2017年、2018年とファームでは圧倒的な成績をあげ、2018年11月のの日米野球ではランニングホームランを記録し、2019年の飛躍が期待された松原聖弥選手。
春季キャンプは一軍抜擢されるも、結果を残せずファームで調整、4月中旬には右脇腹を怪我し1ヶ月のリハビリと1軍出場なしで終えたシーズンでしたが、ファームではそこそこの成績を残しています。
3年連続で結果を残した事は、松原選手も前向きに捉えて良いところだと思うのですが、そろそろ外野のレギュラー争いに割って入りたいところです。
圧倒的な俊足と強肩を活かした走力や守備、そしてパンチ力のあるシェアな打撃が魅力な松原選手の課題や期待するポイントを、過去の成績やデータから考察していきます。
松原聖弥選手のプロフィール
最初に松原選手のプロフィールですが、
出身校 | 仙台育英高→明星大 |
身長 | 173センチ |
体重 | 72キロ |
仙台育英高では3年夏に甲子園出場するも、本人はベンチ入りできず、2年生には上林誠知(ソフトバンクホークス)、熊谷敬宥、馬場皐輔(阪神タイガース)が在籍していました。
野球部を引退後、陸上部に入部し駅伝の経験も積んだそうで、長距離走には自信を持っています。
大学へ進学後、外野手へ転向し首都大学リーグ2部で2年春から5季連続でベストナインを獲得するほどの活躍を見せ、スカウトからも注目され始めます。
実は、大学時代に放ったヒットの半分以上が内野安打で、相手の守備位置を見ながら内野安打を「狙って」打っていたそうです。
大学時代から脚力に自信を持っていて、50mは5.7秒、塁間より少し長い30mは4.0秒で駆け抜けるほどの俊足は、リーグ屈指だったそうです。
ちなみにお兄さんは太田プロ所属のお笑い芸人、ロングアイランドの松原ゆいさんだそうです。
画像引用 スポーツ報知より
兄弟共に成功してほしいですね!
松原聖弥選手の主な打撃成績
続いて、松原選手の主な打撃成績についてですが、1軍での出場がありません。
すべて2軍成績になりますが、
打率 | 試合 | 打席数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 四球 | 三振 | 出塁率 | 長打率 | OPS | |
2018 | .316 | 117 | 473 | 134 | 0 | 42 | 24 | 38 | 45 | .373 | .392 | .765 |
2019 | .287 | 96 | 375 | 96 | 5 | 28 | 17 | 32 | 54 | .349 | .401 | .75 |
2017年には主に3軍で試合に出場し打率.332、盗塁45と圧倒的な数字を残し、2018年には2軍での活躍が認められ8月に支配下登録されています。
2018年は最終的にイースタンリーグ最多安打を受賞しており、安打製造機として高い出塁率を誇っており、2019年も怪我の影響で出場数は減りましたが、概ね同等の成績をあげています。
2018年、2019年で大きな違いは、ホームラン数が劇的に伸びたという点。
2019年には5本の本塁打を放ち、パンチ力に磨きがかかってきている事も伺えますが、セイバーメトリクス上からもう少し詳しく見ていきます。
松原聖弥選手のIsoPは大幅に改善されている
まず、松原選手の純粋な長打力を見るために「IsoP」を紹介したいのですが、IsoPは(2塁打+3塁打×2+本塁打×3) ÷ 打数で計算する事が出来ます。
計算式から単打は含まれないという事なので、内野安打の数が多い場合は数値も低くなります。
ファームでの成績になりますが、松原選手は
2018年 | .075 |
2019年 | .114 |
大幅に数字を改善していますが、ホームランが5本に増えている事からも、純粋に内野安打を含む単打だけでなく、長打も増えているという事を示していると思われます。
ちなみに、巨人のレギュラークラスのIsoPですが、
丸佳浩 | 亀井善行 | 陽岱鋼 | 重信慎之介 | |
2018年 | .322 | .140 | .182 | .138 |
2019年 | .204 | .156 | .106 | .108 |
丸選手は別格ですが、他の三選手は長打タイプではない事もあって、そこまで高い数値ではありません。
松原選手もファームでは5本の本塁打を打っていますが、そもそもがホームランタイプを期待されているわけではないので、IsoPだけで言えば、.110前後で十分な気もします。
長打よりも内野安打でも四死球でも良いので、より高い出塁率を求めてほしいタイプだという事が、改めて分かるデータかも知れませんね。
松原聖弥選手のIsoDは平均を下回る
次に、松原選手の選球眼の良さを見るのに「IsoD」を確認します。
IsoDは、出塁率-打率で計算する事ができますが、四死球でどれだけ出塁出来ているか?がこの数字で分かり、数値が高ければ高いほど選球眼が良いという事を示します。
ファームでの成績になりますが、松原選手は
2018年 | 0.57 |
2019年 | 0.61 |
と若干の改善が見られますが、1.00以上で一流、0.7以上で平均以上と見られる数字からすると、若干低い数値と言えます。
ちなみに、巨人のレギュラークラスの外野手のIsoDですが、
丸佳浩 | 亀井善行 | 陽岱鋼 | 重信慎之介 | |
2018年 | 1.63 | 0.61 | 0.52 | 0.43 |
2019年 | 0.97 | 0.62 | 0.72 | 0.42 |
丸佳浩選手は別格ですが、亀井選手、陽選手、重信選手クラスのIsoDはそこまで高くありません。
一軍クラスと単純に比較は出来ませんが、選球眼を上げる事で、首脳陣に我慢強さをアピール出来れば、出場機会を得られる可能性は増えそうですね。
松原聖弥選手のBABIPは非常に高い数値
次に紹介したい数字が「BABIP」と呼ばれる数値ですが、ホームランを除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合をデータにしたものです。
投手の場合は、.300を平均として高いか低いかで比較できますが、打者の場合は平均値ではなく、それぞれの打者によって変わってきますので、打率との比較で見ると、
BABIP | 打率 | |
2018年 | .345 | .316 |
2019年 | .320 | .287 |
2年連続で打率よりもBABIPの方が高い結果になります。
一般的に
- 足が速い
- スイングスピードが速く、打球が速い
選手は、BABIPが高くなる傾向がありますが、松原選手の場合は内野安打も多く打てるなど、足が速いのでBABIPが上がる傾向のようですね。
いずれにしても、BABIPが.300を超え、出塁率も.350近く出せているので、1軍でも同じだけの数値を出せるのであれば、十分にレギュラーを狙える可能性はありそうですし、出塁率が.375以上なら1番バッターを任せる事も出来そうです。
開幕スタメン予想しています。
→ 読売巨人軍の開幕スタメン2020はどうなる?歴代の打線を振り返りながら考察してみた!
松原聖弥選手の主な守備成績
次に、松原選手の主なファームでの守備成績ですが、
守備率 | 試合 | 刺殺 | 捕殺 | 失策 | |
2018 | .979 | 115 | 179 | 10 | 4 |
2019 | .972 | 95 | 131 | 6 | 4 |
捕殺数が2018年10、2019年が6と強肩ぶりを発揮していますが、失策も4ずつと評価を落としています。
打撃に対して、巨人の1軍クラスに割って入るためには、まずは守備と走力でPRして守備固めや代走の役割を担いたいところです。
代走に関しては、2019年は増田大輝選手が1軍で15盗塁、重信慎之介14盗塁とそれぞれ結果を残していますので、かなり厳しい競争を強いられます。
また、守備についても、丸佳浩、亀井善行、陽岱鋼それぞれ球界でもトップクラスの力がありますし、新外国人のジェラルドパーラ選手もメジャーでは高い守備能力を誇っていますので、かなりチャンスが減ると思われます。
数少ないチャンスを活かすためにも、スキを見せない走塁、守備をさらに洗練しきたいところです。
松原聖弥選手の年俸と背番号の推移
続いて、松原選手の年俸と背番号ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2020年 | 600万円 | 59 |
2019年 | 560万円 | 59 |
2018年 | 420万円 | 59 |
2018年 | 420万円 | 009 |
2017年 | 240万円 | 009 |
2016年育成ドラフト5位で入団後、2年で支配下登録され背番号「59」となりましたが、ファームで結果を残すのみで、1軍出場もない事から、年俸は微増に留まっています。
今年は、山下選手や加藤選手も支配下登録され、若手の外野手争いも激化してきています。
一年注目されても、結果が残せなければクビになるのがプロ野球の世界ですので、2020年は結果にコミットしてほしいところですね。
2020年の松原聖弥選手に期待するところ
松本コーチから、
「何か一つ、飛び抜けたものを出さないといけない。『これだけは絶対に勝てる』というものがあれば、1軍に残れる可能性は上がる」
と松原選手は声をかけられたそうですが、ユーティリティ性を目指すのでなく、スペシャリストを目指して欲しいと思います。
2019年の侍ジャパンで注目を集めたソフトバンクホークスの周東佑京選手。
足のスペシャリストとして、ソフトバンクでは主に代走と守備固めで活躍し、盗塁数は25(盗塁死5、盗塁成功率83.33%)と結果を残しています。
周東選手を見ていても、試合終盤で一気に流れを変えられる選手は貴重な存在で、チームに勢いをもたらす事が出来ますし、かつての鈴木尚広選手がそうだったように、原監督も「足のスペシャリスト」は常に求めています。
今年の活躍からすると、足のスペシャリストの一番手は増田大輝選手になります。
二盗、三盗と進む姿は、巨人ではあまり見られないメンタルの強い選手ですし、思い切りの良さだけでなく盗塁成功率の高さ(88.23%)は、チームに必要な力です。
ただし、増田大輝選手は内野手なので、まずは、タイプが重なる重信慎之介選手と競い合って、「外野手の走塁のスペシャリスト」枠を勝ち取るところから頑張ってほしいところです。
そして、亀井善行選手が疲れた時にファーストチョイスとして松原選手が準レギュラーとして活躍できるように、常に準備をして欲しいです。
2018年の日米野球で、ヤディエル・モリーナ捕手からも
「すごいスピードをしている、当然、侍ジャパンに入っているんだろ?」
と評価された走力を活かして、ランニングホームランを彷彿させるような活躍を見せてくれる事を期待したいと思います。
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