育成出身から2017年に支配下登録され、主にファームで経験を積んでいる田中貴也捕手。
2019年は、守備で一軍デビューを果たしていますが、攻守ともに一軍レベルには至っておらず、またFA移籍で巨人入りした炭谷銀仁朗捕手はじめ、一軍レベルの捕手も多いので、出場機会が得られていません。
それでも、2軍では岸田捕手に次ぐ2番目の出場機会を得ていて、経験を積んでいますので、チャンスを得られる可能性はあります。
2020年は支配下登録4年目という事で、勝負の年になりそうですが、二軍成績をもとに、課題や期待するポイントを考察したいと思います。
田中貴也選手のプロフィール
最初に、田中選手のプロフィールですが、
出身校 | 八重山商工→山梨学院大 |
身長 | 178センチ |
体重 | 80キロ |
京都の園部中学校出身の田中選手ですが、八重山商工の甲子園での活躍に憧れ、沖縄県で高校生活を過ごしていますが、甲子園の出場経験はなし。
山梨学院大学への進学は、元巨人のプロ野球選手高橋一三監督と伊藤彰コーチの勧誘があって決めたようですが、1年春からレギュラーとして活躍、4年春には全国大会へ、4年秋にはベストナインを獲得するなど、結果を残した事で2014年のドラフトで育成3位で巨人入りしています。
2017年には、育成選手でしたが小林誠司選手がWBCでチームを離れた事もあり、1軍キャンプに帯同、オープン戦も6試合経験し、ペナントレースでも結果を残した事で支配下登録されました。
2018年、2019年と1試合ずつの一軍での出場がありますが、2018年は代打後に代打を送られたため、打席に立つ事なく一軍デビューと珍記録となりました。
田中貴也選手の主な打撃成績
次に、田中選手のファームでの主な打撃成績ですが、
打率 | 試合 | 打席数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 四球 | 三振 | BB/K | 出塁率 | 長打率 | OPS | |
2017 | .250 | 66 | 166 | 34 | 0 | 11 | 1 | 14 | 29 | 0.48 | .325 | .287 | .611 |
2018 | .308 | 64 | 161 | 40 | 0 | 21 | 2 | 15 | 23 | 0.65 | .385 | .377 | .762 |
2019 | .255 | 75 | 175 | 37 | 1 | 18 | 4 | 14 | 24 | 0.58 | .329 | .324 | .653 |
年々、出場機会を伸ばしていますが、気になるのがBB/Kの数値が低い点です。
BB/Kは野手の選球眼の良さを計る指数で、「四球÷三振」で計算できますが、田中選手の指数は0.5~0.6前後です。
主に7番、8番を打つ打者であれば、少しでも出塁率を高めて、上位打線に回しチャンスを作って欲しいので、打てるだけでなく、四球で出塁を増やす事も必要だと思います。
2018年は、打率が3割超え、出塁率も.385と好成績ですが、四球数やKK/Bを見ていると、四球が少ないので、評価が難しいところです。
一軍には大城選手がいて「打てる捕手と左バッター」という特徴が被っていますので、大城選手と違いを出すには、出塁率と四球が取れる選球眼の良さをアピールする方が良いと思います。
田中貴也選手のBABIPは平均.280前後
続いて、田中選手のインプレー打率を示す「BABIP」を見てみたいのですが、
BABIP | |
2017 | .281 |
2018 | .331 |
2019 | .271 |
2018年こそ.300超えですが、基本的には.300を切っていて平均値では.280となります。基本的に打率より少し高い程度のため、傾向としては「ゴロ率が高いバッター」だと推察されます。
BABIPの傾向で、ゴロ率が高いバッターという事で言えば、長打率でも大城選手と競うのは厳しいので、アベレージヒッターで勝負するのが一番かと思います。
田中貴也選手の主な守備成績
次に、田中選手の守備の主な成績ですが、
試合 | 刺殺 | 捕殺 | 失策 | 併殺 | 捕逸 | 守備率 | |
2017 | 54 | 286 | 52 | 2 | 6 | 2 | .994 |
2018 | 79 | 483 | 81 | 4 | 8 | 4 | .993 |
2019 | 62 | 335 | 61 | 1 | 7 | 2 | .997 |
ファームでの成績ですが、捕逸や失策が少ない捕手で、キャッチング、フレーミング、ブロッキングといった捕手の基本能力は平均的だと思われます。
ただ、ドラフト時にも二塁への送球スピードが平均以下という事で、肩やスローイングに対しての評価は低く、2019年時点でも送球スピードは速くありません。
守備面では、小林誠司選手、炭谷銀仁朗選手がおり、球界屈指の選手なので、相当なアピールをしなければ2番手、3番手捕手の座を勝ち取る事は難しいです。
捕手の総合力として評価を高めるためには、基本的なキャッチングとブロッキングのレベルを上げていき、ミスの少ない捕手になるのが一番の近道かなと思います。
田中貴也選手の年俸と背番号の推移
次に、田中選手の年俸と背番号ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2020年 | 600万円 | 69 |
2019年 | 540万円 | 69 |
2018年 | 440万円 | 69 |
2017年 | 300万円 | 63 |
2017年 | 300万円 | 005 |
2016年 | 250万円 | 005 |
2015年 | 240万円 | 005 |
支配下登録時に、空き番号だった63番を付けましたが、田中俊太選手が入団した事に伴い、背番号が69へ変更されています。
年俸も少しずつあがってきていますが、現状は4番手、5番手捕手扱いとなるので、一軍登録が続かなければ、これ以上上がる事は難しいでしょう。
2020年の田中貴也選手に期待するところ
2020年の巨人の捕手事情を見ると、
小林誠司 | 国内FA資格取得、移籍の可能性もあり? 東京オリンピック代表に選出される可能性あり |
炭谷銀仁朗 | FA移籍2年目、1年目は及第点の評価 1年目に怪我をした影響で出場数も減っているので、2年目に進化を見せたい |
大城卓三 | 原監督からの評価の高い打てる捕手 ファーストでの出場可能性はあるが、基本は捕手としてレギュラーを狙いたい |
岸田行倫 | 田中選手同様、ファームで経験を積み、2019年は一軍デビュー 打撃に課題ありも、守備力の高さは評価されている。 |
4人の一軍レギュラー候補がいる中で、田中選手は
- 打撃面は、出塁率の高いバッター
- 守備面は、捕手能力の高さで肩や送球をカバー
する事でアピールをしていく事になりそうです。
レギュラーまでの道のりは遠いかも知れませんが、2020年で28歳を迎える事を考えても、勝負の一年になります。
春季キャンプに選ばれる確率は低いかも知れませんが、2軍でアピールを続け、阿部監督に推薦してもらえるように、頑張ってほしいですね。
巨人の捕手陣は層が厚いです