2010年ドラフト2位で糸満高校から入団し、ニ年目に6勝、三年目に6勝と勝ち星を積み重ねていった時は、「次世代のエース」と呼ばれている事もあった宮國椋丞選手。
現在は、中継ぎ投手になり、ビハインドの試合で見る事も多くなって、筆者的には寂しい気持ちもしているのですが、私と同じような思いをしているファンも少なくないかと思います。
宮國選手は、入団8年目になりますが、まだ26歳と若いですし、きっかけさえあれば再ブレイクの可能性は十分あると思います。
しかし、ここまで多くのチャンスを与えられてきたのも事実。
2013年にはエースの内海哲也投手がWBC出場の影響で、調整が遅れるため、開幕投手まで務めた事もあるほどです。
そんな期待された宮國選手も、20代後半に入り、これからもプロの世界で生き残っていくためには、自分の役割を明確にしていかないといけないところだと思います。
今回は、そんな投手の役割を決める岐路に立たされている宮國投手の成績やデータなどから、復活に必要な課題を考察していきたいと思います。
宮國椋丞投手のプロフィールと成績
最初に、宮國投手のプロフィールですが、
出身校 | 糸満高校 |
身長 | 186センチ |
体重 | 92キロ |
まず驚いたのが、この体重92キロ・・ですが「重たすぎないか??」という事。
入団時の体重が、76キロと言われていましたので、8年で16キロ重くなっています。ルーキーの頃はスラッとしていて、モデルのような体型を想像させる感じだったのが、今では筋肥大で大きくなっってきていますが・・
正直、大きくなってきたなぁという印象はあっても、体重がこんなに増加しているとは想像もしませんでした。
ただ、体重が増えても良い事ばかりではないと思うのが、宮國選手は体重が増加しても「球威や球速が増したわけではない」という事実。
入団後の最速は150キロとも言われていますが、平均球速はここ数年145キロ前後で変わらないため、体重増加が球速には影響していない事が分かります。
また球威という面ですが、ストレートで押し込むために重い球を投げたいために体重増加を考えているとすれば、増量後の2018年、2019年の宮國選手のストレートの被打率を見ると
被打率 | 空振り率 | 見逃し率 | |
2019年 | .326 | 3.45% | 24.14% |
2018年 | .250 | 3.03% | 22.51% |
と、特別ストレートに圧されている印象はありません。
入団後の持ち味は動くボールだったはず
入団時にスカウトから評価されていたのは、
巧みな制球力と変化球、押し込むストレートではなくツーシーム(シュート)で球を動かしてゴロを打たせる事。
だったはずです。
今でも、三振をどんどん取っていくというよりは、ゴロをしっかり打たせて抑えていますので、スタイルが変わったわけではありませんが・・
いつも試合を観戦していると、コントロールにばらつきが出やすいピッチングなので、評価が難しいところもあると思います。
入団して2年目、3年目のころは、怪我をするまでは、飄々とした感じで投げていて、テンポ良く討ち取っている姿も見られたのですが、ここ数年はカウントを不利にしたところで、甘く入り痛打・・
結構見られるシーンですが、本当に勿体ないやられ方をしてるなぁ・・・というのが筆者の意見です。
宮國椋丞選手の主な成績
ここでいったん、宮國選手の主な投手成績を紹介しますと、
年度 | 登板 | 先発 | 勝利 | 敗北 | HP | 勝率 | 投球回 | 四球 | 三振 | 自責点 | 防御率 |
2012 | 17 | 16 | 6 | 2 | 0 | .750 | 97 | 28 | 54 | 20 | 1.86 |
2013 | 17 | 17 | 6 | 7 | 0 | .462 | 87 | 35 | 50 | 48 | 4.93 |
2014 | 3 | 3 | 1 | 1 | 0 | .500 | 14 | 3 | 6 | 10 | 6.43 |
2015 | 39 | 0 | 3 | 1 | 8 | .750 | 49 | 15 | 28 | 16 | 2.94 |
2016 | 34 | 0 | 4 | 1 | 10 | .800 | 39 | 9 | 14 | 13 | 2.95 |
2017 | 17 | 9 | 1 | 7 | 1 | .125 | 57 | 18 | 41 | 30 | 4.74 |
2018 | 29 | 0 | 0 | 0 | 4 | .000 | 32 | 10 | 25 | 7 | 1.97 |
2019 | 28 | 0 | 0 | 2 | 3 | .000 | 29 | 9 | 21 | 13 | 3.94 |
2017年に先発として復帰し、期待をかけられていましたが、1勝のみで2018年から再び中継ぎでの起用がメインになっています。
登板数は30試合程度と少ないですが、HPをあげたり、中継ぎでもビハインドの場面だけでなく、勝ちパターンとして起用される場面もあります。
が、筆者の意見として「リリーバーで勝ちパターンに入れる投手では無い」のでは??と思っていて、短いイニングで結果を出すタイプというより、もう少し長いイニングで見てみたいピッチャー。
そんな印象を持っています。
どうしても、試合の中盤あたりで出てくるとなった時に、短いイニングで力で抑え込むとなると、パワーピッチャーが必要になると思うのですが、どう見ても宮國選手にパワーピッチャーの役割が担えるとは思えないんですよね・・
逆に、先発が早い回で崩れた時は、ロングリリーフが出来たり、試合を立て直す力はありますので、ビハインド起用の方が向いている気はします。
セイバーメトリクスから中継ぎ適正を詳しく分析
宮國選手の2018年、2019年のセイバーメトリクスのデータから、
- 被打率
- FIP 真の防御率とも言える、運的な要素を除いた指標
- RSAA 登板時に平均的な投手に比べてどの程度失点を防いでいるかを示す指標
- WHIP 1投球回あたり何人の走者を出したかを表す指標
の4つを調べてきたところ、以下のようになっていました。
被打率 | FIP | RSAA | WHIP | |
2019 | .239 | 3.59 | -1.93 | 1.18 |
2018 | .233 | 4.4 | 7.97 | 1.16 |
2018年が中継ぎキャリアでは一番の成績ですので、一番良い数字が出るのは当然ですが・・・
2018年の防御率が1.98に対しFIPは4.4は、ちょっと開きがありすぎますよね?FIPを重視するのであれば、守備に助けられたケースが多いという見方が出来ます。
そして、RSAAですが、リリーフエースと呼ばれるような投手は10.0以上の数字をあげている事が多いです。そのため若干の物足りなさは感じます。
WHIPに関しては、四球率を見てみると、2018年は2.813と悪くありませんので、ランナーをあまり出さないという点では評価が出来ます。
次に、得点圏被打率と左右での被打率も調べてみたところ、
得点圏被打率 | 右 | 左 | |
2019 | .267 | .207 | .275 |
2018 | .150 |
2018年の左右別の被打率のデータが算出出来ませんでしたが、上記の通りです。
また、左右別の出塁率と長打率、OPSを調べてみたところ
出塁率 | 長打率 | OPS | |
右 | .281 | .276 | .557 |
左 | .321 | .451 | .772 |
2018年、2019年ともに「左を苦手にしている」事は明確で、しかも左にには長打を打たれている確率も高いという事も分かります。
セ・リーグの左の強打者を各球団で挙げると、
- 横浜DeNA 筒香嘉智、梶谷隆幸
- 阪神タイガース 糸井嘉男、福留孝介
- 広島東洋カープ 田中広輔、野間峻祥
- 中日ドラゴンズ 高橋周平
- 東京ヤクルトスワローズ 村上宗隆
この強打者を前に、中継ぎで登板しても、相手の勢いを削ぐ事ができない可能性があるのでは??それがこの数字として出ている結果なのではないか??と、筆者は感じます。
宮國椋丞投手の球種と投球配分
左に弱いと書いていますが、宮國投手の球種と使用割合ですが、
球種 | 投球配分 | 被打率 | 空振率 | 見逃率 |
ストレート | 37.02% | .326 | 3.45% | 24.14% |
スライダー | 12.13% | .273 | 7.02% | 17.54% |
カットボール | 14.40% | .231 | 13.24% | 13.24% |
フォーク | 14.26% | .150 | 14.93% | 0.00% |
ツーシーム(シュート) | 11.91% | .167 | 5.36% | 25.00% |
カーブ | 10.21% | .100 | 18.75% | 22.92% |
ストレートの割合がツーシームと合わせても50%未満、典型的な変化球投手となっている宮國選手ですが、ストレートとツーシーム合わせても空振り率が9.81%しかありませんので、コントロールミスをすると、痛打を浴びてしまうのは一目瞭然です。
ちなみに、自主トレで同行してる菅野智之投手の投球配分ですが、
球種 | 投球配分 | 被打率 | 空振率 | 見逃率 |
ストレート | 30.73% | 0.259 | 6.86% | 19.14% |
スライダー | 23.13% | 0.284 | 13.47% | 16.51% |
ツーシーム(シュート) | 12.95% | 0.306 | 3.73% | 16.95% |
カーブ | 9.39% | 0.259 | 13.08% | 17.29% |
カットボール | 14.31% | 0.238 | 8.90% | 23.01% |
フォーク | 9.39% | 0.167 | 20.56% | 3.27% |
不調の2019年のデータですが、ストレートとツーシームを合わせて空振り率が11.59%となっている上に、スライダーとフォークの空振り率が高く、決め球として使うことが出来ています。
宮國選手の場合は、どの球種が勝負球になるのか?が不明確なため、せっかく追い込んでもそこから抑えきれないというのは、ここに理由があるんだと思いました。
宮國椋丞投手の年俸と背番号推移
宮國選手は、入団以降から江川卓投手のようになってほしいという期待も込められて、背番号は「30」を背負ってきました。
2年目、3年目と未来のエース格として期待された時期もありますが、年俸を見ると、上がったり下がったりで
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2020年 | 2740万円 | 58 |
2019年 | 2620万円 | 30 |
2018年 | 2400万円 | 30 |
2017年 | 2700万円 | 30 |
2016年 | 1900万円 | 30 |
2015年 | 1200万円 | 30 |
2014年 | 1600万円 | 30 |
2013年 | 1600万円 | 30 |
2012年 | 630万円 | 30 |
2011年 | 600万円 | 30 |
3000万を超えるのはなかなか叶っていません。
やっぱり、3000万円を超えていくには先発で結果を出していくしかないのでは??と筆者としては望むのですが・・叶わないでしょうか??
巨人で先発が出来ないのであれば、リリーフの適性は筆者的には無いと見ているので、おもいきって「トレード要員」として他球団に出してあげるのも良いかもしれません。
本人の潜在能力は、みんなが認めるところですが、本人は性格が優しい沖縄人ですので、もしかするとプレッシャーがかかっているのかも知れません。
実際、背番号も30から「58」へ変更が通告されていて、契約更改時のコメントでは
「9年間で一番悔しいシーズンだった」
と言っていますが、写真は笑顔・・・正直「本音はどこ?給料アップの査定だったし、心無しかホッとしていないか?」と、残念な気持ちにもなりました。
→ 日刊スポーツより画像引用
来季に向けて、すでに新フォームで球速を求めるようにしたいとコメントも残していますが、
「今季最速は150キロぐらい。これをコンスタントに投げられるように平均球速を上げたい。背番号の件も含め、悔しさをマウンドでぶつけたい」
このコメントが嘘でない事を、是非ともマウンドで結果として証明して欲しいと思います。
今回の宮國椋丞選手には、いつも以上に厳しい意見を交えて書かせていただきましたが、期待の裏返しと思って頂ければと思います。
これだけの甘いマスクのイケメン、優しい顔立ちの選手、一見するとプロ野球選手に見えないし、向いていない性格かも知れません・・・
が、20歳の時に彗星のごとく表れて、ワクワクする可能性をみせてくれた宮國投手には、このままオワコンだなんて思われてほしくないですし、復活して欲しいと願っています。
2020年駄目だったらトレード、もしくは解雇もあるかも・・
と危機感を感じて、来季に臨んでくれたらと思いますので、来年もしっかり応援しますので、頑張って下さいね!
これからも、宮國選手の最新情報が更新されれば追記していきますので、Twitterやコメントで頂ければ幸いです。
次世代のエース候補です