広島東洋カープから国内FA宣言はせず、ポスティングシステムを使っての大リーグ挑戦を目指している菊池涼介選手。
近年、日本人内野手が何人も挑み続けてきましたが、外野手や投手で成功した例はありますが、内野手では大きく成功した事例は、井口資仁現ロッテ監督と松井稼頭央現西武二軍監督くらいしかいません。
菊池選手も、守備では大リーグでも上位レベルとなれる可能性がありますが、課題の打撃については未知数なところもあり、メジャーでも評価は二分されているとか。
そんな菊池選手ですが、メジャー入りが決まれば、どれくらいの年俸や成績を出せるでしょうか?過去の成績やデータを参考にして考察していこうと思います。
菊池涼介選手のプロフィール
最初に菊池選手のプロフィールですが、
出身校 | 武蔵工大二高→中京学院大 |
身長 | 171センチ |
体重 | 72キロ |
高校在籍中はサードでプレーも春夏ともに甲子園への出場はなく、大学進学後にはショートでプレー。
ベストナイン5度、2年にはリーグ三冠王するなど、スカウトからの評価も高まり2011年にドラフト2位で広島東洋カープ入りしています。
ドラフト当時、ショートの守備については一歩目の出足の速さ、膝をついたままでもショートからファーストへ投げられる肩の強さが評価され、打撃面では小柄ながらパンチ力のある打撃も評価されていました。
入団後は、プロの世界で三振とエラーも多く荒削りな印象も、当時の野村監督の我慢の起用によって、才能も開花し、忍者とも言われるプレーで見ているファンを虜にしてきました。
菊池涼介選手の主な打撃成績
次に、菊池選手の主な打撃成績ですが、
試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁刺 | 犠打 | 四球 | 三振 | 打率 | 長打率 | 出塁率 | OPS | |
2012 | 63 | 46 | 2 | 12 | 4 | 2 | 25 | 6 | 42 | .229 | .294 | .254 | .548 |
2013 | 141 | 133 | 11 | 57 | 16 | 7 | 50 | 38 | 121 | .247 | .374 | .297 | .671 |
2014 | 144 | 188 | 11 | 58 | 23 | 10 | 43 | 24 | 79 | .325 | .456 | .352 | .808 |
2015 | 143 | 143 | 8 | 32 | 19 | 9 | 49 | 29 | 92 | .254 | .343 | .292 | .635 |
2016 | 141 | 181 | 13 | 56 | 13 | 5 | 23 | 40 | 106 | .315 | .432 | .358 | .790 |
2017 | 138 | 153 | 14 | 56 | 8 | 7 | 30 | 32 | 107 | .271 | .405 | .311 | .716 |
2018 | 139 | 130 | 13 | 60 | 10 | 2 | 30 | 51 | 111 | .233 | .355 | .301 | .656 |
2019 | 138 | 143 | 13 | 48 | 14 | 5 | 28 | 41 | 102 | .261 | .406 | .313 | .719 |
1年目からショートで出場機会を増やしていきますが、レギュラー定着は2年目以降。
田中広輔選手が入団した事で、守備位置がセカンドに代わりましたが、セカンドのレギュラーとなった事で打撃成績も急上昇。
2年目以降は2015年を除いて2桁ホームラン、打率も3割超え2度、盗塁は二桁盗塁が6度とドラフト時の評価どおり、俊足巧打の選手となりました。
一方で、三振数が3桁、四球数が50以下のシーズンも目立ちますので、割と大雑把な打者ですが、2番バッターとしては犠打数も多く、スモールベースボールを考えれば、2番バッターとして重宝されるタイプです。
ちなみに犠打企画数と成功率を調べてみたところ、
犠打企画数 | 犠打数 | 成功率 | |
2012 | 27 | 25 | 92.59% |
2013 | 52 | 50 | 96.15% |
2014 | 44 | 43 | 97.73% |
2015 | 51 | 49 | 96.08% |
2016 | 27 | 23 | 85.19% |
2017 | 34 | 30 | 88.24% |
2018 | 30 | 30 | 100.00% |
2019 | 28 | 28 | 100.00% |
2018年、2019年は成功率100%と完璧な仕事をしています。
菊池涼介選手の打撃をセイバーメトリクスから見てみる
次に、菊池選手の打撃に関するデータをセイバーメトリクスを参考にしてみていきます。
一つ目のデータですが「OPS」ですが、日本では中距離打者の菊池選手ですが、長打率が.406、出塁率.313で合計「.719」です。
目安としては、
ランク | 評価 | OPS |
A | 素晴らしい | 0.900以上 |
B | 非常に良い | 0.8334~0.8999 |
C | 良い | 0.7667~0.8333 |
D | 並 | 0.7000~0.7666 |
E | 平均以下 | 0.6334~0.6999 |
F | 悪い | 0.5667~0.6333 |
G | 非常に悪い | 0.5666以下 |
となり、「平均以下」となりますが、菊池選手を計るのはOPSよりも走力も加味した「wOBA」、「wRC+」で見たほうが、価値が分かりやすいと思いますので調べてみる事にしました。
- wOBA 得点への貢献度を表す数値
- wRC+ wOBAのうち出塁と打撃に関する評価を抜き出し、球場ごとの補正値で算出した数値で、平均を100とした相対評価
年度 | wOBA | wRC+ |
2012 | ||
2013 | ||
2014 | 0.364 | 116 |
2015 | 0.289 | 80 |
2016 | 0.364 | 122 |
2017 | 0.331 | 105 |
2018 | 0.309 | 81 |
2019 | 0.333 | 100 |
2014年以前のデータはありませんでしたので、2014年以降の数字になりますが、
wOBAは平均が0.333以上あれば優秀、wRC+は
wRC+160 | 素晴らしい |
wRC+140 | 非常に良い |
wRC+115 | 平均以上 |
wRC+100 | 平均以上 |
wRC+80 | 平均以下 |
wRC+75 | 悪い |
wRC+60 | 非常に悪い |
を基準で見ていく事になりますが、走力面も加味した総合的な攻撃力という点で、菊池選手は残念ながら平均の選手とは変わらないという評価になります。
あともう一つの指標ですが、選球眼を見るための数値として「BB/K」がありますが、菊池選手のBB/Kはご覧の通りです。
BB/K | |
2012 | 0.14 |
2013 | 0.31 |
2014 | 0.30 |
2015 | 0.32 |
2016 | 0.38 |
2017 | 0.30 |
2018 | 0.46 |
2019 | 0.40 |
BB/Kは、四球を三振で割って数値化しており、1.00を超えると四球を選べる選手という事で選球眼が良いと言われていますが、見ての通り0.50以下です。
四球数と三振数を見れば、ある程度は予測出来ましたが、ここまで数字が低いとは意外です。
菊池涼介選手は得点圏打率が高い選手なのでは?
ただ、意外性のあるバッティングで、パンチ力もあるため、得点圏など集中力の増す場面で勝負強さを発揮しているのではないか??と調べてみたところ
打率 | OPS | 得点圏打率 | 得点圏打点 | 得点圏本塁打 | 得点圏出塁率 | 得点圏長打率 | 得点圏OPS | |
2012 | .229 | .548 | .174 | 9 | 0 | .204 | .174 | .378 |
2013 | .247 | .671 | .257 | 45 | 3 | .315 | .425 | .740 |
2014 | .325 | .808 | .302 | 46 | 2 | .325 | .434 | .759 |
2015 | .254 | .635 | .211 | 23 | 1 | .270 | .281 | .551 |
2016 | .315 | .790 | .343 | 40 | 1 | .393 | .455 | .847 |
2017 | .271 | .716 | .287 | 39 | 3 | .338 | .419 | .757 |
2018 | .233 | .656 | .274 | 42 | 1 | .353 | .378 | .731 |
2019 | .261 | .719 | .333 | 31 | 0 | .398 | .434 | .833 |
1年目、2年目こそ打率、OPSを上回る事はないですが、2015年を除いて得点圏にランナーがいる時には、勝負強さを発揮し、OPSも.800を超える数値をあげています。
巨人戦の時に、意外な場面やランナーがいる場面で、けっこうやられている印象が強かったので、データを見る限り、打撃面に関しては「集中力の増す場面意外では、脆さがあるのかも??」という印象を抱きました。
菊池涼介選手の主な守備成績
次に、菊池選手といえば守備の人、打撃面での評価はイマイチだったかも知れませんが、圧倒的な守備範囲と正確な捕球、スローイングでチームのピンチを幾度も救っています。
守備だけでお金をもらえる数少ないプレーヤーだと思いますが、菊池選手の主な守備成績は
刺殺 | 捕殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 | |
2015 | 324 | 484 | 10 | 81 | .988 |
2016 | 307 | 525 | 4 | 102 | .995 |
2017 | 281 | 407 | 5 | 81 | .993 |
2018 | 296 | 420 | 3 | 92 | .996 |
2019 | 272 | 387 | 10 | 80 | .985 |
となりますが、比較出来るように山田哲人選手のデータをまとめたところ、
刺殺 | 捕殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 | |
2015 | 337 | 472 | 9 | 103 | .989 |
2016 | 304 | 417 | 5 | 70 | .993 |
2017 | 301 | 442 | 9 | 78 | .988 |
2018 | 321 | 457 | 13 | 92 | .984 |
2019 | 297 | 417 | 8 | 84 | .989 |
実は山田哲人選手の方が、すべてのデータで上回っています・・・
山田哲人選手よりも難しい打球をアウトにする技術、守備範囲という面では菊池選手に分があるかもしれませんが、基本的な守備力という面では山田選手とは大きな違いは見当たらないという事になります。
それでも、ゴールデングラブ賞は、2013年から7年連続で受賞する守備の達人として知られている菊池選手ですから、山田選手と大きな違いが出るのはやはり「UZR」になるのでは??という事で、セイバーメトリクスからデータをまとめてみました。
菊池涼介選手のUZRは年々数値が落ちている??
UZRは、アルティメット・ゾーン・レーティングの略で、選手の守備力を様々な指標を掛け合わせて数値化しているものです。
数値が高ければ高いほど、失点を防ぐ事ができたと見る事ができますが、菊池涼介選手と山田哲人選手のUZRを過去5年分調べてみたところ、
UZR | ||
菊池涼介 | 山田哲人 | |
2015 | 9.7 | 17.6 |
2016 | 17.3 | 3.8 |
2017 | 3.2 | -1.6 |
2018 | 9.8 | 8.7 |
2019 | 5.0 | 0.9 |
2015年を除いて、菊地選手が圧倒的にUZRが広く、2018年までは球界でもナンバーワンの数字を残しています。
ちなみに、2019年の球界ナンバーワンUZRセカンドは中日ドラゴンズ阿部寿樹選手で10.7です。
参考にメジャーの2015年から2019年までのUZRセカンドナンバーワンの数字を調べてみたところ
選手名 | UZR | |
2015 | Dee Gordon(ディー・ゴードン) | 6.3 |
2016 | Dustin Pedroia(ダスティン・ペドロイア) | 8.9 |
2017 | Ian Kinsler(イアン・キンズラー) | 7.8 |
2018 | DJ LeMahieu(DJ・ルメイユ) | 11.0 |
2019 | Kolten Wong(コルテン・ウォン) | 5.2 |
となりますが、菊池選手の方が数字は上ですので、メジャーのセカンドの中でも上位レベルの守備範囲を持っている事がUZRからも分かります。
菊池涼介選手のメジャー移籍時の成績予想
ここまで、過去のデータやセイバーメトリクスを参考に菊池選手の打撃と守備の評価をしてきましたが、実際メジャーリーグへ移籍したら、菊地選手は活躍出来るのだろうか?
という点をここからは予想していきたいと思います。
まず、打撃面に関しては、年々数字が悪化していますし、近年フライボール革命や2番打者最強説からすると、菊地選手の役割はかなり限定的になる可能性が高いです。
スモールベースボールで得点を稼いでいくのであれば、菊地選手のように得点圏へランナーを進められる打者は重宝されますが、今のメジャーでは考えにくいため、打撃面の評価は落ちるとみます。
逆に、守備力に関して言えば、UZRでも示す通り、メジャーでも上位レベルの守備範囲を誇るため、評価はかなり高いはずです。
また、菊地選手は配球やデータから打球方向を読むのが優れているので、守備位置を細かく調整する事が出来ますし、深い位置に守備を敷いても肩が強いのでアウトに出来るというアドバンテージがあります。
さらに、捕球の正確さ、送球までの速さも一級品で、メジャーでも見られない忍者のような動きは、菊池選手しか見せる事が出来ないプレーだと思いますので、評価が上がる可能性は高いのではないでしょうか。
菊池涼介選手の年俸と背番号の推移
続いて、菊池選手の年俸と背番号の推移ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2019年 | 2億4000万円 | 33 |
2018年 | 1億9000万円 | 33 |
2017年 | 1億4500万円 | 33 |
2016年 | 8500万円 | 33 |
2015年 | 8500万円 | 33 |
2014年 | 3900万円 | 33 |
2013年 | 1500万円 | 33 |
2012年 | 1000万円 | 33 |
カープ3連覇に貢献し、年々年俸をアップさせていますが、背番号の変更はなく「33」をずっと着用しています。
入団時には当時の監督だった野村謙二郎氏の現役時代の背番号「7」を希望したみたいですが、今ではこだわりはないみたいですね。
今回、ポスティングシステムを利用しての移籍交渉となりますので、12月15日に手続きを終えましたので2週間の期限という事で来年1月2日が交渉期限となります。
気になる年俸ですが、過去ポスティングシステムで移籍した日本人内野手は
- 2011年 西岡剛選手
のみです。
当時の西岡選手には、532万9000ドルで落札、年俸300万ドルで契約と言われていますが、今までの日本人内野手はほとんどが成功出来ませんでしたので、評価は落ちていますので・・・
年俸も今よりも下がる可能性は十分にあると推察します。
菊池涼介選手のメジャー移籍に関するまとめ
今のメジャー市場には、FAのスターリン・カストロ、ジェイソン・キプニス、ジョナサン・スコープといったセカンドの実力者が残っています。
ここに菊池選手を加えてとなりますが、それぞれの選手の特徴と菊池選手は守備での違いを見せていく必要があると思います。
菊池選手の獲得には、
- オークランド・アスレチックス
- ミルウォーキー・ブリュワーズ
- アリゾナ・ダイヤモンドバックス
- クリーブランド・インディアンス
- ワシントン・ナショナルズ
- ボストン・レッドソックス
が興味を持っているとも言われていますので、6球団の中から菊池選手を獲得する球団が出てくるのでしょうか??
来年1月2日までの交渉結果を楽しみにしておきたいと思います。
同じセカンドのライバルと同僚もまとめてます。