史上81人目のノーノーを達成した大野雄大投手。
ポテンシャルは同世代ピッチャーにも引けを取る事ない選手ですが、タイトルとも縁がなく成績もイマイチだった左腕も2019年に最優秀防御率のタイトルを獲得し、才能を開花しました。
2020年オフには国内FAの資格を獲得し、東京オリンピック代表にも選出される可能性があり、ますますの活躍が期待されますが、過去の成績や球種などのデータを紹介しながら、今年の活躍を考察したいと思います。
大野雄大投手のプロフィール
最初に、大野選手のプロフィールですが、
出身校 | 京都外大西高等学校→佛教大学 |
身長 | 183センチ |
体重 | 83キロ |
高校2年春からベンチ入りし、決勝で対戦した田中将大選手に刺激を受け、控え投手だった大野投手は3年春には甲子園初登板を果たす。
大学に進学後、球速もアップし145キロまで伸ばし、四球数も減った事で京滋リーグで頭角を表し、斎藤佑樹、大石達也、澤村拓一とともに「大学球界BIG4」とも称されていました。
大野投手と同年代には高校時代は「ハンカチ世代」と呼ばれ、プロ入り後は「マー君世代」と呼ばれたように、才能豊かな選手が多く、田中将大投手が入団した主な高卒プロは、
坂本勇人 | 光星学院高等学校 |
前田健太 | PL学園高等学校 |
梶谷隆幸 | 開星高等学校 |
吉川光夫 | 広陵高等学校 |
會澤翼 | 水戸短期大学附属高等学校 |
上田剛史 | 関西高等学校 |
木村文紀 | 埼玉栄高等学校 |
堂上直倫 | 愛知工業大学名電高等学校 |
大嶺祐太 | 沖縄県立八重山商工高等学校 |
山田大樹 | つくば秀英高等学校 |
福田秀平 | 多摩大学附属聖ヶ丘高等学校 |
福田永将 | 横浜高等学校 |
大卒、社会人を経てからプロ入りしている、主な選手は
出身高校 | 出身大学 | |
柳田悠岐 | 広島県立広島商業高等学校 | 広島経済大学 |
秋山翔吾 | 横浜創学館高等学校 | 八戸大学 |
澤村拓一 | 佐野日本大学高等学校 | 中央大学 |
塩見貴洋 | 帝京第五高等学校 | 八戸大学 |
伊志嶺翔大 | 沖縄尚学高等学校 | 東海大学 |
福山博之 | 島根県立大東高等学校 | 大阪商業大学 |
斎藤佑樹 | 早稲田大学系属早稲田実業学校高等部 | 早稲田大学 |
大石達也 | 福岡大附属大濠高等学校 | 早稲田大学 |
中村恭平 | 立正大学淞南高等学校 | 富士大学 |
南昌輝 | 和歌山県立和歌山商業高等学校 | 立正大学 |
荒木郁也 | 日本大学第三高等学校 | 明治大学 |
森越祐人 | 愛知啓成高等学校 | 名城大学 |
松永昂大 | 香川県立高松商業高等学校 | 関西国際大学 |
高橋朋己 | 加藤学園高等学校 | 岐阜聖徳学園大学 |
増田達至 | 柳学園高等学校 | 福井工業大学 |
石山泰稚 | 秋田県立金足農業高等学校 | 東北福祉大学 |
宮崎敏郎 | 佐賀県立厳木高等学校 | 日本文理大学 |
下水流昂 | 横浜高等学校 | 青山学院大学 |
屋宜照悟 | 沖縄県立中部商業高等学校 | 国士舘大学 |
石川歩 | 富山県立滑川高等学校 | 中部大学 |
秋吉亮 | 東京都立足立新田高等学校 | 中央学院大学 |
藤井亮太 | 兵庫県立高砂南高等学校 | 東海大学 |
と今でも、主力として活躍している選手も多いです。
大野投手は、中日ドラゴンズ入団前に、日本代表に選出された事もあり、その時に打倒キューバを掲げ、快投した事で「実績を積んでからメジャーに行きたい」と、将来は海外でプレーする事を目標にするようになったそうです。
しかし、ドラフト指名前から左肩を痛めて、リハビリに費やす事も多く、1年目は怪我の回復を待ってからファームで経験を積む日々でした。
大野雄大投手の主な成績
次に、大野投手の主な投手成績ですが、
登板 | 勝利 | 敗北 | セーブ | 完投 | 完封勝 | 勝率 | 投球回 | 安打 | 本塁打 | 四球 | 三振 | K/BB | 防御率 | |
2011 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | .000 | 4 | 9 | 2 | 1 | 2 | 2.00 | 13.5 |
2012 | 9 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | .571 | 44.2 | 40 | 1 | 14 | 41 | 2.93 | 2.62 |
2013 | 25 | 10 | 10 | 0 | 1 | 0 | .500 | 146.1 | 151 | 12 | 43 | 117 | 2.72 | 3.81 |
2014 | 25 | 10 | 8 | 0 | 3 | 1 | .556 | 165 | 156 | 14 | 47 | 119 | 2.53 | 2.89 |
2015 | 28 | 11 | 10 | 0 | 6 | 3 | .524 | 207.1 | 169 | 12 | 47 | 154 | 3.28 | 2.52 |
2016 | 19 | 7 | 10 | 0 | 3 | 1 | .412 | 129.2 | 126 | 11 | 37 | 85 | 2.30 | 3.54 |
2017 | 24 | 7 | 8 | 0 | 2 | 1 | .467 | 147.2 | 143 | 17 | 51 | 117 | 2.29 | 4.02 |
2018 | 6 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | .000 | 27.1 | 32 | 7 | 19 | 21 | 1.11 | 8.56 |
2019 | 25 | 9 | 8 | 0 | 2 | 2 | .529 | 177.2 | 132 | 18 | 43 | 156 | 3.63 | 2.58 |
2013年から3年連続で二桁勝利、2015年には200イニングをクリアする「イニングイーター」ぶりを見せる球界を代表する左腕に成長しています。
しかし、7年連続チームがBクラスに沈んでいる現状を見ても分かるように、貯金が出来ていない現状はチームを勝ちに導く圧倒的な成績では無いのが、もう一皮向けてほしいところです。
2019年は、最優秀防御率のタイトルを獲得した一つに「K/BBの向上」が挙げられます。
投手として優秀な指標の一つになる3.50以上のK/BBをあげた事で、制球力が飛躍的に向上したため、WHIPも脅威の0.98と1.00を切りました。
大野雄大投手のセイバーメトリクスをいくつかチェック
無駄な四球を減らし、ランナーが出なくなったのには、何か秘密があるのでしょうか?
いくつかセイバーメトリクスのデータを紹介しながら、大野投手の特徴を見ていきましょう。
1つ目のデータですが、「QS(クオリティースタート)」です。
大野投手のQSですが、
QS | QS率 | |
2013 | 12 | 48.00% |
2014 | 16 | 64.00% |
2015 | 19 | 70.37% |
2016 | 13 | 68.42% |
2017 | 12 | 54.55% |
2018 | 0 | 0.00% |
2019 | 18 | 72.00% |
最初に二桁勝利をあげた2013年は50%を切るQSでしたが、2014年以降は60%以上のQSを達成し、ある程度試合を作ることが出来ています。
防御率も3.00以下を達成する事も多かったので、打線が弱い事で勝ち星を挙げられない事も多かった可能性が考えられます。
先発投手として、イニングイーターとなり試合を壊さないピッチャーは重宝されますので、大野投手は十分に役割を果たしています。
大野雄大投手のRSAAは脅威の数字
次に、平均的な投手と比べて、どれだけ得点を取られないか?を示す「RSAA」ですが、2019年の大野選手は32.26と脅威の数値でした。
この数字は、チーム別のRSAAを見た時に、2019年優勝を決めた巨人で34.4、チーム防御率1位の阪神で37.9に匹敵する数字です。
中日ドラゴンズは、2019年チームRSAAは-63.1とマイナスになっているところ、大野投手がチームで奮起してるのが、データでも分かります。
大野雄大投手の投球割合と球種
次に、大野投手の球種別の特徴を投球割合や球種をもとに紹介していきます。
2019年 | 投球割合 | 被打率 | 被本 | 被四死 | 奪三振 | 空振率 | 見逃率 |
ストレート | 50.87% | .203 | 9 | 27 | 86 | 8.12% | 21.23% |
シュート | 24.03% | .216 | 3 | 11 | 36 | 14.42% | 11.96% |
スライダー | 21.34% | .227 | 6 | 1 | 26 | 12.44% | 19.00% |
フォーク | 2.17% | .115 | 0 | 2 | 7 | 13.56% | 0.00% |
チェンジアップ | 1.55% | 0.000 | 0 | 0 | 1 | 7.14% | 9.52% |
2017年のデータと比較すると、
2017年 | 投球割合 | 被打率 | 被本 | 被四死 | 奪三振 | 空振率 | 見逃率 |
ストレート | 59.09% | .268 | 12 | 38 | 66 | 8.38% | 18.53% |
シュート | 17.94% | .315 | 4 | 6 | 13 | 12.47% | 11.36% |
スライダー | 15.74% | .203 | 1 | 0 | 17 | 12.18% | 19.29% |
フォーク | 7.23% | .159 | 0 | 7 | 21 | 16.57% | 0.00% |
ストレートの割合が減り、シュートの割合が増えていますが、一つ大きく変わった点は「シュートの奪三振数が大幅に増えた」点です。
空振り率や見逃し率に大きな変化がない中、奪三振数が増えた事は、極めて大きな変化だと思いますが、推察するにシュートは通常詰まらせたり、内角を意識するのに使う球種だと思うのですが、奪三振が増えているという事は、変化の仕方も複数あるのでは?と思います。
データがないので、推察しかできませんが、シュートというよりシンカーのように沈みながら曲がってくるツーシームのような動きで、かつ高速なボールなので、打者が対応出来ないのではないか??と考えます。
あともう一つ2019年のデータで大幅な改善が見られたのは、「ストレートの被打率の低下」です。
2017年に.268あった被打率が、2019年は.203まで低下しましたので、ストレートとシュートで押すピッチングが可能になっています。
ピッチングの原点と言われるストレートの威力が増した事で、ピッチングの組み立てが楽になっていたのかも知れませんね。
大野投手の2019年ハイライトとも言える、ノーノーを達成した時の動画です。
どの球種も、素晴らしい球威とコントロールを誇っていて、惚れ惚れするようなピッチングです。
大野雄大投手の年俸と背番号の推移
大野投手の年俸と背番号ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2020年 | 1億3000万円 | 22 |
2019年 | 6000万円 | 22 |
2018年 | 8000万円 | 22 |
2017年 | 8640万円 | 22 |
2016年 | 1億800万円 | 22 |
2015年 | 4500万円 | 22 |
2014年 | 2800万円 | 22 |
2013年 | 1750万円 | 22 |
2012年 | 1350万円 | 22 |
入団時から背番号は「22」を付けていますが、背番号は憧れの藤川球児投手から選んだ番号だそうです。
年俸については、3年連続の二桁勝利をあげた際に1億円を超えましたが、その後成績は降下し、開幕ローテーション入りできず、0勝に終わった2018年は25%以上の大幅減額となりました。
しかし、2019年のタイトル獲得と2020年オフのFA取得をにらんで、球団からは1億円を超える程度があり、現在は1億円プレーヤーに返り咲きです。
2019年オフには、中日から3年契約の提示もあったようですが、単年度契約にこだわり、国内FAについては行使するか?は今の所未定と契約更改の場でコメントしています。
2020年の成績次第ですが、FA宣言すれば複数球団からのオファーと、複数年契約の提示があるのは間違いないでしょう。
→ 2020年FA選手を迎えるプロ野球選手は?注目の山田哲人選手は大リーグ挑戦か?それとも国内移籍??
大野雄大投手の2020年期待するところ
ここまで過去の成績やデータを見ながら、大野投手の特徴を紹介してきましたが、来季で33歳を迎える中、投球の熟練度は深まり、NPB屈指の左腕に成長しています。
また、左のパワーピッチャーでプレミア12では本来の先発ではく、中継ぎ投手として起用され、最速150キロに迫る球威も見せてくれましたので、侍ジャパンの起用の幅は広がっています。
先発も中継ぎも出来るとなれば、東京オリンピックで重宝されるのは間違いないでしょう。
2019年並の成績を残し続ける事ができれば、十分に侍ジャパンに選出されると思いますので、今年もストレートとシュートで押すピッチングを見せてくれるのを楽しみにしたいと思います。
以上、大野投手の紹介でしたが、春季キャンプ以降も最新情報を更新していきたいと思いますので、何か新しい情報があれば、コメントやTwitterなど頂ければと思います。
同じプレミア12で代表選出された選手たちです