2019年飛躍のきっかけを掴んだか?と思われた若林晃弘選手ですが、セカンドのレギュラー奪取まではいけませんでしたが、一定の成績を残し、セ・リーグ優勝に貢献しました。
2020年に向けての課題は、打撃と守備両面のさらなるレベルアップが必要になりますが、過去の成績やデータから、若林選手がどんな選手なのか?またこれから先の期待するポイントをまとめていきます。
若林晃弘選手のプロフィール
最初に、若林選手のプロフィールですが、
出身校 | 桐蔭学園高→法政大→JX-ENEOS |
身長 | 180センチ |
体重 | 77キロ |
父・若林憲一氏は、元大洋ホエールズの外野手、主に代走や守備固めで出場し、1981年引退の年には2軍兼任コーチも受けていました。
高校時代は、1年夏の県大会からベンチ入り、投手と外野手として活躍。2年からはショートでレギュラー獲り、楽天イーグルスの茂木栄五郎選手とクリーンナップを組むも、甲子園への出場は叶わず。
法政大学では3年秋にセカンドのレギュラー獲り、リーグ通算打率.267、4本塁打、20打点、10盗塁の成績を残すもドラフトにかからず。
社会人野球JX-ENEOSへ入社後は、1年目からレギュラーとして活躍、社会人日本野球の内野手として選ばれるなど頭角を表し、2017年ドラフト6位で巨人入りしています。
当時のスカウトは、
「本職はセカンドだが、内野がどこでも守れる選手。バッティングは両打ちで、ともにスイングに癖はなく、しっかり振り切ることができる」
とコメントしており、スイッチヒッターで右打席の方がパワーがあると評価、遠投120m、50m5秒8という俊足で、内外野の守備がこなせるという事で、ユーティリティ性の高い選手として評価されていました。
若林晃弘選手の主な打撃成績
次に、若林選手の打撃に関する成績を見ていきたいのですが、まずは2軍での成績からですが、
打率 | 試合 | 打席数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 四球 | 三振 | BB/K | 出塁率 | 長打率 | OPS | |
2018 | .303 | 67 | 284 | 71 | 7 | 36 | 7 | 28 | 39 | 0.72 | .390 | .462 | .851 |
2019 | .276 | 49 | 170 | 40 | 3 | 17 | 8 | 22 | 28 | 0.79 | .375 | .393 | .768 |
出場数は20試合ほど少ないですが、本塁打、打点ともに成績が落ちていますが、KK/Bは向上、三振数が減っているのは評価できます。
また、持ち味の俊足を活かした盗塁も磨きがかかっているので、評価できます。
また、打率が.030下がってはいますが、出塁率の落ち込みはそこまで無いため、長打や安打を求めず、出塁を重視し、塁上からプレッシャーをかける選手になろうというイメージが見えてきます。
続いて、1軍での成績ですが、
試合 | 打席 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁刺 | 盗塁成功率 | 四球 | 三振 | BB/K | 打率 | 長打率 | 出塁率 | OPS | |
2018 | 17 | 19 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 0.17 | .056 | .056 | .105 | .161 | |
2019 | 77 | 273 | 56 | 5 | 21 | 11 | 2 | 84.62% | 32 | 51 | 0.63 | .239 | .350 | .335 | .685 |
吉川尚輝選手の怪我から、セカンドのレギュラーが不在となり、日替わり状態だったところを交流戦あたりから若林選手が台頭、結果的に77試合の出場まで伸ばしています。
交流戦を終えるあたりまでは、打率.300近くをキープ、一番バッターを任されるほどの活躍でしたが、後半戦になるにつれて失速、最終的に打率が.240を切ってしまったあたりに課題は見えます。
例えば、BB/Kですが、二軍でも0.79と決して高くはない中で、一軍で0.63と数値が落ちています。
特に、後半戦は相手チームもデータが取れはじめたので、凡退を繰り返す事も多かったですし、ツースリーのカウントから粘れず三振・・という場面も数多く見られましたので、なんとか粘って三振を減らしてほしいところです。
若林選手のIsoDは一流打者に並ぶ数字?
続いて、選球眼を示すセイバーメトリクス「IsoD」を見ていきたいのですが、2軍でのIsoDは
2018年 | 0.086 |
2019年 | 0.099 |
0.1を超えれば一流打者と言われる中で、ファームではそこそこの数値を見せていますが、1軍では
2019年 | 0.100 |
セ・リーグランキング7位の丸佳浩選手の0.1と同数字を残しています。
IsoDは、出塁率から打率を引いて算出しますが、若林選手の場合は、打率が.239と低いですが、出塁率は.335と高く、四死球で出塁を増やせるバッターです。
三振が多いため、選球眼が悪いと見られがちですが、実は四死球をもぎ取ってでも出塁しようというファームでやってきた事を一軍でも出来る事を証明しています。
ちなみに、同タイプの吉川尚輝選手の2018年の成績と比較すると、
試合 | 打席 | 安打 | 三塁打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁刺 | 盗塁成功率 | 四球 | 三振 | BB/K | 打率 | 長打率 | 出塁率 | OPS | |
2018 | 92 | 355 | 80 | 3 | 4 | 29 | 11 | 4 | 73.33% | 19 | 61 | 0.31 | .253 | .361 | .304 | .665 |
若林選手の方が出塁率が高く、BB/K、四球数ともに上回っており、一番バッターとしての適性がある事もデータ上では見えてきます。
若林晃弘選手のBABIPは打率を上回る?
次のセイバーメトリクスですが、「BABIP」を紹介しますが、この数字はホームランを除く、グラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合を数値化していますが、足の速い選手の場合はBABIPが打率よりも上がる傾向があります。
若林選手のBABIPと打率を比較すると、
BABIP | 打率 |
.275 | .239 |
と足の速い選手なりの特徴が出ていて、出塁率の向上にも繋がっているとみられます。
若林晃弘選手の主な守備成績
続いて、若林選手の守備に関する成績ですが、
試合 | 刺殺 | 捕殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 | |
セカンド | 58 | 123 | 141 | 9 | 26 | .967 |
サード | 17 | 6 | 20 | 0 | 3 | 1.000 |
2019年の1軍で主に内野手として出場していますが、セカンドのエラー数が「9」と多いです。
試合数でのエラー率を計算してみると、6.44となりますが、2019年のセ・リーグ他球団のセカンドと比較すると、
試合数 | エラー数 | エラー率 | |
山田哲人 | 142 | 8 | 17.75 |
菊池涼介 | 138 | 10 | 13.80 |
阿部寿樹 | 117 | 3 | 39.00 |
柴田竜拓 | 89 | 1 | 89.00 |
糸原健斗 | 124 | 4 | 31.00 |
山田哲人選手や菊池選手ほど試合に出場している選手であっても、10試合に1回もエラーがないのに対して、若林選手は6試合に1度はエラーが出る可能性があるという事で、守備力の向上は課題です。
また、井端弘和氏がコメントとして
セカンドのポジションが秋山選手、源田選手、外崎選手のときでも同じポジションにいるのが気になりますね」
と言っている通り、守備位置を配球や打者の傾向によって変更していないところは、吉川尚輝選手と大きな違いで、守備範囲が狭くなってしまうので、これからデータだけでなく、試合勘を養って伸ばしてほしいところですね。
若林晃弘選手の年俸と背番号
次に、若林選手の年俸と背番号の推移ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2020年 | 1900万円 | 37 |
2019年 | 880万円 | 60 |
2018年 | 800万円 | 60 |
1軍での活躍が認められ倍額の1900万まで年俸を上げていますが、前出の吉川尚輝選手の場合は、2018年オフには1300万が2800万へと上がっています。
全体的なデータを見れば、若林選手と大差が無いように思えますが、
- 吉川選手のほうが守備での評価が圧倒的に高いという事
- ドラフト1位でそもそものスタートが違うという事
この2点の評価が、モロに出ているような印象です。
2020年は背番号も37へ変更になり、首脳陣からも期待されていますので、吉川選手の評価を覆す事が出来るか、楽しみにしています。
2020年の若林晃弘選手に期待するところ
ここまで、打撃と守備に関するデータを基に、若林選手の事を紹介してきましたが、
- 打撃で言えば、シェアなバッティングで打率.270以上にアップ
- 守備で言えば、守備位置とエラーを減らして安定の守備力を付ける
この二点に集約されますが、吉川尚輝選手とのセカンドのレギュラー争いとなると、守備力ではなかなかアピール出来ませんので、総合力で勝負する力を付けなければなりません。
特に、打撃面で.270以上の打率を残す事ができれば、出塁率は.370以上、盗塁数も20前後が見えてきますので「機動力を使った野球」が出来るようになり、チームの幅が大きく広がります。
盗塁成功率で言えば、増田選手、重信選手についで高い成功率がありますし、代走での起用も考えれば、若林選手のユーティリティ性はアドバンテージになるはずです。
吉川尚輝選手の奮起に期待したいですが、怪我が怖い選手で、年間通して高いパフォーマンスを発揮できるか分からないので、若林選手がバックアップ出来るとなれば、巨人はますます強くなります。
若林選手が、2020年も東京ドームで大暴れして、応援歌の通り、巨人に勝利の旋風を巻き起こしてくれる事を期待したいと思います。
以上、若林選手に関するまとめでしたが、今後も新しい情報が出れば、随時更新していきたいと思います。
内野のライバルです