昨日のプレミア12スーパーラウンド、オーストラリア戦。
最後までしびれましたねぇ!特にハイライトは一点差を追う7回。吉田正尚選手のセンター前ヒットをきっかけに代走で出てきた周東佑京選手。
一人で点をもぎ取ったと言っても良いくらい、球場の雰囲気は一気にボルテージ上がってましたし、一人でオーストラリアの守備を混乱させてました!
源田選手も「そこでスクイズか・・」と、日本の野球らしさが詰まったシーンですが、その前の三盗やホーム突入の判断は、周東選手の判断の良さ、走塁技術があってこそ為せる技術だと思います。
かつて巨人軍に在籍した神走塁のレジェンド
かつて巨人にも、同じように試合終盤で一人の選手が代走で出てくるだけで、一気に試合の流れが変わり、数々の名シーンを生み出したレジェンド選手がいました!
鈴木尚広元コーチ。
誰もが鈴木選手がグランドに立てば、盗塁を期待し、ホームを駆け抜けるまでのあっという間のスピードに酔いしれた・・
そんな走塁のプロフェッショナル。
他球団にも、盗塁が出来る選手や毎年コンスタントに盗塁を決める選手は数多く在籍しているのですが、鈴木選手ほどビハインドゲームで途中出場してきて、プレッシャーのかかる場面で、100%以上の仕事が出来る選手・・
と条件を絞り込めば、他にはいないと思います。
周東佑京 プロフィールと成績
そんな鈴木選手を彷彿させる、もしくは超えるようなインパクトをすでに付けつつある周東佑京選手。
侍ジャパンに選出されるまで「誰??」と知らない人も多かったと思いますので、まずは周東選手の紹介からしていきたいと思います。
出身校(高校、大学) | 東京農業大学第二高等学校、東京農業大学 |
身長 | 173センチ |
体重 | 69キロ |
50メートルは驚異の5秒7。
甲子園の出場はなし、全日本大学野球選手権大会に3度、明治神宮野球大会に1度出場、北海道六大学リーグで活躍していたところ、福岡ソフトバンクホークスから2017年育成ドラフト1位で指名。
2018年はファームで打率.233、出塁率.287、盗塁27と一定の数字を残した事で、2019年春季キャンプを一軍から支配下登録を勝ち取る。
シーズン序盤こそファーム暮らしですが、怪我人が続出した事もありチャンスが回ってきて、1軍初スタメンでは3ランホームランを放つなど「持ってる男」っぷりを発揮。
ホームランこそ最初の1本だけですが、代走や守備固めで出場機会を増やし、シーズンを通して25盗塁(5盗塁死)、盗塁成功率83.33%をマーク。
打撃に課題を残すため、スタメン起用まではまだまだパワーアップが必要ですが、走塁面は本多コーチのアドバイスもあり、かなり洗練されています。
1年ファームにいて、今年から本格的に起用されたところから考察すると、経験値というところは足りていないので、その点を一塁コーチャーからアドバイスが出るのは、勇気も与えてくれているので、結果に繋がっているのでしょうね。
2019年巨人にもレジェンドが復帰
2019年、原監督が巨人の監督に復帰した際に、一軍外野守備走塁コーチに鈴木尚広さんがコーチとして復帰し「第二の鈴木を育てる」というタスクがありました。
走塁に関する主な数字を抜き出すと、
盗塁数 | 盗塁死 | UBR | wSB | |
2018年 | 61 | 22 | 0.5 | 1.9 |
2019年 | 83 | 20 | -10.3 | 5.5 |
セイバーメトリクスで走塁と得点力に相関性のある数字として
- UBR 盗塁以外の走塁でどれだけ得点に貢献したかを表す指標
- wSB 盗塁を試みた事によりどれだけ得点に貢献したかを表す指標
という2つの数字があります。
UBRは盗塁だけの数字でない事から、チーム全体の走塁力が分かりやすく反映しますし、wSBは盗塁死も含んだ得点の損失も含まれるので、盗塁数や盗塁死が関係しています。
次に打撃面の主な数字を抜き出すと
得点 | 塁打 | 打点 | 出塁率 | |
2018年 | 625 | 1968 | 606 | .325 |
2019年 | 663 | 2042 | 627 | .335 |
ホームラン数も153から182本へ増えていますので、得点力はアップしていますが、これらの数字の中で大幅に改善されたのは「UBR」と「wSB」になります。
UBRは前年よりも大幅に悪化しているが、塁打数は増えているところを見ると
「残塁数が多かったのではないか?」
と予測されます。
逆に、wSBは前年よりも大幅に改善されているところを見ると、
「盗塁を仕掛けた時の得点圏打率が高い」
と予測されます。
当然ながら盗塁成功するという事は、イコール得点圏に入りますので、得点力アップに繋がるわけです。それだけ盗塁をする事が得点に直結するケースがあるという事がデータ上でも見て取れます。
2019年盗塁王の在籍チームの数字は?
では、2019年のセ・リーグ、パ・リーグの盗塁王が在籍するチームはどうなのか??と思い、同じ数字を抜き出してみました。
まず、2019年の盗塁王は
- セ・リーグ 阪神の近本光司選手
- パ・リーグ 西武ライオンズの金子侑司選手
となります。
盗塁数 | 盗塁死 | UBR | wSB | |
阪神タイガース | 100 | 36 | -1.6 | 2.4 |
西武ライオンズ | 134 | 49 | 12.5 | 4.8 |
得点 | 塁打 | 打点 | 出塁率 | |
阪神タイガース | 538 | 1751 | 509 | .319 |
西武ライオンズ | 756 | 2096 | 718 | .344 |
12球団一の攻撃力を誇る西武ライオンズは、圧倒的な打力だけでなく、「走れる選手」も多く、またUBR、wSBが示す通り、得点圏に送ったランナーを確実に返している事がわかります。
盗塁王の金子選手以外にも、源田選手、外崎選手、木村選手と二桁盗塁が4人もいるのですから・・・当然といえば当然ですが・・
逆に阪神タイガースは、盗塁数こそ巨人を上回る数字を誇りますが、UBRはマイナスという事で「得点圏打率が低い」、wSBも巨人の半分というところで「単打が多いかもしくは複数塁打でも帰塁できない走力」可能性があります。
スタメン選手をみても、近本選手以外走れる選手は見られない、スタメンの高齢化というところに課題があるのは明白ですので、仕方のない事かも知れません・・
2020年巨人の走塁改革は進むのか?
今年の盗塁王在籍チームの数字を引き合いに出して、現状を分析しても2018年から改善の見られるポイントはあるものの、西武ライオンズとは大きな差を感じます。
その点では鈴木コーチが目指していた走塁改革は道半ば・・という事になりますし、鈴木コーチが退団したのは痛手ではあります。
しかし、2020年の走塁改革は実はすでに始まっていて、広島カープ、東京ヤクルトスワローズに在籍していた「石井野手総合コーチ」が大きなカギを握っていると思います。
今行っている走塁改革は、
「相手のスキを付いて、単打で一塁から3つ先の塁を狙う意識」
を植え付けるため、二塁を直角に回るというものです。
「走塁は地味だけれども一番重要。走塁一つで流れを変えるっていうくらいですから、やっぱりおろそかにすると、チーム力は上がらない。」
と語る石井野手総合コーチには、巨人がさらに強くなるために必要なポイントをしっかり捉えているので、期待したいですね。
第二の鈴木尚広は出てくるのか?
スタメン一人ひとりの走塁意識が変わる事は当たり前に大事な事ですが、周東選手のように、代走出場で球場の雰囲気を変え、相手にプレッシャーをかけ続けることが出来る選手こそ、原巨人に今必要なピースだと思います。
盗塁する事が全てではなく、一塁上にいるだけで嫌な存在を発揮できる選手、そんな選手が出てきてほしいと願いますが、今の巨人に「第二の鈴木尚広」候補はいるのか??
と見渡してみると、一番近い位置にいるのは「増田大輝」選手です。
増田大輝選手の神走塁に酔いしれたGファン
阪神戦で見せた四球を選び、2球で二盗、三盗と決めたり、難攻不落のジョンソン投手を牽制悪送球を誘って二進、三盗と敢行した神走塁は、Gファンなら痺れる場面ですよね!
引用元 rel="nofollow" サンスポ.comより
50メートル5秒9ですが、積極的な走塁と度胸が他の選手よりも圧倒的に違いを生み出していて、鈴木コーチや元木コーチからの評価も非情に高い選手です。
鈴木コーチは、インタビューでも
「走塁のスペシャリストは、ただ走れば良いだけではない」
と語っており、相手を研究したり、自分が研究された時も上回っていける研究心が必要だったり、スタートを速く切るための身体の使い方だったり、メンタル、リード、ランニング、スライディングまで・・
全ての能力が高い位置になければいけないので、走力だけ速ければ良いという事ではないと言っています。
今季大事な終盤で増田選手は何度も代走で出場し、15盗塁(盗塁死2)と素晴らしい結果を残しましたので、第二の鈴木尚広を背負える筆頭候補だと言えます。
育成選手からの苦労人特集です
→ 【神走塁】増田大輝 巨人戦力外手前からの大逆転のサクセスストーリーがすごい!
松原聖弥選手はファームでチーム一の盗塁数
次の候補としては、2年連続ファームでチーム一の盗塁数を誇る松原聖弥外野手です。
松原選手は、日米野球でランニングホームランを決めて、原監督の度肝を抜いた選手で、春季キャンプも期待されましたが怪我をしてファーム暮らしで終わりました。
圧倒的な走力は、50メートル5秒75の俊足は魅力、あとは一軍での経験を積んでいけば、来季は外野のレギュラー取りも可能だと思います。
亀井善行選手の後釜として、ライトのレギュラー獲りを目指してほしいと願います。
湯浅大選手 機動破壊の体現者
高校野球で注目を集めた健大高崎高校の「機動破壊」。
走るだけでなく、いつ走られるか分からないとプレッシャーをかけ続ける事で、相手の精神力を破壊する野球思考は、新しい風を吹き込んでくれましたが、その健大高崎高校出身で2年目の湯浅大選手。
50メートル6秒と増田選手、松原選手には劣りますが、走ることへのこだわりは、入団前に徹底的に植え付けられてきたと思います。
秋季キャンプも宮崎組として期待の選手ですし、守備力は一軍レベルに近づきつつありますので、3年目は是非とも一軍レベルの走力を身に付け、定着してほしいと願います。
後輩ライバルがやばい!
→ 巨人の山下航汰外野手レギュラー獲りなるか?育成ドラフト上がりの2019年二軍成績は?
周東佑京選手のような第二の鈴木尚広は巨人に生まれるか?
最後にまとめになりますが、将来の侍ジャパンもしくは早ければ来年の東京オリンピックに「走塁のスペシャリスト」として周東選手に代わりジャパン入りする選手が、巨人が出てくる可能性はゼロではないと思っています。
特に、増田選手や松原選手が打力をつけて2020年レギュラーを勝ち取りアピールすれば、稲葉監督の大抜擢もあり得る話だと思います。
また、あと一人鈴木尚広コーチのような走塁のスペシャリストではないですが、巨人で30盗塁以上できるポテンシャルを持った選手がいますので、この選手を紹介してまとめを終了しようと思いますが、その選手は・・・
「吉川尚輝」
選手です。
そのポテンシャルは稲葉監督も認めるところで、侍ジャパンの経験もありますし、原監督からは「球史に残る選手になれる」とも言われるほどの逸材。
残念ながら怪我の多い選手なので、身体がもっと強くなってくれれば、来年の侍ジャパン候補にも名前は上がってくるでしょう。
東京オリンピックは、菊地選手がポスティングで大リーグ入りした場合、山田哲人、浅村栄斗を候補になりますが、吉川尚輝選手も十分な力を持っていますし、走力という点で他との違いを魅せる事も出来ると信じています。
吉川尚輝選手の現状は??
2019年11月13日 追記
巨人一?と言っても良い俊足選手を紹介するのを忘れていた事に、翌日になって気付きました。
その選手とは「重信慎之介」選手です。
持っているポテンシャルはヤクルトスワローズの青木選手並みも、2019年は出場機会もかなり増えてきていますが、まだまだ物足りない印象。
レギュラーとして活躍してほしいという事で、走塁のスペシャリストというわけではないので、ここでは取り上げていませんが、ポテンシャルからすると第二の鈴木尚広になれる逸材であると思われます。
→ 重信慎之介のフォームは青木宣親選手?50m5.7秒の俊足で盗塁王を目指して欲しい!
巨人に2020年、「第二の鈴木尚広」が生まれる事と、侍ジャパンで周東佑京選手がさらに活躍し、侍ジャパンの好機を数多く演出する事を心から願いまして、今回のブログを終了します。
最後までお読みいただき、有難うございました。