2019年の巨人、一つの特徴でもあった「捕手分担制」。
戦国武将の毛利元就が「三本の矢」を子どもたちに話し、一本の矢は折れやすいけど、三本の矢は折れない、一族の結束を高めるよう伝えたのは有名な話です。
巨人もまさに捕手3人が見事な三本の矢となり、チームをまとめ上げました。
「先発→中継ぎ→抑え」
というピッチャーの分担制を敷いたのは、野村克也監督と言われていますが、原監督はまさかの捕手をピッチャーの相性によって使い分けるという、セオリーを超えた戦術は時にはファンをも驚かせますよね!
2019年の巨人の捕手事情
実際、2019年の捕手出場数は、
- 小林誠司 91試合
- 大城卓三 62試合
- 炭谷銀仁朗 58試合
と小林選手が突出してはいますが、大城選手は1塁でも46試合の出場を果たしており、出場数を多く伸ばしています。
現在、大城選手は秋季キャンプ、小林選手はプレミア12で侍ジャパンの一員として戦っていますが、すでに2020年に向けた正捕手争いは始まっており、原監督はそれぞれの評価を次の通りに発言しています。
大城選手には、
「捕手一本でレギュラーになってほしい」
「教科書にないリード」
と評価。
一方、小林選手には、
「もちろんまだ足りない部分もあるが、1年を通して試合に出られる強さがある」
「彼の働きからすれば、ずいぶん安い」
と評価。
どちらも甲乙つけがたい評価ですが、原監督流の人心掌握術、メディアを巧みに使ってのライバル意識を持たせる戦術なのでは??と思うところもありますので、すべて鵜呑みには出来ません。
とは言え、近未来の捕手は大城選手、小林選手に託されてたと言っても過言ではなく、この二人を炭谷捕手がバックアップできる体制が取れれば、10年は巨人の捕手は安泰なのでは無いでしょうか。
阿部慎之助という20年にわたって君臨した強打者の後釜となると、強烈なインパクトが必要にはなりますが、大城選手なら「強打の捕手」になれる可能性は秘めています。
そこで、今回は大城卓三選手が2020年以降、強打の捕手として阿部二軍監督の後継者となれるかどうか?考察していきたいと思います。
大城卓三選手の入団後の打撃成績
まず最初に、大城選手の入団後の成績を確認しておきましょう。
年度 | 試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 四球 | 死球 | 三振 | 打率 | 長打率 | 出塁率 |
2018 | 83 | 49 | 4 | 17 | 15 | 0 | 46 | .265 | .395 | .320 |
2019 | 109 | 78 | 6 | 30 | 25 | 4 | 80 | .265 | .388 | .330 |
「強打の捕手」と呼ぶには、本塁打と長打率が何とも寂しいし、打点も少ない・・・
また三振の数も激増しているので、改善ポイントは沢山あります。
ちなみに、巨人の強打という事で坂本勇人選手、そして同じ強打の捕手といえば、今年西武ライオンズで首位打者を獲得した森友哉捕手。
二人の2019年の数字を並べてみると、
年度 | 試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 四球 | 死球 | 三振 | 打率 | 長打率 | 出塁率 |
坂本勇人 | 143 | 173 | 40 | 94 | 77 | 2 | 123 | .312 | .575 | .396 |
森友哉 | 135 | 162 | 23 | 105 | 72 | 2 | 89 | .329 | .547 | .413 |
と圧倒的に数字で物足りなさを感じてしまうほどです・・
坂本勇人選手の長打率.575とリーグトップの数字のため、ここまで伸ばしてほしいと欲ばりませんが、丸選手で.495、岡本選手で.485と同程度の数字くらい打てなければ、ホームランも30本には届かないでしょう。
強打の捕手と言うのであれば、打率こそ低くて.250程度でも、ホームラン20~30本、得点圏打率は.300以上は求めたいと思います。
秋季キャンプで石井野手総合コーチを始め、多くのコーチからアドバイスをもらい、きっかけを掴んでほしいと願います。
引用元 スポーツ報知より
大城卓三選手の入団後の守備成績
逆に、大城選手の入団後の守備に関するデータですが、UZRはじめセイバーメトリクス上のデータは捕手三人制を引いている事から調べる事が出来なかったのですが、2018年、2019年の上位ベスト5は以下の通りです。
2018年 | 氏名 | UZR | 2019年 | 氏名 | UZR |
1位 | 甲斐拓也 | 7.9 | 1位 | 梅野隆太郎 | 6.2 |
2位 | 田村龍弘 | 3.1 | 2位 | 若月健矢 | 3.8 |
3位 | 梅野隆太郎 | 3.0 | 3位 | 甲斐拓也 | 3.0 |
4位 | 中村悠平 | 2.5 | 4位 | 中村悠平 | 2.3 |
5位 | 小林誠司 | 2.3 | 5位 | 田村龍弘 | 1.5 |
さらに、よく耳にする盗塁阻止率のセ・リーグベスト5ですが、
2018年 | 氏名 | 阻止率 | 2019年 | 氏名 | 阻止率 |
1位 | 小林誠司 | .341 | 1位 | 小林誠司 | .419 |
2位 | 梅野隆太郎 | .320 | 2位 | 梅野隆太郎 | .370 |
3位 | 中村悠平 | .288 | 3位 | 中村悠平 | .314 |
4位 | 會澤翼 | .245 | 4位 | 加藤匠馬 | .286 |
5位 | 嶺井博希 | .188 | 5位 | 會澤翼 | .265 |
これらの数字から、平均的な数字として
- UZRは2.3以上
- 盗塁阻止率は.300以上
は最低でも、大城選手にはクリアしてもらう事が、守備での安定感にも繋がるので、守備力の向上もしっかりと目指してほしいと思います。
ちなみに、2018年の盗塁阻止率は.180と捕手としては厳しい数字になっていますが、2019年の数字は出ていませんが・・・
入団時は二塁到達までが1.8秒台と言われていたほどの強肩ですので、足の運び方やキャッチング、スローイングも改善されていて、そこそこ刺せるだけの力はあると見ています。
大城卓三選手の年俸と背番号の推移
2019年12月5日に追記していますが、大城選手が契約更改を行い、1500万アップの3500万円と大幅アップ、背番号も46から24へと変更になりました。
これまでの年俸と背番号の推移ですが、
年俸(推定) | 背番号 | |
2020年 | 3500万円 | 24 |
2019年 | 2000万円 | 46 |
2018年 | 1000万円 | 46 |
順調に毎年結果を積み上げて年俸アップを勝ち取り、背番号も高橋由伸、中畑清氏が付けていた人気番号になっています。
原監督からは、20~30本ホームランを打てるポテンシャルはあるとも期待されていますし、阿部慎之助二軍監督の系譜を継いだ「打てる捕手」を目指さなければ、今後の昇給は難しくなります。
ファースト大城ではなく、キャッチャー大城一本でいくんだというくらいの気持ちで、このオフはレベルアップを目指してほしいと思います。
大城卓三2020年の活躍次第でコンバートも?
打撃面と守備面の数字を比較しながら、大城選手の課題が見つかってきましたので、ここで数字をまとめておきますと、
打率 | .250~.270 |
本塁打 | 20~30本 |
長打率 | .450~.480 |
得点圏打率 | .300~.320 |
UZR | .230以上 |
盗塁阻止率 | .350以上 |
をクリアする強打の捕手で、慎之助の後釜となってほしいと願いますが、2020年の成績次第、もしくは小林誠司選手との共存を考える場合は、ファーストかレフト(外野手)へのコンバートもあり得ます。
<大城選手コンバートの条件>
ファーストへのコンバートされる可能性があるケースとして
「正一塁手が固定されないため、岡本和真選手をサードに固定出来ない。」
レフトへのコンバートされる可能性があるケースとして
「ゲレーロの後釜となる外国人補強が失敗、若手の台頭もない。」
この場合は、チームの総合力を考えて、コンバートする可能性はゼロではないと思いますが、強打の捕手は外国人補強で出来るものではありませんし、いきなり誕生する事もありません。
ある程度の経験値が必要なポジションという事を考えれば、大城選手がコンバートする事自体勿体ないと思いますので、おそらく無いでしょう。
小林誠司選手との併用は、ちょっと勿体ない気がしますが、2020年の巨人の正捕手の座は誰が付くのか?今時点では甲乙つけがたいと思いますが、他のチームにはない悩みだと思いますので、お互いライバル意識を高めて、実力で勝ち取って欲しいと思います。
捕手別投手成績 2019年データ
2019年12月10日、追記分ですが、巨人の捕手別の投手の主な成績に関するデータを見つけましたので、参考に添付します。
イニング数 | 失点 | 自責点 | 防御率 | 勝敗セーブ数 | 貯金 | |
小林誠司 | 591 | 249 | 229 | 3.49 | 41勝22敗19セーブ | 19 |
炭谷銀仁朗 | 349 | 172 | 167 | 4.31 | 20勝22敗12セーブ | ー2 |
大城卓三 | 306.34 | 139 | 130 | 3.82 | 16勝17敗3セーブ | -1 |
岸田行倫 | 20 | 8 | 5 | 2.25 | 0勝3敗 | ー3 |
宇佐見真吾 | 11 | 5 | 5 | 4.09 | 0勝0敗 | 0 |
阿部慎之助 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0勝0敗 | 0 |
田中真也 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0勝0敗 | 0 |
大城選手と言えば、メルセデス専属捕手というイメージがありますが、メルセデス投手が登板した試合でのデータですが、
- 小林誠司 0勝3敗(防御率7.94)
- 炭谷銀仁朗 0勝0敗(防御率1.80)
- 大城卓三 8勝5敗(防御率2.81)
と大城選手との相性が良いみたいです。
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