2019年空き番だった背番号26への変更が内定している高橋優貴投手。
2018年ドラフト1位なので、もちろん期待はしていたのですが、筆者的な感想は「成績よりも、期待以上のポテンシャルの高さがある」と見ていて、2020年以降の活躍が楽しみな選手です。
今季は5勝しかあげていないですが、持っているポテンシャルを発揮すれば二桁勝利どころか最多勝争いも可能だと思います。
そんな、高橋投手の魅力や2020年に向けての課題を、過去の成績やデータなどを紹介しながら考察していきたいと思います。
高橋優貴投手のプロフィールと成績
まずはじめに、高橋投手のプロフィールですが、
出身校 | 東海大菅生高→八戸学院大 |
身長 | 178センチ |
体重 | 82キロ |
高校時代は1年からベンチ入りで活躍するも、甲子園は未出場。出身は茨城県ひたちなか市ですが、阪神タイガースのファンだという事でも知られています。
余談ですが、その阪神タイガースに対してメルセデスと共に「虎キラー」として活躍していますので、皮肉なものですね・・・
八戸学院大学に進学し、北東北大学リーグで通算20勝、西武ライオンズの多和田真三郎が持っていたリーグ最多奪三振記録を更新、通算301奪三振と「東北のドクターK」としても知られるようになりました。
身長が178センチと大きくはありませんが、左のスリークォーターから最速152キロのストレートと独特の軌道を描くスクリューが持ち味で、プロでも高い奪三振率を誇っています。
高橋優貴投手の主な成績
ここで高橋投手の主な投手成績を確認いただきたいのですが、
年度 | 登板 | 勝利 | 敗北 | 勝率 | 投球回 | 四球 | 三振 | 防御率 |
2019 | 18 | 5 | 7 | .417 | 93 | 48 | 89 | 3.19 |
四球率と奪三振率を計算したところ
- 四球率は、4.16
- 奪三振率は、8.61
となっています。
観戦していて、2-2など追い込んで良いカウントまでは持ってくるのですが、そこから決め球のスクリューやスライダーの精度が悪く四球を出すケースも多かったので、四球率が高いのはなんとなく分かっていましたが・・
ちょっと高すぎますよね・・
逆に、特筆すべき能力が「奪三振率」です。
2019年の100回以上投球したピッチャーの中では、阪神タイガースの高橋遥人投手の10.26、投球回順では上位ベスト10だと以下の通り。
投球回 | 奪三振率 | |
大野 雄大 | 177 2/3 | 7.9 |
大瀬良 大地 | 173 1/3 | 7.06 |
西 勇輝 | 172 1/3 | 5.85 |
柳 裕也 | 170 2/3 | 7.7 |
今永 昇太 | 170 | 9.85 |
山口 俊 | 170 | 9.95 |
小川 泰弘 | 159 2/3 | 7.44 |
ジョンソン | 156 2/3 | 7.58 |
青柳 晃洋 | 143 1/3 | 6.28 |
床田 寛樹 | 139 2/3 | 6.51 |
上位ベスト10の投手の中でも高橋選手の8.61は「平均以上」のため、四球でピンチを広げても三振で切り抜けるというピッチングで、ピンチを切り抜けてきたんだと思われます。
その証拠に、被打率が驚異の.195と、投球回上位10位の選手と比べても
被打率 | |
大野 雄大 | .235 |
大瀬良 大地 | .260 |
西 勇輝 | .283 |
柳 裕也 | .269 |
今永 昇太 | .201 |
山口 俊 | .208 |
小川 泰弘 | .268 |
ジョンソン | .224 |
青柳 晃洋 | .260 |
床田 寛樹 | .240 |
圧倒的に打たれない確率が高い事が分かります。
QS達成率が低いのでイニング数を投げれていない
今年の高橋選手は、セイバーメトリクスの指標の一つ、QS(クオリティースタート)の達成が8回、「達成率44.44%と低い」事が数字で出ています。
つまり、先発投手として早い回に降板する事が多い事が予想されますが、おそらく四球率と奪三振率が高い事とも関係していると思います。
球数を考えると、四球を出すという事は球数を消費しますが、三振を奪うという事も球数の消費が激しくなります。
そのため、打たれはしていないですが、体力が消耗している事もあって、早めの交代をされている事が多く5回までで交代する事も多いという事です。
セイバーメトリクスから見る高橋優貴選手の特徴
さらに深堀りして、セイバーメトリクスの数字を紹介したいのですが、
得点圏被打率 | RSAA | FIP | WHIP |
.113 | 10.11 | 4.84 | 1.27 |
得点圏被打率ですが、投球回数が規定回数未満ですが、セパ両リーグのベスト10と比べても
得点圏被打率 | |
千賀 滉大 | .146 |
有原 航平 | .181 |
ジョンソン | .203 |
今永 昇太 | .211 |
大野 雄大 | .225 |
柳 裕也 | .228 |
山口 俊 | .230 |
西 勇輝 | .236 |
山本 由伸 | .248 |
山岡 泰輔 | .252 |
と千賀投手よりも「得点圏で打たれない投手」という事になります。
さらに、
- RSAA(登板時に平均的な投手に比べてどの程度失点を防いでいるかを示す指標)においては、防御率セ・リーグ10位の大瀬良大地投手の10.21程度の数字。
- FIP(投手の真の防御率を示す指標)においては、防御率セ・リーグ10位の小川泰弘投手の4.30に近い数字。
- WHIP(投球回あたり与四球と被安打数の合計を指標)においては、防御率セ・リーグ6位の青柳晃洋投手の1.30に近い数字。
とイニング数は違いますが、一流投手の近似値を出していますので、先発投手としてのポテンシャルは相当高いと思っています。
左右の打者の違いを苦にしない
その他に、左右別の被打率を見ても、
右 | .231 |
左 | .176 |
と左に対してもアドバンテージを発揮し、右に対しても外に逃げるスクリューを効果的に使えているのか、被打率は低く抑え込めています。
ライバル球団の高橋投手の数字は・・
ちなみに、個人的に同じようにポテンシャルの高い投手として他球団で注目している阪神タイガースの高橋遥人投手の数字ですが、
QS | QS達成率 | 得点圏被打率 | RSAA | FIP | WHIP |
10 | 55.56% | .323 | -3.99 | 2.89 | 1.40 |
クオリティースタートはまずまずですが、得点圏被打率とRSAAに大きな特徴が出ていて、3勝9敗と大きく負け越している理由は、ここにあると思います。
高橋優貴投手に比べると、「勝負どころでの集中力の差、打たれない工夫が必要」な投手だと言えますが、同じ左の本格派の先発投手では力があると思いますので、近い将来二桁勝利あげてもおかしくはないかと思います。
高橋優貴投手の球種と投球割合
次に、高橋投手の球種と投球割合をまとめてみると、
投球割合 | 被打率 | 奪三振 | 空振率 | 見逃率 | |
ストレート | 50.33% | .246 | 22 | 3.90% | 19.83% |
スライダー | 28.46% | .244 | 34 | 13.15% | 19.83% |
スクリュー | 17.77% | .096 | 33 | 19.06% | 10.37% |
カーブ | 3.39% | .000 | 0 | 10.53% | 26.32% |
カットボール | 0.06% | .000 | 0 | 0.00% | 0.00% |
とストレートの平均球速が144キロ前後、スライダーとスクリューのコンビネーションが大きなウエイトを占めていますが、
- 右打者には膝下のスライダーと外角へ落ちるスクリュー
- 左打者には外へ逃げるスライダーと内角のストレートやスクリュー
で抑えています。
ただ、決め球のスクリューやスライダーですが、「高めに浮く事が多い」ので、粘られたり、四球になったり、痛打されることもあるので、低めの制球はこれから磨かないとプロでは通用しなくなってきますので、オフにしっかりとトレーニングを積んでほしいところですね。
オフには新球のマスターも検討しているそうですが・・
ちなみに、このオフにはスライダーとチェンジアップ以外の球種としてフォークや小さく曲がるカットボールの習得も視野に入れているようですが・・
上原浩治選手が一年目のオフに工藤公康投手のところへ球種を増やしたいと相談に行ったエピソードが著書OVERでも紹介されていたのですが、その時工藤投手は、
「球種を増やすのではなく、いま、持っている球を磨け」
と上原選手にいったそうで、自分に必要な事が見えたそうです。
一年間ペナントレースを戦ってみて、ピッチングの幅を拡げるのが大事・・と思う事もあったかもしれませんが、高橋投手はすでに3つの球種が一流クラスなので、より磨いていく事も大事なのでは無いか??と
とも思うのですが・・・是非とも今の持ち味が消えないように、気をつけてほしいと思います。
高橋優貴投手の年俸と背番号の推移
2019年オフの契約更改ですが、11/28時点では行われていないため、年俸がどれくらいアップするか?は想像の範囲でしか答えられないのですが・・
年俸(推定) | 背番号 | |
2019年 | 1500万 | 12 |
桜井投手が2000万アップの3000万で更改していますので、筆者の予想では、1000万アップの2500万あたりが妥当なのではないか??と考えます。
→ 桜井俊貴投手が契約更改!なぜこんなに評価が高い?成績や球種から2020年の活躍を占ってみました
背番号については、内海哲也投手が付けていた「26」への変更が内定していますので、内海投手のように左のエース、最多勝とタイトル争いができるピッチャーへ成長してほしいと思います。
幸い、若手左ピッチャーには田口麗斗選手、今村信貴選手がいますので、切磋琢磨しあいながら、左腕王国を築き上げてほしいと思います。
以上、2019年大活躍のドラフト1位ルーキー高橋優貴投手の特集になりますが、今後も随時更新していく予定です、何か良い情報があればコメントやTwitterなど頂ければ、追記していきますので、よろしくお願い致します。