2018年オフに丸佳浩選手の人的補償として広島に移籍し、一年目は苦汁をなめる結果となった長野久義選手。
2019年オフはFA宣言せず残留した事で、引退も覚悟した不退転の決意が見られます。
ここでは長野久義選手の歴代の成績や年俸、過去のデータから課題や2020年に期待するところをまとめます。
長野久義選手のプロフィール
はじめに、長野選手のプロフィールですが、
出身校 | 筑陽学園高等学校→日本大学→Honda |
身長 | 180センチ |
体重 | 85キロ |
甲子園の出場経験はないものの、春季県大会でベスト4へ進出するなど、プロからも注目されていましたが、日本大学へ進学。
進学後は、東都大学リーグ通算87試合出場、打率.293、10本塁打、40打点の成績をあげ、4年の時には2季連続の首位打者やベストナインを獲得するなど、俊足強打の外野手としてスカウトからも評価され、日本ハムに指名。
しかし、巨人入りを熱望し、社会人のHONDAへ進み巨人からの指名を待つ事になりましたが、20008年はロッテから指名を受ける事に。
ロッテからの指名も拒否し、2009年巨人のドラフト1位として入団してきた巨人愛あふれるナイスガイです。
これまで獲得してきた主なタイトルは、
- 新人王(2010年)
- 首位打者(2011年)
- 最多安打(2012年)
- ベストナイン(2011~2013年)
- ゴールデングラブ賞(2011~2013年)
と攻守の主要タイトルを獲得していて、チームに欠かせない打者に成長し、またルックスの良さもあってチームの顔として坂本勇人選手と合わせて「サカチョーコンビ」としても認知されていました。
長野久義選手の主な打撃成績
続いて長野選手の打撃の主な成績ですが、
試合 | 打席 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁刺 | 盗塁成功率 | 四球 | 死球 | 三振 | BB/K | 打率 | 長打率 | 出塁率 | OPS | |
2010 | 128 | 459 | 124 | 19 | 52 | 12 | 4 | 75.00% | 25 | 2 | 72 | 0.38 | 0.288 | .491 | .330 | .821 |
2011 | 140 | 578 | 164 | 17 | 69 | 19 | 8 | 70.37% | 48 | 6 | 85 | 0.64 | 0.316 | .468 | .379 | .847 |
2012 | 144 | 653 | 173 | 14 | 60 | 20 | 7 | 74.07% | 75 | 1 | 100 | 0.76 | 0.301 | .432 | .382 | .814 |
2013 | 144 | 642 | 166 | 19 | 65 | 14 | 5 | 73.68% | 48 | 1 | 101 | 0.49 | 0.281 | .424 | .336 | .76 |
2014 | 130 | 523 | 140 | 13 | 62 | 8 | 4 | 66.67% | 42 | 3 | 75 | 0.60 | 0.297 | .445 | .356 | .801 |
2015 | 130 | 479 | 109 | 15 | 52 | 3 | 2 | 60.00% | 34 | 4 | 81 | 0.47 | 0.251 | .415 | .310 | 725 |
2016 | 143 | 618 | 163 | 11 | 42 | 8 | 2 | 80.00% | 33 | 5 | 78 | 0.49 | 0.283 | .403 | .326 | .729 |
2017 | 134 | 516 | 121 | 16 | 46 | 6 | 0 | 100.00% | 46 | 5 | 98 | 0.52 | 0.261 | .421 | .334 | .755 |
2018 | 116 | 426 | 111 | 13 | 52 | 3 | 2 | 60.00% | 41 | 1 | 69 | 0.61 | 0.290 | .433 | .359 | .792 |
2019 | 72 | 197 | 45 | 5 | 20 | 0 | 2 | 0.00% | 15 | 1 | 40 | 0.40 | 0.250 | .383 | .310 | .693 |
2018年までは巨人、2019年から広島へ移籍してからの成績になりますが、新人時代から続いていた9年連続二桁本塁打の記録は2019年に途切れました。
また、盗塁も2013年までは二桁盗塁を記録してきましたが、2014年の試合中に右膝関節挫傷を負い、オフに右膝半月板の修復手術と右肘のクリーニング手術をした事で自慢の脚力が大きく低下し、盗塁数は激減しています。
2016年こそ安打数163本と復活を見せますが、怪我をしてからは本来の長野選手の状態には程遠く復活が待たれますが、広島カープへ移籍後は2軍暮らしも長く続き、プロ入り後ワーストの72試合、45安打と結果を残す事が出来ませんでした。
引退危機も囁かれていますが、長野選手が復活するには何が足りないのでしょうか?
まず、長野選手と言えば、バッターボックスの立ち位置が独特で、かなり外寄りに立っていますが「内角に弱点があるから外に立っているのかな??」と思っていたのですが、実は大学時代に外角のボールになるスライダーに弱く、バットを振らないようにするためにあえて届かない外寄りに立っているんだそうです。
かなり外に立ちますので、外角のスライダーが届かないのでは??と思うのですが、不調の影響がない最新のデータという事で2018年を参考にしたいのですが、
2018年 | 打率 | 安打 | 本 | 四死 | 三振 |
スライダー | .265 | 22 | 2 | 10 | 20 |
と特に苦にしている様子はありません。
長野久義選手の左右別の打撃データ
ちなみに、長野選手の左右投手による打撃データですが、
打率 | 本塁打 | 安打 | 四球 | 三振 | 出塁率 | 長打率 | OPS | |
右 | .261 | 11 | 81 | 27 | 63 | .326 | .429 | .756 |
左 | .261 | 5 | 40 | 17 | 35 | .341 | .405 | .746 |
不調の2019年を除くとデータが残る最新の2017年のものですが、左右で大きな差が無く、右バッターに対しては本塁打11本と結果を残しているので、バッターボックスから離れたところで構える影響はまったく無いと言って良いかと思います。
長野久義選手のBB/Kは低め
一方で、高打率や安打数が多い打者の多くは「選球眼が良い」という共通項がありますが、長野選手のBB/Kを調べると、平均0.50前後が多く選球眼は決して良くありません。
それでも首位打者や最多安打のタイトルを獲得してしまうのは、バッティングセンスがずば抜けているからだと思ったので、ボールの見極め率を調べたところ、
ボール球 | ストライクゾーン | ||||
見極数 | 見極率 | スイング率 | 見逃率 | 空振率 | |
2016年 | 801 | 68.11% | 68.06% | 31.94% | 7.22% |
2017年 | 782 | 71.94% | 62.73% | 37.27% | 8.96% |
2018年 | 609 | 71.31% | 63.32% | 36.68% | 6.53% |
過去3年は空振り率が極端に低く、ストライクゾーンも積極的に振っていますが、選球眼を悪くしている理由がボール球の見極めが80%を下回っているというところです。
長野選手の特徴として、ある程度配球を読んで積極的に振っていくタイプだと思うので、ボールの見極めは多少悪くなりますが、それでもストライクゾーンに対してのコンタクトは素晴らしいと思います。
一方で2019年のデータを見ると、
ボール球 | ストライクゾーン | ||||
見極め数 | 見極め率 | スイング率 | 見逃率 | 空振率 | |
2019年 | 275 | 71.61% | 66.58% | 33.42% | 8.36% |
データ上では大きな変化は見られませんが、試合数が約半数になっていて、チャンスも少なくなかったと思いますので、ある程度の打席数を与える事で、長野選手は結果を出す事が出来るタイプなのでは??と思います。
特に、春先は巨人在籍時からスロースターターで、結果を残せずヤキモキする事も多いですが、夏頃から急激に成績を上げていきますので、我慢強く起用してもらえると結果が出ると筆者は予想します。
長野久義選手の守備はどうなの??
次に打撃に対して、守備の評価についてですが、入団前に強肩、俊足で守備範囲の広いプレーヤーと走攻守揃った選手と評価されていましたが、入団後は守備に関して本人がコメントしている通り
「プロに入る前は守備と走塁はできるかなと思ってたけど、ダメでした。来シーズンは頑張ります」
と、プロレベルに達していなかったという事で、練習を重ね、2011年から3年連続でゴールデングラブ賞に輝いていますが・・・
守備の評価をするUZRを確認すると、
UZR | |
2014年 | -9.6 |
2015年 | -3.0 |
2016年 | -1.8 |
2017年 | -5.9 |
データでは残っていませんでしたが、ウィキペディアで紹介されていた2012年のUZRは、中堅手でUZR-1.3、右翼手でUZR-6.8とマイナスだったと言われているので、データ上では守備力が高い選手では無いと評価されます。
しかし、一般的な守備データを見ると、
試合数 | 刺殺 | 捕殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 | |
2010 | 121 | 211 | 3 | 5 | 0 | 0.977 |
2011 | 139 | 262 | 6 | 3 | 1 | 0.989 |
2012 | 143 | 221 | 9 | 2 | 2 | 0.991 |
2013 | 142 | 240 | 8 | 2 | 0 | 0.992 |
2014 | 127 | 200 | 4 | 3 | 1 | 0.986 |
2015 | 122 | 183 | 2 | 3 | 1 | 0.984 |
2016 | 141 | 209 | 5 | 1 | 1 | 0.995 |
2017 | 127 | 180 | 2 | 2 | 0 | 0.98 |
2018 | 113 | 198 | 1 | 1 | 0 | 0.985 |
2019 | 42 | 56 | 1 | 2 | 0 | 0.966 |
怪我をするまでは、捕殺数が9、8と高い数字を出していますし、外野手でありながら併殺を記録するなど華麗な守備でチームのピンチを救ってきた場面も多いので、記者の印象も守備が上手いと残っているのかも知れませんね。
長野久義選手の年俸と背番号
続いて、入団後の長野選手の年俸や背番号ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2020年 | 1億7000万円 | 5 |
2019年 | 2億2000万円 | 5 |
2018年 | 1億9000万円 | 7 |
2017年 | 2億2500万円 | 7 |
2016年 | 1億7500万円 | 7 |
2015年 | 2億円 | 7 |
2014年 | 1億8000万円 | 7 |
2013年 | 1億6000万円 | 7 |
2012年 | 9500万円 | 7 |
2011年 | 3500万円 | 7 |
2010年 | 1500万円 | 7 |
入団後、様々なタイトルを獲得し、4年目にして1億円超えを果たすと、最高年俸は2017年の2億2500万円に到達しています。
広島カープへ移籍後、年俸5000万ダウンとなっていますが、長野選手レベルであればチャンスを与えられれば結果は残せるはずですので、再び2億円到達も出来ると信じたいと思います。
巨人時代の背番号7が見られないのは寂しいですが、広島カープでは背番号5の長野久義選手をカープファンには温かい声援を送ってほしいなぁと、巨人ファンとして、長野選手の一ファンとして復活を願いたいですね。
2020年長野久義選手に期待するところ
ここまでデータなどを紹介してきましたが、引退危機も囁かれていますが、長野選手は成績が出なかった翌年に盛り返して復活を印象づける事も多いです。
隔年・・というほどではないですが、好不調の波が大きい選手なので、長い目で結果を見ていかなければいけませんが、昨年の結果と今年で35歳を迎えるベテランの域にも入りつつありますので・・
結果を出し続けなければ、引退危機は常につきまとってしまいますので、2020年は春先からコンスタントに試合に出場し、結果を残してくれる事を期待したいと思います。
まだまだ広島カープで引退するには早いですし、晩年は巨人に戻ってきてくれても、個人的には良いと思います。選手兼コーチで阿部監督を支えるなんて姿を見るのも面白いですし、移籍した経験を巨人に還元できるだけの経験と人望はあると思いますので・・
引退までの長野久義選手にはこれからも注目していきたいと思います。
最後に・・
このオフの自主トレは、内海哲也選手と奄美大島で過酷トレーニングを積んできたようです。
本人のコメントからも調子の良さは伝わってきますので、今年に賭ける意気込みを感じますし、今年は手強そうな感じですね。
まずは、2020年のペナントレースでは怪我をせず、一年間一軍で活躍する姿を見せてくれる事を願います、長野久義選手復活なるか??それともこのまま引退していくのか??
勝負の年、楽しみにしています。
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