2018年にプチブレイクして、いよいよ生え抜き左腕のローテンションピッチャーが出てくるか?と密かに期待していた「今村信貴」投手。
2019年は春季キャンプでアピール不足から始まり、ファーム調整が続き、谷間の先発を任せられる程度の役割になり、個人的には中途半端な成績だな・・とヤキモキしています。
それだけ期待して、ポテンシャルも高いピッチャーだと思うのですが、今ひとつ皮を剥けきれない今村投手、契約更改ではダウン査定になると思いますが、2020年は奮起して欲しいと願っています。
そんな、期待のイチオシピッチャー、今村信貴投手の現在まで成績、年俸の推移やデータを見ながら、課題や2020年の成績について考察したいと思います。
今村信貴投手のプロフィールと成績
最初に今村信貴投手のプロフィールからですが、
出身校 | 太成学院大高 |
身長 | 180センチ |
体重 | 88キロ |
2011年ドラフトでは、1位には菅野智之投手が選択されましたが、日本ハムとの競合の末、くじに敗れ外れ一位で松本竜也投手を指名しています。
1位、2位が高校生左腕という選択になり、驚いた事は記憶に新しいのですが、松本選手が「英明のランディ・ジョンソン」と呼ばれて甲子園で活躍したのに対して、今村投手は激戦区大阪とは言え、4回戦で敗退し、甲子園は未出場。
それでも、近畿地区の左腕ナンバーワンの評価を受けており、入団時に120キロ程度だった球速もマックス149キロまで上げた事もあって、巨人のドラフト2位指名を受けています。
今村信貴投手の主な成績
今村投手の主な成績ですが、ファームでは
防御率 | 勝数 | 負け数 | WHIP | DIPS | |
2015年 | 3.12 | 8 | 4 | 1.25 | 3.52 |
2016年 | 2.36 | 2 | 3 | 1.27 | 3.14 |
2017年 | 2.45 | 9 | 4 | 1.14 | 3.14 |
2018年 | 3.82 | 1 | 1 | 1.41 | 3.31 |
2019年 | 1.32 | 4 | 0 | 1.09 | 3.56 |
順調に成長の跡が見られるのですが、一軍の成績を見ると、
年度 | 登板 | 勝利 | 敗北 | 勝率 | 投球回 | 四球 | 三振 | 自責点 | 防御率 | WHIP | DIPS |
2013 | 3 | 1 | 1 | .500 | 17 | 4 | 14 | 4 | 2.12 | ||
2014 | 13 | 2 | 1 | .667 | 36 | 14 | 19 | 25 | 6.19 | ||
2016 | 16 | 3 | 4 | .429 | 77 | 36 | 60 | 48 | 5.59 | 1.59 | 4.89 |
2017 | 3 | 0 | 2 | .000 | 6 | 3 | 6 | 4 | 5.68 | 2.37 | 5.17 |
2018 | 13 | 6 | 2 | .750 | 77 | 26 | 51 | 33 | 3.86 | 1.38 | 4.28 |
2019 | 17 | 3 | 2 | .600 | 81 | 26 | 54 | 37 | 4.08 | 1.32 | 4.44 |
となっています。
データ参考
WHIPは、投手の安定感を見る数字で、WHIP = (与四球 + 被安打) ÷ 投球回で計算する事が出来ます。WHIPは低ければ低いほど良くて、「1イニングあたりランナーを何人許すか」が出ています。
DIPSは、投手自身でコントロールできるデータのみで見る数字で、DIPS=与四球-(故意四球+死球)×3+被本塁打×13-奪三振×2}÷投球回+3.12で計算する事が出来ます。DIPSは防御率と比較し、防御率よりも高い場合は守備に助けられている傾向にあると見れます。
DIPSを見ると、ファームでも、防御率と2点ほどの違いが出ている、つまり守備に助けられているところが多い可能性があり、ファームで無双状態だったわけではありません。
それでも、2018年、2019年とWHIPは、1.3点台に収めているので、プロ野球界の平均である事は証明されています。
しかし、1.25以下で平均以上、1.10以下で非情に良いと言われる「WHIPの改善=ランナーを背負わず投球する」術を身につけなければ、毎回ランナーを背負ってピンチを迎えているようなイメージが選手にも首脳陣にも付いてしまいます。
筆者的な見解ですが、今村投手の試合を観ていていつも思うのが「試合が重い」というところ。
いつもランナーを背負ったり、カウントを悪くしていたりするイメージがあるので、筆者以上に選手たちは同じように感じている可能性があるかもしれません。
失点のタイミングが悪いのも評価が上がらない理由
また、ある球団関係者のコメントですが、
「ここ数試合、今村の失点パターンは、打者が2巡、3巡目に入った回に打たれる傾向にある。しかも、先制点をもらった試合で中盤に失点してしまう。味方打線の援護を受けた直後に失点するケースが見られ、せっかくの流れを断ち切ってしまう。失点のタイミングが悪いので、首脳陣からの信頼を得られないのではないでしょうか」
このパターン、ファンからもいつも印象に残っています。
メルセデスと今村投手の共通点でもあるんですけど、5回、6回あたりまでは無双状態で試合を作るのですが、味方が援護してくれたり、6回に入った途端に急に崩れて四球、ヒット・・失点といったパターンが多いですよね・・
原監督は、試合の流れを重んじていて、不確定要素を好まない監督だと筆者は思っていて、勢いやまぐれで乗り切るみたいな事をあまり評価しない方だと思います。
「そんなの当たり前でしょ?」
と思われる読者の方もいらっしゃるかも知れませんが、監督の中には「この選手と心中する」とか、「腹を決めて勝負」する方もいますし、それが悪いとは言いません。
ただ、自分のプランニング通り試合を運びたい時に、突如崩れるというのは、「メンタルの問題も大きい」と思うのです。
心技体、すべて揃っている選手をプロ野球選手と呼ぶのであれば、「心が弱い」という事は、勝負弱いという事で、ここ一番で力を発揮出来ない選手という評価をされてしまいます。
原監督は、特に心の弱い選手を評価せず、厳しく律する方だとメディアや講演を聞いても感じるところはあります。
今村投手の事を評価し、ポテンシャルに期待しているからこその厳しい評価としていますが、筆者は本当に二桁勝利出来るだけの力はあると見ています。
何より甲子園未出場でも出来るという事を次世代の子供達にも示してほしいを願っての事と理解いただければ幸いです。
今村信貴投手はQSが高い投手ではある
ここまで評価を落とすような話が多かったのですが、実は今村投手は「試合を作る能力は長けている」ため、先発すれば6回まで試合を作って投げられる力は持っています。
その数字を表すのが、「QS(クオリティスタート)」と達成率です。
- 2018年は6回の46.15%
- 2019年は7回の46.67%
この数字は、2018年、2019年のQS上位ランキングを見ても
2019年 | QS | QS率 | 2018年 | QS | QS率 |
西 勇輝 | 19 | 73.08% | 大瀬良 大地 | 21 | 77.78% |
大野 雄大 | 18 | 72.00% | 菅野 智之 | 19 | 70.37% |
山口 俊 | 18 | 69.23% | メッセンジャー | 19 | 67.86% |
柳 裕也 | 18 | 69.23% | ガルシア | 17 | 65.38% |
今永 昇太 | 17 | 68.00% | ブキャナン | 17 | 60.71% |
大瀬良 大地 | 16 | 64.00% | 東 克樹 | 15 | 62.50% |
ジョンソン | 16 | 59.26% | ジョンソン | 14 | 58.33% |
小川 泰弘 | 13 | 50.00% | 山口 俊 | 13 | 61.90% |
青柳 晃洋 | 11 | 44.00% |
悪くない数字ですし、2018年で言えば東投手のように11勝(24登板)、2019年で言えばジョンソン投手のように11勝(27登板)となれる可能性を秘めています。
勝ち星を伸ばすためにも、とにかく「登板数を増やす」=ローテンションで回れる信頼を勝ち取る事が必要だと、分かってはいましたが、改めて浮き彫りになる課題ですね。
今村信貴投手の球種は?
今村投手の主な球種と使用割合ですが、
- ストレート 37.25%
- スライダー 25.20%
- フォーク 20.45%
- シュート 11.67%
- カーブ 5.35%
球種 | 被打率 | 被打数 | 被安打 | 被本 | 被四死 | 奪三振 | 空振率 | 見逃率 |
ストレート | .289 | 114 | 33 | 5 | 14 | 16 | 4.39% | 18.96% |
スライダー | .320 | 75 | 24 | 2 | 6 | 9 | 7.96% | 29.20% |
フォーク | .169 | 77 | 13 | 2 | 2 | 26 | 17.82% | 5.09% |
シュート | .333 | 27 | 9 | 0 | 3 | 3 | 5.73% | 13.38% |
カーブ | .231 | 13 | 3 | 0 | 0 | 0 | 2.78% | 16.67% |
主な5つの球種を操りますが、シュートとスライダーの被打率がとても高いですが、この二種類は「カウントを整える」時に使われている事が多い球種です。
この二種類の球種の精度を高めて、楽にカウントを整えられるようになれば抑えるのも楽になると思われるのですが・・・あとフォークを使いますが、チェンジアップは習得していません。
右打者への被打率が.296とかなり高いので、サークルチェンジのような、外角に逃げながらタイミングを外せるボールがあっても面白いのでは?と個人的には思いました。
今村信貴投手の年俸と背番号の推移は?
次に、今村投手の年俸と背番号の推移ですが、
年俸 | 背番号 | |
2019年 | 2600万円 | 45 |
2018年 | 1300万円 | 45 |
2017年 | 1600万円 | 45 |
2016年 | 950万円 | 45 |
2015年 | 1000万円 | 45 |
2014年 | 900万円 | 45 |
2013年 | 650万円 | 65 |
2012年 | 600万円 | 65 |
と昨年の活躍が認められて倍増の2600万までいきましたが、2019年オフの契約更改は、吉川尚輝選手、立岡宗一郎選手などの契約を見る限り「マイナス査定」と思われます。
二人共500万円減の査定となっていますので、今村選手も300~500万程度減の可能性はあると、筆者的には予想しています。
背番号については、入団時の65から45へ変更していますが、45と言えばメジャーリーガーのペドロ・マルティネス選手が背負っていた番号です。
右と左の違いはあれど、ペドロ・マルティネス選手のように、毎年二桁勝利を上げられる、チームの柱の役割を担って欲しいところですよね。
契約更改で200万アップです・・個人的な予想ではマイナス査定では?と思っていましたが、意外にもアップしているので、優勝査定入ってそうですね。
今村信貴選手には左腕王国を築いてほしい
ここまで今村投手のデータなどを紹介しながら、2020年に向けての課題や期待を書いてきたのですが、最後に思うのが「田口麗斗選手と共に左腕王国を築いて欲しい」という事です。
横浜DeNAには、今永投手をはじめ、東選手、濱口選手、石田投手と左腕カルテットと呼ばれるくらい左先発が充実しています。
巨人の左投手と言えば、近年では高橋尚成投手、内海哲也投手と生え抜きで成功した例が少ないです。
しかし、今の巨人には期待の若手の中にも左のローテーションピッチャーになれそうな逸材も揃ってきましたし、何より田口麗斗選手が身近なライバルとして巨人にいますので、今村投手には田口選手も引っ張る左のエースになってほしいと願っています。
左のエース候補を書いています!
思えば、今年の春季キャンプでアピールに失敗したのは、春先に球速が130キロ台・・と、なかなか調子が上がらなかった事が原因です。
いくらオープン戦で結果を出しても、今の今村投手の立場だと、結果だけでなく内容も評価される立場のため、しっかりとキャンプ初日から「一番目立ったのは今村」と言われるくらいの仕上がりをオフに見せてほしいと思います。