清宮世代で出世頭となった東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手。
思い返せば、ドラフト会議で巨人も獲得のチャンスがあったので、逃した魚を本当に大きいですが、ヤクルトだったからこそ、才能開花が早かったと思います。
巨人入りしていれば、おそらくあと1年、2年先となっていた可能性がありますが、とは言ってもたらればの話で、根も葉もない話になりますが・・
これから先、村上選手の成長が楽しみですし、岡本和真選手と良いライバル関係を築いて、ホームラン王争いが出来るような選手になってほしいので・・・
今回は村上宗隆選手の特徴や課題を、成績やデータを見ながら考察していきたいと思います。
村上宗隆選手のプロフィール
はじめに、村上選手のプロフィールですが、
出身校 | 九州学院高等学校 |
身長 | 188センチ |
体重 | 97キロ |
九州学院高等学校では、1年生からレギュラーを取り、夏の甲子園にも出場しますが、出場したのはこの1回限りで、2年、3年では地区大会で敗退しています。
それでも、高校通算本塁打52本を放ち「肥後のべーブルース」と呼ばれスカウトにも注目されていた逸材です。
同世代のドラフト1位選手には
セ・リーグ | 指名選手 | パ・リーグ | 指名選手 |
広島東洋カープ | 中村奨成 | 福岡ソフトバンクホークス | 吉住晴斗 |
阪神タイガース | 馬場皐輔 | 西武ライオンズ | 斉藤大将 |
横浜DeNAベイスターズ | 東克樹 | 楽天イーグルス | 近藤弘樹 |
読売ジャイアンツ | 鍬原拓也 | オリックス・バファローズ | 田嶋大樹 |
中日ドラゴンズ | 鈴木博志 | 北海道日本ハムファイターズ | 清宮幸太郎 |
千葉ロッテマリーンズ | 安田尚憲 |
7球団競合の清宮選手をはじめ、3球団競合の安田選手と左のスラッガーがずらりと揃う当たり年。
清宮選手に7球団が競合したので、村上選手と安田選手も外れ一位となりましたが、清宮選手に見劣りしない実力を秘めた選手ですので、3人の中で才能を一番に開花させたのが村上選手という事です。
村上宗隆選手の主な打撃成績
村上選手の2年間の成績ですが、1年目は1軍出場は6試合のみの出場となりますが、2年目はフル出場し、
試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 四球 | 三振 | 打率 | 長打率 | 出塁率 | OPS | |
2018 | 6 | 1 | 1 | 2 | 2 | 5 | .083 | .333 | .214 | .547 |
2019 | 143 | 118 | 36 | 96 | 74 | 184 | .231 | .481 | .332 | .813 |
ホームラン36本は、高卒二年目の最多本塁打記録を持っていた中西太氏と並び、66年ぶりの大記録を達成しましたが、記録更新とはいきませんでした。
また、かなりいびつな形の成績になっているのが高卒二年目の中西太氏と歴代2位の清原和博氏のデータと比較すると見えてくるのですが、
試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 四球 | 三振 | 打率 | 長打率 | 出塁率 | |
中西太 | 120 | 146 | 36 | 86 | 41 | 52 | .314 | .619 | |
清原和博 | 130 | 115 | 29 | 83 | 80 | 88 | .259 | .525 | .382 |
と試合数は違いますが、三振数と出塁率に大きな開きがあって、村上選手の三振数は184とリーグワースト記録です。
ただ、三振数が多い事は、小川監督の育成方針であったようで、「改善しようとして、自分の長所をなくしてしまっては意味がない」ため、小さくまとまらずに、三振してもフルスイングを貫いた結果だったのです。
今年は実質1軍一年目と言えますから、たくさんの経験を活かして、三振数も減ってくれば、打率もアップし、出塁率も上がってくると思うので、心配はないでしょう。
村上宗隆選手のホームラン方向に特徴が
村上選手を知る上で、ホームランの方向を見ると面白いデータが分かりますが、
レフト方向 | センター方向 | ライト方向 | |
打率 | .116 | .253 | .516 |
本塁打数 | 13本 | 5本 | 18本 |
半数がセンターから逆方向へのホームランと、球場をめいいっぱい使って本塁打数を伸ばしていますが、ここでも珍しいのが一般的に全方向へホームランを打てる選手は打率も上がりがちなのですが・・・
村上選手の場合は、レフト方向の打率が.116と恐ろしく低い打率になっています。
ホームランは出ますが、安打数が伸びないと、打率も上がってきませんので、来年以降の村上選手の成長を見ていく一つのデータとして、「反対方向への安打数を増やす」事を見てみるのも面白いのではないでしょうか。
村上宗隆選手の球場別ホームラン数
次のデータですが、球場別のホームラン数を確認したところ、
球場 | 打率 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 三振 | 四球 |
東京ドーム | .258 | 8 | 2 | 3 | 13 | 5 |
神宮 | .261 | 60 | 18 | 47 | 83 | 34 |
横浜 | .104 | 5 | 3 | 4 | 18 | 8 |
ナゴヤドーム | .209 | 9 | 1 | 7 | 13 | 4 |
甲子園 | .216 | 8 | 2 | 4 | 12 | 4 |
メットライフ | .091 | 1 | 1 | 2 | 5 | 2 |
京セラD大阪 | .059 | 1 | 0 | 2 | 10 | 1 |
岐阜 | .000 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
郡山 | .500 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 |
松山 | .500 | 2 | 1 | 3 | 1 | 0 |
長野 | .250 | 1 | 0 | 2 | 0 | 2 |
札幌ドーム | .364 | 4 | 1 | 4 | 4 | 2 |
楽天生命パーク | .143 | 1 | 1 | 2 | 5 | 3 |
秋田 | .250 | 2 | 0 | 1 | 4 | 1 |
マツダスタジアム | .269 | 14 | 6 | 15 | 15 | 7 |
ホームランの半数が神宮球場ですが、マツダスタジアムで6本を放っていて、広島戦に強いのが分かりますが、地方球場でも打率は高めですので、ホームグラウンド以外でも驚異を放っています。
こうやってみると、内弁慶ではない事が分かりますし、「狭い神宮球場だから打てたんでしょ?」なんて事もないので、村上選手のパワーは本物だと分かるかと思います。
村上宗隆選手の打撃をセイバーメトリクスから見ていこう
ここまでホームランに関してのデータのみで村上選手の特徴を見てきましたが、ここからはセイバーメトリクスを活かして村上選手の凄さを確認していきたいと思います。
最初に「OPS」ですが、出塁率が低い割には.800を超えていますが、OPSを考案したビルジェームスという方によると、目安として
ランク | 評価 | OPS |
A | 素晴らしい | .900以上 |
B | 非常に良い | .8334〜.8999 |
C | 良い | .7667〜.8333 |
D | 並 | .7000〜.7666 |
E | 平均以下 | .6334〜.6999 |
F | 悪い | .5667〜.6333 |
G | 非常に悪い | .5666以下 |
と評価を分けています。
各球団の4番打者や主力級になれば、Aクラスが多いですが、村上選手の場合はCクラスで「良い」という評価ですが、三振数が減り、今後確実性がアップしてくれば、四球数も増えて打率もアップし、出塁率もアップするはずです。
長打率はすでにセ・リーグ2019年ランキング10位になりますので、一気にOPSトップクラスの仲間入りとなるはずです。
次に「wOBA」と「wRC+」を見ていきましょう。
それぞれの数値ですが、
- wOBA 得点への貢献度を表す数値
- wRC+ wOBAのうち出塁と打撃に関する評価を抜き出し、球場ごとの補正値で算出した数値で、平均を100とした相対評価
となりますが、村上選手のwOBAは.359は両リーグ27位、wRC+は116は両リーグ33位です。
ちなみに、それぞれの一位はwOBA.446、wRC+179で鈴木誠也選手ですが、指標の見方としては、
wOBAは、平均は0.330を基準に
wRC+は、
- wRC+160 超一流
- wRC+140 一流
- wRC+115 平均以上
- wRC+100 平均
- wRC+80 二流
- wRC+75 三流
- wRC+60 四流
とそれぞれ目安がありますが、村上選手はwRC+、wOBAともに平均以上の数字ではありますが、この数字から見ると、村上選手のホームラン数や打点の割には「得点創出の能力は平均程度」という事になります。
wRC+、wOBAは、総合力を見るセイバーメトリクスになりますので、野球選手として総合的な評価をした場合に、出塁率の低い打者はどうしても得点創出に結びつかないので、平均程度の数値になってしまうのです。
今後、どこまで村上選手が野球人として総合力を高めていってくれるかは、期待してみていきたいと思います。
村上宗隆選手の主な守備成績
次に、村上選手の守備に関するデータですが、割とエラーが多い印象でしたが、守備率とエラー数を調べると
守備率 | エラー数 |
.995 | 5 |
となりますが、目に見えない失点に絡むエラーも多い印象がありますし、今年はファーストを守っていましたが、球団としてはゆくゆくは川端選手に変わってサードを守って欲しいので、守備力の向上は課題です。
しかし、残念なことに守備を磨く絶好の機会となる秋季キャンプは、下半身のハリもあり回避しています。
来春に向けて自主トレから守備練習を積んでいかなければなりませんので、しっかり練習を積み上げて春季キャンプで変わった姿を見せて欲しいところですね。
村上宗隆選手の守備をセイバーメトリクスから見ていく
次に、村上選手の守備に関してセイバーメトリクスを参考に見ていきたいと思います。
一つ目ですが「UZR」から紹介したいのですが、UZRは平均的な野手と比べて何点抑える事が出来たかを見る指標ですが、村上選手は「4.2」でリーグ3位です。
ちなみに岡本和真選手は、「-9.0」とリーグ11位で最下位となっていますが、岡本選手に比べると随分と守備が良い事は、筆者としては驚きでした。
村上選手は、恵まれた体型で100キロ近い体重がありますが、実はかなり俊敏性の高い選手で、50mは6.1秒で走る事が出来るそうです。
筆者の予測ですが、村上選手はこの俊敏性を活かして、足を動かせるので、割と守備範囲が広いという事ではないか??
また、キャッチャーをしていたので、ハンドリングも上手くて、キャッチングも安定するのでエラーも少ないのでは??と思いました。
村上宗隆選手の年俸と背番号の推移
次に、村上選手の年俸と背番号の推移ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2019年 | 800万円 | 55 |
2018年 | 720万円 | 55 |
入団時に松井秀喜氏の背番号「55」を背負い、順調に成長してきていますので、山田哲人選手の次にヤクルトの顔となるなら、背番号「1」を背負う日がくるかもしれません。
また、年俸についてもニュースによると、5倍の4000万が提示されるのではないか?と言われています。
4500万で契約更改!当初予定されていた5倍以上の査定で村上選手もホッコリ顔でした!
高卒一年目に年俸大幅アップを勝ち取った先輩たち
実質一年目と考えた場合で、高卒一年目から二年目にアップした選手のランキングですが、
選手名 | 金額(推定) | |
1位 | 松坂大輔 | 1300→7000万 |
2位 | 田中将大 | 1500→6000万 |
3位 | 藤浪晋太郎 | 1500万→4500万 |
となっています。
この三人は1年目の活躍で査定されているので、高卒2年目の村上選手とは比較にならない怪物ですが、それでも村上選手の年収アップがどれだけ凄いことか??を推し量る事はできるかと思いましたので、紹介させて頂きました。
ヤクルトでは高卒2年目の選手では、2010年の由規投手の2600万アップ(5勝10敗防3.50)を遥かに超える球団史上初となる昇給額との事です。
ちなみに、各球団の4番打者の契約更改ですが、
セ・リーグ | 選手名 | 契約更改額 | パ・リーグ | 選手名 | 契約更改額 |
読売ジャイアンツ | 岡本和真 | 8000万→1億4000万 | 西武ライオンズ | 中村剛也 | 2億8000万→3億5000万 |
横浜DeNAベイスターズ | 筒香嘉智 | 3億5000万→4億 ※2018年データ |
福岡ソフトバンクホークス | 柳田悠岐 | 5億7000万→未更改 |
阪神タイガース | 大山悠輔 | 3000万→4700万 | 楽天イーグルス | ジャバリブラッシュ | 1億2000万→未更改 |
広島東洋カープ | 鈴木誠也 | 1億6000万→未更改 | 千葉ロッテマリーンズ | ブランドン・レアード | 1億1880万→2億3800万 |
中日ドラゴンズ | ダンビシエド | 3億→未更改 | 北海道日本ハムファイターズ | 中田翔 | 2億8000万→2億9000万 |
オリックス・バファローズ | 吉田正尚 | 8500万→2億 |
と大山選手以外は1億円超えプレーヤーばかりですので、近い将来村上選手も1億円を超えていくと思いますので、楽しみですね。
同じ球団の選手の年俸の上がり方は参考になるかも??
村上宗隆選手2020年以降の活躍
東京ヤクルトスワローズは、主力のバレンティン選手がソフトバンクへ移籍するため、来季の4番は村上選手が担う事が決定的だと思います。
今年は圧倒的な打力は驚異でしたが、投手陣が壊滅的だったので、ドラフトでも投手中心に補強をしています。
いい若手が多いですよ!
→ 東京ヤクルトスワローズの期待の若手は?バレンティン流出で攻撃力ダウン?
ドラフト1位には星稜の奥川投手も獲得できましたので、投手力の底上げが期待出来そうですが、村上選手自身も打率.250、出塁率.320、ホームラン40本、打点100以上を狙って欲しいところです。
4番が固まれば、チームも落ち着きますし、勝利に直結する選手へ村上選手が成長を遂げれば、きっとヤクルトは首位争いが出来るはずです。
巨人はドラフトを外して残念でしたが、巨人スカウト陣も認めた村上選手ですが、巨人には杉村コーチも今年移籍してきた石井琢朗コーチもいませんので、才能を開花させるのに時間を要した可能性があります。
選手層の厚さやコーチ陣容を考えると、村上選手にとってはヤクルトは最適な球団だったように思えます。
是非とも、スカウトが評価した打撃力をさらに伸ばして、我々も楽しませてくれたらと思います。
同じ若き大砲をまとめています。