セ・リーグ最多勝、最高勝率、奪三振の投手三冠で、巨人をセ・リーグ制覇に導き、侍ジャパンに選出されて活躍した山口俊選手がポスティングを使用しての大リーグ挑戦。
原監督のポスティング容認とも取れる発言が、先日あった際にも、将来的に菅野智之選手が使う事もあるという布石だと思っていたのですが、まさか山口俊選手だったなんて・・
衝撃です・・・
もし、ポスティングで山口選手が移籍する事になるのであれば、巨人の補強編成はかなり大きく変わる事になりますし、またポスト菅野育成も急がなくてはいけない事を意味します。
今まで巨人だけはポスティングを容認してこなかっただけに、菅野選手級でなければ容認される事はないのでは?と思われていただけに、筆者も個人的な戸惑いは隠せない状況ですが・・
2019年までの山口俊選手の成績や年俸の推移や過去に大リーグ挑戦を表明したOBたちの成績を確認しながら、山口俊選手の2020年の成績を考察したいと思います。
山口俊選手のプロフィールと成績
最初に、山口俊選手のプロフィールですが、
出身校 | 柳ヶ浦高等学校 |
身長 | 187センチ |
体重 | 98キロ |
2005年の高校生ドラフトで横浜ベイスターズから1位指名、恵まれた体格は父が大相撲の元幕内力士の谷嵐久氏譲りで、2016年に国内FA宣言で巨人へ移籍。
高校時代は、高校1年で甲子園出場、2年は夏の甲子園を逃すも明治神宮大会で全国制覇、3年は春の選抜、夏の甲子園と経験。
同期の高校生ドラフト1位には、
- 平田良介
- 辻内崇伸
- Tー岡田(岡田貴弘)
- 陽仲寿(現在、陽岱鋼)
はじめ、今も現役で活躍している選手も多いです。
また一つ下には駒大苫小牧で活躍した田中将大選手がいて甲子園春夏連覇を成し遂げた年が2005年になります。
山口俊投手の成績と背番号推移
次に、横浜ベイスターズと巨人での山口選手の主な成績と背番号ですが、
年度 | 所属球団 | 登板 | 勝利 | 敗北 | セーブ | HP | 勝率 | 投球回 | 三振 | 防御率 | 背番号 |
2006 | 横 浜 | 5 | 1 | 2 | 0 | 0 | .333 | 21 | 17 | 6.43 | 11 |
2007 | 横 浜 | 6 | 0 | 3 | 0 | 0 | 000 | 20 | 14 | 6.30 | 11 |
2008 | 横 浜 | 16 | 1 | 1 | 0 | 3 | .500 | 23 | 28 | 0.76 | 11 |
2009 | 横 浜 | 51 | 5 | 4 | 18 | 12 | .556 | 55 | 68 | 3.27 | 11 |
2010 | 横 浜 | 54 | 2 | 8 | 30 | 4 | .200 | 68 | 78 | 2.62 | 11 |
2011 | 横 浜 | 59 | 2 | 6 | 34 | 3 | .250 | 61 | 48 | 2.49 | 11 |
2012 | 横浜DeNA | 60 | 1 | 2 | 22 | 4 | .333 | 62 | 62 | 1.74 | 11 |
2013 | 横浜DeNA | 44 | 5 | 2 | 7 | 11 | .714 | 46 | 48 | 5.40 | 11 |
2014 | 横浜DeNA | 33 | 8 | 5 | 0 | 3 | .615 | 124 | 96 | 2.90 | 11 |
2015 | 横浜DeNA | 20 | 3 | 6 | 0 | 0 | .333 | 114 | 119 | 4.49 | 11 |
2016 | 横浜DeNA | 19 | 11 | 5 | 0 | 0 | .688 | 138 | 121 | 2.86 | 11 |
2017 | 読 売 | 4 | 1 | 1 | 0 | 0 | .500 | 21 | 22 | 6.43 | 42 |
2018 | 読 売 | 30 | 9 | 9 | 1 | 2 | .500 | 154 | 144 | 3.68 | 42 |
2019 | 読 売 | 26 | 15 | 4 | 0 | 0 | .789 | 170 | 188 | 2.91 | 11 |
横浜ベイスターズ、DeNA時代は先発から抑え、抑えから先発と経験し、巨人では主に先発として3年間活躍しています。
通算成績は
- 64勝
- 112セーブ
- 防御率3.35
と、これから100勝を目指せるだけのポテンシャルは、十分にあります。
山口俊選手の年俸推移
次に、山口選手の年俸ですが、
年 | 年俸(推定) |
2019年 | 2億3000万円 |
2018年 | 2億3000万円 |
2017年 | 2億3000万円 |
2016年 | 8000万円 |
2015年 | 8800万円 |
2014年 | 8000万円 |
2013年 | 1億円 |
2012年 | 1億円 |
2011年 | 5400万円 |
2010年 | 3000万円 |
2009年 | 1000万円 |
2008年 | 880万円 |
2007年 | 950万円 |
2006年 | 870万円 |
と巨人では2018年から2年契約となるので、今年の投手三冠とセ・リーグ優勝というところで、巨人と再契約するとなれば、3億円~4億円程度の年俸が推定されます。
山口俊選手は大リーグで通用するのか?
高校生ドラフトでプロ入りし、早くから活躍していた事もあり、プロ生活は14年にもなりますが、年齢は32歳と熟年期を迎えているところです。
大リーグ挑戦するのであれば、年齢的にはギリギリのところで、野手ほどは厳しくはないですが、大リーグは30歳を超えてくると急激に評価を落としてくる事でも有名です。
また、その年のストーブリーグの動き次第で、ポスティングやFA移籍にも影響が出るとも言われていて、2018年シーズン終了後は
- クレイトン・カーショー
- ブライス・ハーパー
はじめ、ホセ・フェルナンデスやエイドリアン・ゴンザレスなどの大物メジャーリーガーがFAとなり、移籍市場に出てきたため、マリナーズに移籍した菊池雄星選手も年明けの移籍発表となりました。
2019年オフのメジャー移籍希望者は?
これまでの報道では、2019年は野手のみのポスティングやFA移籍の可能性を報道していましたが、メジャー移籍を希望している選手は
- 横浜DeNA 筒香嘉智選手(ポスティング)
- 広島東洋カープ 菊池涼介選手(ポスティング)
- 西武ライオンズ 秋山翔吾選手(海外FA)
の3選手。
日本人野手は、投手に比べて評価が難しいところがあるので、3選手とも時間がかかるとは思われますが、個人的な予想ですが山口選手も交渉が長期化するのでは?と思っています。
ポスティング交渉が長期化する3つの理由
ポスティング移籍は、FAとは違って自由に交渉する事ができず、入札に応じてきた球団のみと交渉する事が可能な制度です。
入札価格は、上限2000万ドル(約2.3億)が設定され、告示されてから30日以内で交渉がまとまれば、ポスティングシステムを使った移籍が可能となります。
山口選手の場合は準備をして12月前後に告示となれば越年する可能性は十分にあります。
球団への譲渡金は、
- 総額2500万ドル(約28億円)未満はその金額の20%
- 2500万ドル以上5000万ドル(約56億円)未満は17.5%
- 5000万ドル以上は15%
と契約金や年俸などで変わってきます。
この一ヶ月は、大リーグ側でもFA交渉が進んでいきますが、2019年オフの市場には大物メジャー投手がズラリです!
- ゲリット・コール 29歳
- スティーブン・ストラスバーグ 31歳
- ザック・ウィーラー 29歳
- マディソン・バムガーナー 30歳
- アロルディス・チャップマン 32歳
- ウィル・スミス 31歳
と先発も抑えも大物揃い。
33歳を迎える山口選手の評価は先発投手とすれば4番手、5番手扱いと見られるので菊池雄星選手と同列程度とすれば、交渉が後回しになる可能性は十分というのが一つ目の理由です。
二つ目に、日本人投手の評価です。
プレミア12優勝で改めて世界に日本プロ野球のレベルを示す事が出来ましたが、近年FAやポスティングで移籍した投手の十分な活躍がない事が評価を下げる可能性があります。
そのため、山口選手にとっては見本市となるプレミア12は大事な大会だったはずなのですが・・最後の韓国戦ではまさかの1回3失点(2本塁打)で降板。
「大一番に弱い」印象を持たれた可能性はあります。
三つ目に、山口俊選手をどう評価するか?です。
山口選手は抑えに、先発に、どんな役割も出来る上、ある程度のイニング数も投げれる事から体力面では自信があるため、使い勝手は良いはずです。
しかし、14年で二桁勝利は2度だけ、今年は投手三冠のため、この評価をどう見てくれるか?で評価が分かれそうです。
菊池雄星投手がモデルケースになるのでは?
2018年オフにマリナーズへポスティングを使って移籍した菊池雄星選手。
2017年には、最多勝と最優秀防御率、2018年も14勝を挙げ、名実ともにパ・リーグを代表する左腕に成長した事もあり、西武ライオンズは移籍金約11億円を手にしています。
菊池選手は大リーグ移籍1年目は
登板数 | 32 |
勝利数 | 6 |
負け数 | 11 |
防御率 | 5.46 |
奪三振 | 116 |
という結果を挙げていますが、先発で起用されるのであれば、筆者も山口選手も同等程度の数字を残すのでは?と思われます。
しかし、菊池選手のように、二桁勝利3回、27歳とこれから全盛期を迎える投手とは違って、タイトルを獲得しているものの30歳を超えた投手をどう評価するのは、とても気になるところです。
山口俊選手の2020年はどうなる?
山口俊選手が大リーグ移籍をポスティングでする場合、年齢的に考えて複数年契約であれば3年までとなるのではないか?と思います。
オリックスバッファローズからFA移籍した平野佳寿投手は33歳で2年契約、西武ライオンズからポスティング移籍した牧田和久投手は33歳で2年契約。
3年あれば御の字といったところかも知れません。
仮に来季も巨人にいるとすれば、年俸3~4億円程度になると推定されるので、同程度で獲得に応じるメジャー球団は複数いてもおかしくはありません。
イニング数を稼げる体力がある事を考えれば、QS(クオリティスタート)をクリアする事は十分に可能だと思いますが、チームによっては援護に恵まれず勝ち星が伸びない・・
という事も考えられるでしょう。
特に、山口選手は「立ち上がりが良くない」傾向があるので、早い回で捕まるような事が続くと、評価を下げてしまう可能性があります。
巨人初のポスティングシステムを使った移籍第一号になる可能性があるわけですから、もし移籍が可能となれば、是が非でも成功してほしいと思いますし、後に続くであろう菅野智之選手のためにも、球団もしっかりと交渉をしてほしいと願っています。
いずれにしても、巨人の補強が大きく転換しなければいけない事は事実。
エース級のピッチャーを外国人で補強するのか、トレードで補強するのか、これからの動きを楽しみにしたいと思います。
巨人の2020年はどうなる?
→ 読売ジャイアンツ期待の若手は?我慢できずに先に書きます・・笑
2019年11月18日 追記
今回のポスティング容認は、3年前のFA移籍の契約条項に含まれていたようですね。
という事は、巨人ではFA容認をする方針を示した契約を容認する姿勢が、以前からあったという事になるのでしょうか?
それとも、大塚球団副代表が契約条項を把握していなかったというように、過去の契約について知らない事もこれから色々と出てくるのかも?
いずれにしても、球団も監督もコーチも、みんな山口選手の夢やチャレンジを後押しするという事ですし、挑戦に失敗した時でも背番号「11」は当面空き番号にして戻ってこれるようにするという・・
寛大なところを見せていますので、とても好感が持てる会見で良かったです!