秋季キャンプからサイドスローへ転向する事になった鍬原拓也投手。
2017年のドラフト1位も先発、リリーフと経験し、勝負の3年目を迎えます。
原監督の発案でサイドスロー転向となったようですが、中学生まではサイドスローで投げていたため、違和感もなく、すんなりと今の所収まっているようです。
平成の大エース、斎藤雅樹氏のようなサイドスローで大成なるか?2020年は先発?それともリリーフでの起用?
いずれにしても、潜在能力は一目置かれている存在なので、オフに一回り成長して春季キャンプでアピールしてほしいところですが、来季に向けての課題は何か?を過去の成績、年俸、データに基づいて考察していきたいと思います。
鍬原拓也選手のプロフィールと成績
最初に、鍬原選手のプロフィールですが、
出身校 | 北陸高→中央大 |
身長 | 178センチ |
体重 | 85キロ |
阿部監督、亀井選手、澤村選手と続く、中央大学出身のプロ選手。
身長は平均ですが、体重85キロと1年目よりも2年目は身体が大きくなって、がっしりしてきた印象がある鍬原投手。
調べてみると、入団時の体重が76キロとなっていましたので、約10キロ増量した事になります。
どうりで、身体ががっしりしてきた印象があるわけですね。
巨人同期のドラフトは、岸田行倫、大城卓三、北村拓己、田中俊太、若林晃弘と一軍経験者揃い。
残りの村上海斗、湯浅大の両選手も秋季キャンプメンバーと期待されているため、2017年ドラフトは今のところ今後の巨人の中核を担いそうなメンバーが多く占めているという事になります。
また、12球団の同期には、
2017年主なドラフト活躍選手
高橋礼(福岡)、遠藤淳志(広島)、高橋遥人(阪神)、東克樹、神里和毅、桜井周斗(横浜)、田嶋大樹、福田周平(オリックス)、鈴木博志、山本拓実(中日)、安田尚憲、藤岡裕大(ロッテ)、村上宗隆(ヤクルト)
と主力に成長している選手も多いです。
鍬原拓也投手の主な投手成績
ここで鍬原投手の主な投手成績を紹介したいのですが、
登板 | 勝利 | 敗北 | セーブ | HP | 勝率 | 投球回 | 本塁打 | 四球 | 三振 | 防御率 | |
2018 | 6 | 1 | 2 | 0 | 0 | .333 | 27.2 | 6 | 17 | 35 | 6.83 |
2019 | 15 | 0 | 1 | 0 | 2 | .000 | 19 | 4 | 4 | 16 | 4.74 |
このデータを基に
- 被本塁打率
- 四球率
- 奪三振率
を計算して、鍬原投手の課題を探していきます。
まず1つ目の「被本塁打率」ですが、
- 2018年 1.952
- 2019年 1.895
と「非常に高い」です。
被本塁打率は9イニング投げて、ホームランを何本打たれるか?というデータなので、一試合で2本打たれるという事は、ソロでも2点、複数塁打となれば4点、5点と奪われるわけですから、防御率は4点台以上になる可能性が高いと言えます。
2つ目の「四球率」ですが、
- 2018年 5.530
- 2019年 1.895
と大幅に改善はしていますが、先発をしていた時とリリーフで役割が変わった事もあっての変化かもしれませんので、大学時代の制球に関する評価を調べてみたところ・・
どの球団の評価もストレートの球威を評価、決め球のシンカーもプロで通用すると評価し、全体的にまとまっているという印象とも評価しているスカウトもいる事から、制球に難があったわけではないと思われます。
被本塁打率の高さを見てしまった以上、無駄な四球は減らしてもらわないと、ランナーが出たらヒヤヒヤもんですので・・2019年の数字が本物であってほしいと願っています。
3つ目ですが「奪三振率」です。
- 2018年 11.385
- 2019年 7.578
と四球率と逆に数字を落としていますが、もともと奪三振能力が高く、プロでも珍しい変化をするシンカーは阪神の江本さんの「エモボール」をヒントに「鍬ボール」と名付けられていたほど。
直球でも、変化球でも空振りを狙えるという前評判だったので、奪三振率は高く出来ると予想されます。
鍬原投手の特徴をセイバーメトリクスから分析
次に、鍬原投手の成績をさらに詳しいセイバーメトリクスから紹介したいのですが、
被打率 | 被出塁率 | QS | QS率 | FIP | DIPS | RSAA | WHIP | 得点圏被打率 | 得点圏出塁率 | 得点圏長打率 | 得点圏OPS | 右被打率 | 左被打率 | |
2018 | .230 | .355 | 1 | 20.00% | 5.47 | 5.47 | -8.19 | 1.45 | .286 | .407 | .714 | 1.122 | ||
2019 | .236 | .295 | 0 | 0% | 5.12 | 5.12 | -1.99 | 1.11 | .263 | .364 | .789 | 1.153 | .235 | .237 |
2018年は先発としての評価をするとして、山口俊投手と比較してみると、
被打率 | 被出塁率 | QS | QS率 | FIP | DIPS | RSAA | WHIP | |
2019年 | .222 | .302 | 18 | 69.23% | 2.79 | 2.79 | 20.63 | 1.16 |
最多勝投手と比べるのは、かなりハードルが高いとは思うのですが、来季は山口俊投手の穴を埋める活躍は期待したいので、あえて比較していきます。
被打率に関しては、そこまで大きく変わらないですが、被出塁率以降が全く変わってきますが、この理由は「得点圏被打率の低さ」ではないかと思われます。
得点圏被打率 | 得点圏出塁率 | 得点圏長打率 | 得点圏OPS | |
2019年 | .230 | .304 | .309 | .614 |
結果を残す投手は、当たり前の事かもしれませんが、「ピンチに強い」わけで、菅野投手もそうですが、得点圏にランナーを背負ってからギアが明らかに変わったりします。
鍬原投手は、観戦していてもいつも100%以上で必死に投げている印象なので、バッターを見下ろして投げれるほどの余裕が備わっていない感じがします。
余裕が出てくるには、プロに慣れるだけでなく、自分自身の球威が通用すると自信を持てるか?だと思いますので、小さな結果を積み上げて、結果を自信に繋げて欲しいと思います。
その点では、秋季キャンプのソフトバンクホークスとの対外試合で1回7球すべてストライク、最速148キロがサイドスローで出た事は自信になるのではないかな?と思います。
次に、2019年をリリーフとして評価をするとして、DeNAの山崎投手と比較してみると、
被打率 | 被出塁率 | FIP | DIPS | RSAA | WHIP | |
2019年 | .198 | .261 | 3.47 | 3.47 | 10.46 | 1.05 |
絶対的守護神なので、当然ながら全ての数字が一流ですが、特筆すべきはRSAAがプラスかつ圧倒的な数字だというところ。
ただし、これでも絶対的な抑えという立場からすると「低い数字」だと思っていて、かつて巨人の絶対的な鉄壁リリーフを構築したスコット鉄太朗の2013年のRSAAを見ると
スコット・マシソン | 19.70 |
山口鉄也 | 18.20 |
西村健太朗 | 22.50 |
です。
2019年阪神の守護神を途中から務めた藤川球児投手も「15.60」です。
リリーフエースを目指すのであれば、最低でもRSAAは10以上を目指して欲しいと、筆者的には感じます。
鍬原拓也投手の年俸と背番号の推移
次に、鍬原投手の年俸と背番号ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2019年 | 1650万円 | 29 |
2018年 | 1500万円 | 29 |
と入団時から年俸は150万アップですが、今オフの契約更改はまだ行っていませんが、他の選手を見ていると、おそらくプラス査定されると思われます。
また、背番号29ですが、吉川尚輝選手が0から29へ変更する事がすでに発表されていますので、変更が予定されていますが、何番になるのでしょうか?
読売巨人軍の2020年背番号はどうなる?2019年は背番号シャッフルが成功?
で書かせて頂きましたが、今のところの空き番号は、
背番号 | 前選手 |
7 | 長野久義(2019年空き番) |
10 | 阿部慎之助 |
12 | 高橋優貴 |
19 | 上原浩治 |
20 | スコット・マシソン |
40 | 谷岡竜平 |
44 | アレックス・ゲレーロ |
46 | 大城卓三 |
49 | ヤングマン |
となりますが、他の選手とのシャッフルもあるのでしょうか?契約更改が楽しみですね。
鍬原拓也投手は2020年は先発?リリーフ?
ここまで鍬原投手のデータを見ながら、課題をあげてきましたが、サイドスローに転向したものの原監督は2020年に鍬原投手をどのように起用しようと考えているのでしょうか?
もう一度、鍬原投手のデータから特徴をまとめておくと、
奪三振率 | 2018年は11.385とかなり高い。 |
四球率 | 2019年は1.895とかなり低くなり、制球が安定した可能性があり。 |
被本塁打率 | 2018年は1.9台、2019年は1.8台と相当高い数字。 |
この3つの数字に特徴があるという事でした。
鍬原拓也投手の球種と投球割合
ストレートと変化球の投球割合やデータをさらに見ていくと、
2018年 | 投球割合 | 被打率 | 空振率 | 見逃率 |
ストレート | 59.07% | .275 | 4.10% | 19.45% |
スライダー | 17.14% | .278 | 11.76% | 25.88% |
カーブ | 4.84% | 1.000 | 4.17% | 33.33% |
シンカー | 14.52% | .095 | 25.00% | 6.94% |
フォーク | 4.23% | .000 | 28.57% | 9.52% |
2018年は主に先発として起用でしたが、ストレートが60%近くという事で、球威で押すピッチングにスライダーとシンカーで左右に散らすのがベースの投球です。
スライダーとシンカーの空振り率が高いのは評価できますが、気になるのが「ストレートの空振り率が低い」という事。
逆にリリーフをメインに起用された2019年ですが、
2019年 | 投球割合 | 被打率 | 空振率 | 見逃率 |
ストレート | 59.34% | .304 | 8.64% | 13.58% |
カーブ | 5.13% | .400 | 0.00% | 14.29% |
シンカー | 11.72% | .091 | 21.88% | 9.38% |
スライダー | 20.88% | .000 | 12.28% | 28.07% |
フォーク | 2.93% | .000 | 12.50% | 12.50% |
配球割合に大きな変化はありませんが・・・
逆にリリーフには珍しく、カーブを投げていますが、カーブの被打率が.400と高い結果が出ていますが、リリーフでカーブは必要なんでしょうか?疑問の配球です。
また、先発と同様にシンカーの空振り率は高く、スライダーに関しては見逃し率が高くなっていますので、先発でもリリーフでも変わらず鍬原投手の配球に欠かせない球種になっています。
ストレートで空振りが取れる投手といえば、筆者のイメージでは「藤川球児」一択なんですけど、藤川投手のストレート割合は約74%、鍬原投手よりも多くストレートを投げます。
しかし、ストレートでの空振り率と見逃し率は、
空振り率 | 12.26% |
見逃し率 | 17.65% |
と明らかに球質に差を感じるデータ結果となっていますので、鍬原投手は「直球の質が空振りが取れるほど高くない」可能性があります。
初球を痛打されるケースもあり
また、もう一つ参考になるデータとして、「カウント別データ」を見つけたのですが、鍬原投手はカウント0-0、つまり初球の被打率が「.429」です・・
しかも、初球のデータですが、
- ストレート割合 60%以上
- 被安打数 6本
- 被ホームラン数 3本
と最悪の結果です。もう少し慎重に初球の入り方を考えなければ、リリーフには向いていません。
リリーフでは、
- 一点を争うような展開
- 点差が詰められて流れが相手に渡るところを止める
のが役割で、相手から「この投手が出てきたら終わりだな」と思わせないといけないので、鍬原投手の奪三振率の高さは魅力的ですが、リリーフ起用する場合は、気をつけなければいけないと思います。
これらのデータから、筆者の個人的な見解ですが、ある程度のホームランは仕方がない・・と割り切っての「先発起用」が良いのではないか??と思います。
長い回を投げる中で、QS達成率55%前後を目指してくれれば、イニング数も100~120くらいは回ると思いますし、勝ち星も5~8勝程度はついてくると思います。
防御率に関しては、今年の桜井投手と同じくらい決して良いとは言えませんが、4点台前半くらいになりそうかな?
と思いますが、山口俊投手の抜ける穴を一人で埋めるというよりは、先発5番手、6番手の二人で埋めていくくらいのイメージで良いと思いますので、鍬原投手にはその役割を担って欲しいと思います。
サイドスロー転向という事で、今までのデータが役に立たない可能性も高いですが、平成の大エース斎藤雅樹氏のような大化けで、巨人ファンを沸かせて欲しいですし、2020年が飛躍の1年になりますように、個人的には応援していきたいと思います。
以上、鍬原拓也投手に関するまとめになりますが、Twitterではファンの皆様にアンケートをお願いしておりまして、「鍬原投手は来年先発?リリーフ?どちらが見たい?」という事でやっておりますので、良かったらご投票頂ければ幸いです。
鍬原投手のサイドスロー。
大成するか注目していますが…先発、リリーフ…
どちらで起用するんだろう⁉️
皆さんなら、どちらを観たいですか❓— たーくん@巨人愛溢れる二児のパパ (@takun_baseball) 2019年12月2日
その他、鍬原投手に関する最新情報などあれば、コメントやTwitterでいただけましたが、更新していきますので、良かったらご協力お願い致します。
来季飛躍しそうな右腕は??