今、巨人のポジションの中で一番レギュラーのチャンスが遠いポジションと言えば、捕手なのかもしれません・・
巨人のドラフト2位捕手、岸田行倫選手ですが、分厚いレギュラー争いの壁に阻まれ、過去2年は出場機会に恵まれず、ファーム生活が続いています。
しかし、二軍での成績はすでに上位レベルにあり、一軍でのチャンスがあれば、一気にブレイクする可能性がありそうですが、一軍には
- 正捕手に一番近い侍ジャパン候補の小林誠司
- 強打の捕手として原監督から信頼が高い大城卓三
- FA移籍で実績十分の炭谷銀仁朗
この3人がいますので、チャンスが限られています。
このまま終わるには勿体ない逸材のため、ここでは、岸田行倫選手のファームでの成績やデータなどを見ながら、課題や期待するところを考察していきます。
岸田行倫選手のプロフィール
最初に、岸田選手のプロフィールですが、
出身校 | 報徳学園高→大阪ガス |
身長 | 176センチ |
体重 | 87キロ |
報徳学園では1年からベンチ入り、当初は内野手としてショートや控え投手も務めていましたが、チーム事情で捕手へ転向。
甲子園には2年春と3年春に二度出場し、投手としては3年の時に最速145キロを投げて、高校日本代表にも選出されています。
U-18アジア選手権の捕手には、同世代ナンバーワンキャッチャーの評価を得ていた福岡ソフトバンクホークスの栗原陵矢選手がいたので、ファーストでの出場、3番打者で準優勝に貢献しています。
その後、大阪ガスへ入社し、2015年と2016年に日本選手権に2年連続ベスト4入りし、スカウトからの評価を高めて、2017年ドラフト2位で巨人へ入団しています。
2017年は、捕手豊作の年で、巨人は3位で大城卓三選手を獲得、
- ヤクルトスワローズには村上宗隆選手
- 広島東洋カープには中村奨成選手
がそれぞれ入団を決めています。
これだけの逸材揃いの中でも、ドラフト会議前のスカウト評では「社会人ナンバーワン捕手」の評価で、2塁までの送球は1.8秒、広角に打ち分けるバッティングは定評があります。
ちなみに、巨人の捕手年齢を見てみると、2019年時点で
炭谷銀仁朗 | 32歳 |
小林誠司 | 30歳 |
田中貴也 | 27歳 |
大城卓三 | 26歳 |
山瀬慎之助 | 18歳 |
他にも育成選手がいますが、ひとまず支配下登録では上記の5名で、岸田行倫選手は23歳ですので、阿部慎之助の後継者というよりは、「小林誠司の後継者」として今後を期待される選手なのかもしれませんね。
岸田行倫選手の主な打撃成績
1軍での出場は4試合、初ヒットもないので参考にならないため、2軍成績を主に参考データにしたいのですが、
打率 | 試合 | 打席数 | 安打数 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 四球 | 三振 | 出塁率 | 長打率 | OPS | |
2018 | .256 | 51 | 160 | 33 | 3 | 28 | 0 | 16 | 30 | .353 | .364 | .717 |
2019 | .293 | 92 | 284 | 72 | 4 | 33 | 3 | 31 | 44 | .378 | .419 | .797 |
年々数値をあげて、2019年は3割近い結果をあげていまし、盗塁も3つ決めるなど、元々内野手だったというところからも、走れる捕手になれる可能性も示しています。
岸田行倫選手のPA/BBは優秀レベル
選球眼の良さを確認するための一つの指標として「PA/BB」がありますが、打席数の中でどれだけ四球を取れるか?を数値化するものですが、
PA/BB | |
2018 | 10.00 |
2019 | 9.16 |
20を超えると平均以下、10を切ると優秀なプレーヤーという評価ですが、二軍での結果とはいえ、岸田選手のPA/BBは優秀という結果です。
打率だけでなく、出塁率が2018年は.353、2019年は.378と高い数値を出していますので、選球眼の良さは期待できるかもしれません。
岸田行倫選手のBB/Kは思いの外高くない?
もう一つの選球眼を計る数値で「BB/K」がありますが、四球÷三振で計算でき、数値が高いほど四球が多く三線が少ない優秀なバッターとなりますが、
2018年 | 0.53 |
2019年 | 0.70 |
と数値は向上していますが、1.00を超えれば優秀とみられるBB/Kからすると、若干物足りないところはあります。
岸田行倫選手の主な守備成績
続いて岸田選手の2軍での守備成績ですが、
守備率 | 試合数 | 刺殺 | 捕殺 | 失策 | 併殺 | 捕逸 | |
2019年 | .993 | 79 | 483 | 81 | 4 | 8 | 4 |
捕殺数には、
- バント処理を含む捕ゴロ
- 盗塁阻止
- 三振後に一塁へ送球するケース
- 振り逃げ
なども含まれますが、2019年阪神タイガースの梅野捕手が、65年ぶりに捕殺数の記録を更新したのが話題となって注目される数字ですが、シーズン120個の捕殺記録を樹立しています。
出場数が129試合なので1試合換算すると、0.93個になりますが、岸田選手は1試合換算で1.02個と数値を上回っています。
捕殺数は、先ほど書いた通り三振時のワンバウンド捕球で一塁へ送球するケースも増えるので、必然的に「ブロッキング能力が高くなければ上がらないはず」です。
フォークボールなどの変化球がワンバウンドした際に、捕逸を繰り返されるようでは、投手も信用して低めに投げきれないですし、捕逸数だけでは計れないブロッキング能力を示す数字と言っても良いかと思います。
2019年の岸田選手以外の捕手は、
守備率 | 試合数 | 刺殺 | 捕殺 | 失策 | 併殺 | 捕逸 | |
古賀 優大 | 1.000 | 75 | 389 | 56 | 0 | 5 | 6 |
齊藤 誠人 | .998 | 80 | 436 | 72 | 1 | 8 | 8 |
宗接 唯人 | .993 | 66 | 401 | 57 | 3 | 7 | 6 |
3名のデータが残っていましたが、捕逸が一番少ないキャッチャーは岸田選手で2019年は「4」と素晴らしい結果をあげています。
ちなみに2019年は梅野捕手は捕逸数「6」、小林誠司捕手は捕逸数「4」、1軍、2軍レベルの違いや出場試合数の違いはありますが、岸田選手が小林選手やトッププロに並ぶには、出場試合数が増えても、捕殺を増やし、捕逸を増やさないよう頑張ってほしいと思います。
すべてファームでの成績のため、一概にこのままの数値を鵜呑みに出来ない部分はありますが、1軍に慣れて、同程度の守備力を誇る事が出来れば、近未来の第二捕手、もしくは正捕手になれる可能性は十分に秘めていると思われます。
相川バッテリーコーチも
「総合力ではチームの捕手でもかなり高い。打つ、投げる、走る。全体のレベルを一回り上げることができたら、将来は一軍の正捕手も十分に狙える」
とコメントする通り、期待の高い選手だという事は、十分に伝わってきますね。
岸田行倫選手の年俸と背番号の推移
続いて岸田選手の年俸と背番号ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2020年 | 1100万円 | 38 |
2019年 | 1080万円 | 38 |
2018年 | 1200万円 | 38 |
今年は一軍デビューをした事もあり、年俸が微増していますが、2020年は第二捕手の座を狙って、大城卓三選手の年俸に追いつきたいところです。
ちなみに、大城選手の年俸は3500万とかなり差はついてしまいましたが、ドラフト2位の意地を見せてほしいところですね。
背番号については、岡本和真選手が入団時につけていた「38」を継承、当時長嶋茂雄監督の「3」と原辰徳監督の「8」を合わせた番号と期待された番号です。
岡本和真選手や番号への期待という点では岸田選手にかかる期待は高いと思います。
2020年岸田行倫選手に期待するところ
ここまで打撃面、守備面のそれぞれの面でデータを基に課題をあげてきましたが、すべてのデータが1軍のものではないので、信憑性に欠けますが、守備面での評価は一軍レベルにあると思われます。
一方で、打撃に関しては7打席たってヒットなしのため、来季は出場数を増やすだけでなく、初ヒット、初ホームランも狙っていきたいところです。
また、持ち前のシェアな打撃で広角に高い打率を残せれば、今の巨人捕手陣の中で右の巧打者はいませんし。24歳と大卒2年目とみなされる年で、十分にレギュラー争いを期待される年齢です。
来季は開幕一軍の枠に入れるよう、キャンプからしっかりとアピールを続けてほしいと願っております。
巨人のライバル捕手陣です