号ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2020年 | 2600万円 | 56 |
2019年 | 1850万円 | 56 |
2018年 | 1800万円 | 56 |
2017年 | 1280万円 | 56 |
2016年 | 800万円 | 56 |
入団以降、背番号の変更はありませんが、年俸は少しずつ上がっていき、今オフには2000万円を突破し、活躍が認められています。
しかし、レギュラー獲りを目指すのであれば、今年は課題が明確になった年ですし、繰り返しになりますが、日本シリーズで一番悔しい思いをしたのは山本選手だと思いますので、来季は納得のいく成績で年俸アップしてほしいと思います。
2020年の山本泰寛へ期待するポイント
ここまでデータや成績から山本選手の課題をあげてきましたが、相手から研究するまでは打率、出塁率共に好調な時期もありました。
出場機会が増えて、身体に疲れが出たところもあると思いますが、レギュラーで出続けるための体力をつけて、2019年シーズンの経験を活かせば、今年以上の成績は期待出来ると思います。
幸い、セカンドのレギュラーは、吉川尚輝選手がいても、いつ怪我をするか分からない・・という不安要素があるので、全試合も難しいかもしれませんので、山本選手も控えとして一軍に帯同できれば、チャンスは巡ってくるはずです。
特に、右方向にも打てるバッティングは、チームバッティングが必要な時が必ずやってきますので、「第二の井端弘和」を目指して、チームに信頼される選手に成長してほしいと願っております。
ライバルはたくさんいます。