2019年オリックス・バファローズから巨人へ電撃移籍した中島宏之選手。
右の代打、ファーストのレギュラーとして期待されるも、今年はホームラン1本と不発。
途中あまりの不振のために、原監督も擁護できずに2軍降格の屈辱を味わった1年ですが、第二回WBCで見せた輝きは、未だ色褪せる事はありません。
今年37歳と全盛期からすれば衰えも見られるのは当然ですが、日米通算1767安打の実績は伊達ではありませんので、2020年に復活する事を願っています。
2020年は引退をかけた1年になる可能性がある中島宏之選手、ここでは来季に向けた課題や役割について、過去の成績、年俸、データから考察していこうと思います。
中島宏之選手もプロフィールと成績
まず最初に、中島選手のプロフィールですが、
出身校 | 伊丹北高 |
身長 | 180センチ |
体重 | 90キロ |
2000年ドラフト5位で西武ライオンズに入団していますが、甲子園への出場経験はなく高校通算43本塁打の実績がスカウトの目に止まってのプロ入りです。
同じ年のドラフト選手は1位がプリンスホテル出身の大沼幸二投手、2位が新日鉄広畑の三井浩二投手、3位が九州三菱自動車の帆足和幸投手と、活躍した面々が揃っています。
ちなみに、他球団の同期には、阿部慎之助(巨人)、畠山和洋(ヤクルト)など、今年まで現役で活躍してきた選手や内川聖一(現福岡ソフトバンクホークス)達がいます。
中島宏之選手の主な打撃成績
2001年は、正遊撃手だった松井稼頭央選手がメジャー挑戦する事もあり、中島選手がコンバートでショートの守備を一から学び、2002年にはファームで全100試合に出た事もあって、翌年から一軍でチャンスを与えられています。
主な打撃成績ですが、
年度 | 所属球団 | 試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁刺 | 四球 | 三振 | 打率 | 長打率 | 出塁率 | OPS |
2002 | 西 武 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | .143 | .143 | .143 | .286 |
2003 | 西 武 | 44 | 23 | 4 | 11 | 1 | 2 | 5 | 22 | .258 | .449 | .327 | .776 |
2004 | 西 武 | 133 | 144 | 27 | 90 | 18 | 2 | 39 | 108 | .287 | .504 | .349 | .853 |
2005 | 西 武 | 118 | 111 | 11 | 60 | 11 | 3 | 22 | 67 | .274 | .417 | .327 | .744 |
2006 | 西 武 | 105 | 126 | 16 | 63 | 14 | 4 | 30 | 66 | .306 | .481 | .368 | .849 |
2007 | 西 武 | 143 | 160 | 12 | 74 | 9 | 4 | 41 | 134 | .300 | .439 | .361 | .800 |
2008 | 埼玉西武 | 124 | 161 | 21 | 81 | 25 | 5 | 55 | 96 | .331 | .527 | .410 | .937 |
2009 | 埼玉西武 | 144 | 173 | 22 | 92 | 20 | 12 | 75 | 113 | .309 | .493 | .398 | .891 |
2010 | 埼玉西武 | 130 | 158 | 20 | 93 | 15 | 5 | 52 | 97 | .314 | .511 | .385 | .896 |
2011 | 埼玉西武 | 144 | 168 | 16 | 100 | 21 | 2 | 44 | 93 | .297 | .433 | .354 | .787 |
2012 | 埼玉西武 | 136 | 155 | 13 | 74 | 7 | 6 | 52 | 76 | .311 | .451 | .382 | .833 |
2015 | オリックス | 117 | 100 | 10 | 46 | 1 | 2 | 53 | 93 | .240 | .357 | .342 | .699 |
2016 | オリックス | 96 | 91 | 8 | 47 | 1 | 0 | 26 | 54 | .290 | .439 | .346 | .785 |
2017 | オリックス | 124 | 123 | 9 | 49 | 0 | 0 | 46 | 93 | .285 | .392 | .360 | .752 |
2018 | オリックス | 77 | 65 | 5 | 34 | 0 | 0 | 21 | 38 | .289 | .387 | .356 | .743 |
2019 | 読 売 | 43 | 8 | 1 | 5 | 1 | 0 | 9 | 21 | .148 | .278 | .277 | .555 |
西武ライオンズ時代は、松井稼頭央選手に劣らないショートストッパーとして走攻守すべてにおいて高いレベルを発揮、不動の三番バッターとしてクリーンナップを形成していました。
当時の中島選手は、右にも左にも大きいのが打てますし、俊足で盗塁もできて、松井稼頭央二世として十分な活躍が出来ましたので、海外FA権を行使してのメジャー挑戦となりましたが・・
アスレチックスと2年契約+出来高の総額650万もの大型契約を結ぶも、左太もも裏を怪我した影響もあり一年目は3Aで過ごす事に。
さらに、勝負の2年目も状態が上がらず、3Aでも結果が出ないため、主に2Aでプレーしていたため、メジャー契約をしながらメジャーに一試合も出場せずに帰国する事に。
中島選手の主な打撃セイバーメトリクス
帰国後は、阪神、オリックス・バファローズ、西武ライオンズでの獲得合戦になるも、最終的にオリックス・バファローズとの3年契約を結びますが、復帰一年目に左太もも裏を怪我し抹消。
日本を出る前のような全盛期の走力はなく、打力も落ちています。
そこで、さらに詳細な中島選手の打撃データを調べてみたところ、
得点圏打率 | 得点圏出塁率 | 得点圏長打率 | OPS | 左打率 | 右打率 | |
2015年 | .212 | .402 | .333 | .735 | .256 | .235 |
2016年 | .259 | .323 | .447 | .770 | .274 | .294 |
2017年 | .294 | .383 | .394 | .778 | .260 | .291 |
2018年 | .328 | .410 | .478 | .888 |
2018年左右の打率はデータが欠如しておりなし、2019年はデータ不足のためなしですが、2018年までオリックスでの4年間で「得点圏打率も高く、チャンスに強い印象」が高まってきています。
中島宏之選手の選球眼はかなり悪い
一方で、四球数の少なさからも積極的に仕掛けるバッターという事は分かりますが、選球眼を示すセイバーメトリクス「IsoD」と「BB/K」を見ても、「選球眼はかなり悪い」と言えそうです。
- IsoD 「出塁率-打率」、安打以外の出塁を数値化。
- BB/K 「四球÷三振四球」、三振の少ない選球眼の良い選手を数値化。
NOI | IsoD | BB/K | |
2018 | 484.89 | 0.07 | 0.55 |
2017 | 490.62 | 0.07 | 0.49 |
2016 | 492.32 | 0.06 | 0.48 |
2015 | 460.72 | 0.1 | 0.57 |
また、「NOI」を見ても、年々数字が落ちていますので、打撃面での衰えは顕著です。
中島宏之選手の年俸と背番号の推移
次に、中島選手の年俸と背番号の推移ですが、
年 | 年俸(推定) | チーム | 背番号 |
2019年 | 1億5000万円 | 読売ジャイアンツ | 5 |
2018年 | 3億5000万円 | オリックス・バファローズ | 1 |
2017年 | 3億5000万円 | オリックス・バファローズ | 1 |
2016年 | 3億5000万円 | オリックス・バファローズ | 1 |
2015年 | 3億5000万円 | オリックス・バファローズ | 1 |
2012年 | 2億8000万円 | 埼玉西武ライオンズ | 3 |
2011年 | 2億8000万円 | 埼玉西武ライオンズ | 3 |
2010年 | 2億5000万円 | 埼玉西武ライオンズ | 3 |
2009年 | 2億1000万円 | 埼玉西武ライオンズ | 3 |
2008年 | 1億1000万円 | 埼玉西武ライオンズ | 3 |
2007年 | 7000万円 | 西武ライオンズ | 3 |
2006年 | 4400万円 | 西武ライオンズ | 3 |
2005年 | 3400万円 | 西武ライオンズ | 3 |
2004年 | 1000万円 | 西武ライオンズ | 3 |
2003年 | 600万円 | 西武ライオンズ | 56 |
2002年 | 600万円 | 西武ライオンズ | 56 |
2001年 | 600万円 | 西武ライオンズ | 56 |
2004年からは清原和博氏の背番号「3」を背負い、オリックスでは後藤光尊選手のあとを受け、巨人ではゲレーロ選手のあとを受けて、期待されていますが、巨人では過去の背番号5を背負った清原和博氏、アレックス・ラミレス氏、ゲレーロ選手のような強打は影を潜めています。
守備のセイバーメトリクスで代表的なUZRなど、守備範囲の広さは調べてみたのですが、データの取得ができず不明ですが、走力と守備でレギュラー選手を脅かすほどの数字をあげる事は期待できないでしょう。
しかも、メジャーでは左の太もも、NPB復帰時には右の太ももを怪我しており、年齢的にもフルシーズンレギュラーとして出場する事も無理だと思いますので・・
2020年求められる役割は「右の代打」というジョーカー的な起用しか難しいでしょう。
大幅な年俸ダウンも引退後を賭けて奮起を期待
近年の巨人では、阿部慎之助選手、亀井善行選手、その前は高橋由伸選手と代打の切り札が存在しましたが、今年の巨人は左の阿部慎之助選手のみでした。
代打の切り札が固まってくれば、チーム戦術も広がり、継投もしやすくなってきますので、中島選手に求められる役割はとても大きいです。
2018年にはオリックスからの大幅減俸の提示があってから自由契約になった経緯がありますが、今回はさすがにどこの球団も獲得する事はないと思いますので・・・
2019年の年俸は1年契約の1億5000万ですが、成績から見ても大幅なダウンは確実でしょう。
来年、良い結果が出れば、巨人ファンの厳しい批判も減るはずですし、球団も受け入れやすくなってくるはずなので、将来は巨人のコーチとして若手の育成にあたる事も可能かもしれません。
そのためにも「結果が全て」だと思いますので・・
2020年こそ「中島と契約して良かった」と球団もファンも思えるような活躍を願っています。
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