今季、セットアッパーとして期待されていた谷岡竜平選手。
2018年の秋季キャンプから期待されていただけに、キャンプ前に「右肩関節唇損傷」での離脱は痛かったですが、その後も保存療法で手術をせずに痛みと付き合いながらリハビリに務めるも状態が上がらず。
結局、9月には「右肩ベネット骨棘切除術」を行い、来季から育成契約でリハビリを続ける事になりますが、持ち前のストレートとフォークは、復活すればリリーフエースになれる魅力がありますので、頑張って支配下登録復帰を目指してほしいと思います。
球団も背番号「40」は空けて待ってくれると、谷岡選手のリハビリを応援してくれていますので、焦らず怪我を完治させて欲しいと願ってます。
今回は、育成契約から這い上がってくる谷岡選手の魅力について、過去の成績やデータから紹介したいと思います。
谷岡竜平選手のプロフィール
最初に谷岡選手のプロフィールですが、
出身校 | 成立学園高→東芝 |
身長 | 181センチ |
体重 | 87キロ |
高校2年時に甲子園へ出場していますが、目立った成績もなく、スカウトの目に止まる事もなかったのですが、野球を続けるために社会人野球に進み東芝へ入社。
東芝では3年間在籍し、スカウトからの評価も高く、巨人だけでなく中日ドラゴンズも熱心に獲得調査をしていたようで、当時のスカウトは
「腕の振りが浅尾(中日)に近いね。投げ方は違うけれど、シャープに振れる。浅尾の一番いいところが腕の振りだから。谷岡は候補選手の一人。3年目だからむしろ将来性を見てあげなきゃいけない。非常に楽しみなピッチャーであるのは間違いない」
と高い評価をしていましたが、巨人が2016年ドラフト3位で獲得しました。
巨人では、1年目から1軍デビューを果たし、2018年には中継ぎとして25試合に登板し2勝をあげて2019年はセットアッパーとして期待されてますが、右肩関節唇損傷でキャンプ前にリタイアし、9月には右肩ベネット骨棘切除術の手術に踏み切っています。
肩関節唇損傷とはどんな怪我なの?
ところで、「肩関節唇損傷」ってどんな怪我なのか?野球選手が怪我をする箇所として肘、膝、と合わせて多い肩の怪我。
この肩の怪我には、
- 腱板損傷
- 関節唇損傷
- インピンジメント症候群
と様々な怪我の種類がありますが、谷岡選手の肩関節唇損傷になると「肩が脱臼したような力の入らない状態」になってしまうそうです。
損傷は、長年にわたって野球で消耗した、肩の関節内にある関節唇という軟骨が、関節窩からはがれる事で起きるそうですが京都下鴨病院さんのサイトの図解によると、
→ 関節唇損傷の治療事例図解より引用
治療方法は
- 保存療法 リハビリで身体を整える
- 手術 関節鏡を使って糸付きビスなどで固定する
のが一般的ですが、谷岡選手が行った術式は「右肩ベネット骨棘切除術」と呼ばれる方法です。
ベネット骨棘切除術とはどんなもの?
肩関節の臼蓋に出来た骨の棘(トゲ)が、投球動作の際に肩の後方に当たって痛みが出ているため、骨のトゲを削って痛みをなくす手術だそうです。
手術をウケるとベネット骨の切除だけであれば、投球練習を再開するのに1ヶ月程度と言われますが、他にも複合的に肩の関節唇の損傷が見られる場合は、4~6ヶ月程度要するとの事です。
肩関節唇損傷の手術を受けたプロ野球選手の事例
肩関節の損傷は、ピッチングに影響する可能性が大きいのが可動域が狭められたり、投球制限を加えられたり、再発防止のため投球フォームを変える事も必要な場合があります。
また、肘の怪我に比べて、肩の怪我はリハビリ期間が長くなるため、メンタル面でもモチベーションを維持し続ける事が必要になります。
そのため、肘よりも肩にメスをいれるのは本当に勇気がいる事で、肩の手術をしたプロ野球選手の事例で言えば
- 斎藤佑樹投手(日本ハム)
- 森慎二投手(西武ライオンズ)
- 斉藤和巳投手(ソフトバンクホークス)
- ジェフ・ウィリアムズ投手(阪神タイガース)
- 馬原孝浩投手(オリックスバッファローズ)
- 中里篤史投手(中日ドラゴンズ)
- 松坂大輔(西武ライオンズ)
- 釜田佳直(楽天イーグルス)
と、そうそうたる選手が手術に踏み切り、復帰を目指していますが、トミージョン手術と違って、復帰後にパフォーマンスを上げたという事例が少ない事も事実です。
谷岡選手がキャンプ前に発症し、保存療法で肩にメスを入れずに状態があ上がるのを待ったのも、肩の手術がいかに大変か?という事を考えての事だったと思います。
それでも術後は良好で、1ヶ月ほどでキャッチボールが出来るまで回復している事を考えると、早期の復帰も可能ですが、焦らずしっかりと完治を目指してほしいところですね。
谷岡竜平選手の主な投手成績
ここまで谷岡選手のプロフィールと肩の状態についてでしたが、ここからは谷岡選手の主な投手成績について紹介したいと思います。
まず、ファームでの結果ですが、
防御率 | 試合数 | 勝利 | 敗北 | セーブ | 勝率 | 投球回 | 被本塁打 | 与四球 | 与四球率 | 奪三振数 | 奪三振率 | WHIP | |
2017 | 2.98 | 33 | 4 | 2 | 0 | .667 | 51.1 | 8 | 14 | .273 | 44 | 0.86 | 1.23 |
2018 | 1.65 | 26 | 2 | 1 | 3 | .667 | 27.1 | 1 | 8 | .295 | 31 | 1.14 | 0.95 |
ファームでは高い奪三振率を誇り、防御率も3点以内、特に2018年には1.65と好成績もあって一軍でも25試合に出場しています。
次に、一軍での成績ですが、
年度 | 登板 | 勝利 | 敗北 | セーブ | HP | 勝率 | 投球回 | 本塁打 | 四球 | 与四球率 | 三振 | 奪三振率 | 防御率 |
2017 | 5 | 0 | 1 | 0 | 0 | .000 | 6 | 1 | 8 | 1.33 | 7 | 1.17 | 12.00 |
2018 | 25 | 2 | 1 | 0 | 4 | .667 | 25 | 1 | 16 | 0.64 | 25 | 1.00 | 5.76 |
ファームと同様に、高い奪三振率を誇っており、リリーフ向きである事が分かります。
谷岡選手の課題は長打が多い事
一方で、防御率は5.76と高めになっているので、その理由をセイバーメトリクスなどのデータで調べてみたところ「被打率、被出塁率、被長打率が高い」事が分かりました。
2018年の谷岡選手の被打率、被出塁率、被長打率ですが、
被打率 | 被出塁率 | 被長打率 |
.444 | .571 | .630 |
OPSにすると「1.201」と非常に高いため、ホームランは打たれていませんが、長打を食らうケースが多いという事が言えます。
谷岡選手の得点圏や左右別の打者成績
また、谷岡選手の得点圏のランナーを背負った時のデータを見ると、
打率 | 本塁打 | 単打 | 二塁打 | 三塁打 | 四球 | 三振 | 出塁率 | 長打率 | OPS | |
通算 | .500 | 1 | 3 | 2 | 0 | 4 | 2 | .625 | .917 | 1.542 |
ビハインド時 | .600 | 0 | 1 | 2 | 0 | 3 | 0 | .750 | 1.000 | 1.750 |
同点時 | .429 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 2 | .500 | .857 | 1.357 |
得点圏で持ち前の三振を奪えず、四球を出したり、長打を食らうケースが目立ちますので、セットアッパーとして起用される場合は、得点圏でどれだけ粘れるか、三振を奪って切り抜けられるか?がポイントだと言えます。
また、左右の打者別のデータを見ると、
打率 | 四球 | 三振 | 出塁率 | 長打率 | OPS | |
右 | .375 | 3 | 4 | .474 | .438 | .911 |
左 | .556 | 5 | 2 | .714 | .889 | 1.603 |
左打者に対する被打率があまりに高いだけでなく、右打者に対しても.375と左右どちらに対しても抑えるのに四苦八苦している様子が伺えます。
二軍では無双状態の谷岡選手も、一軍で生き残っていくため、またセットアッパーなど勝ちパターンで起用されるためには、せめて左右3割を切る被打率まで落とさなければ起用は難しいですね。
谷岡竜平選手の投球割合と球種
続いて、谷岡選手の投球の中身ですが、球種はストレート、フォーク、スライダーと少ないですが、スライダーは社会人の時の決め球として使っており、縦に落ちる変化を見せる珍しい球種です。
それぞれの球種のデータを見ると、
球種 | 投球割合 | 被打率 | 被安打 | 被本 | 被四死 | 奪三振 | 空振率 | 見逃率 |
ストレート | 45.26% | .563 | 9 | 0 | 4 | 0 | 0.00% | 24.19% |
フォーク | 40.15% | .250 | 2 | 0 | 3 | 6 | 14.55% | 14.55% |
スライダー | 14.60% | .333 | 1 | 1 | 1 | 1 | 20.00% | 20.00% |
ストレートと同じくらいの割合でフォークを使っていますが、初球からフォークを見せたり、変化球を使ってカウントを整えられる投手であるのが分かる一方で、気になるのが「ストレートで空振りが取れない」という点です。
ストレートの最速は150キロ、平均球速が140キロ~145キロという事で、最速と平均球速の差がリリーフにしては大きい印象です。
ストレートの質に関してデータがありませんので想像しか出来ませんが、これだけ空振りが取れないという事は垂れるストレートでだと思われます。
2018年オフの契約更改で「直球の質」をテーマにしていた事からも、谷岡選手自身も直球のキレをもっと出さないと、プロで通用しないという意識があったように思えます。
手術後、当面は投球練習が出来ないと思いますので、オフの期間やリハビリを上手く使って、下半身の強化でカバーしてほしいところですね。
谷岡竜平選手の年俸と背番号の推移
次に入団後の谷岡選手の年俸と背番号の推移ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2020年 | 1000万円 | 013 |
2019年 | 1500万円 | 40 |
2018年 | 840万円 | 40 |
2017年 | 1000万円 | 40 |
2020年から育成契約となりますが、年俸は1000万円と500万減にとどまっています。
また、背番号も「40」は空けて待ってくれるという事ですから、来年中に投げられる姿を見せて、アピール出来れば支配下登録も夢ではありません。
まずは、元気に投げられる姿を見せる事、そしてオフやリハビリの間に作ってきた下半身の土台を活かした怪我をしない投球フォームを模索して、復帰を目指して欲しいと思います。
幸い、巨人には右肩の内視鏡手術をしてリハビリをしてきた岩隈久志投手もいます。手術の状況は違うかもしれませんが、肩にメスを入れた同士で分かる事もあると思います。
長いリハビリ期間に挫けそうになる事もあると思いますが、諦めずに必ず復帰出来ると信じて、今は1日1日を大切に歩んで頂きたいと思います。
以上、谷岡竜平選手に関する情報をまとめてきましたが、今後も情報を更新していきたいと思いますので、何か最新情報があればTwitterやコメント頂ければ幸いです。
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