戸郷翔征選手は、2019年巨人の若手台頭の中でインパクトが一番大きかった選手ですが、実は2018年ドラフト6位、聖心ウルスラ学園高等学校から入団とドラフト下位指名投手でした。
戸郷翔征選手は、3年生の甲子園出場は叶いませんでしたが、BFA U-18アジア選手権大会の日本代表選抜との壮行試合に宮崎代表として先発し、根尾選手や藤原選手を抑えた事で注目されました。
いわゆる「アーム式」と呼ばれる独特のフォームからスリークォーターから投げてくるタイプで、あまり他にはいないタイプです。
巨人がドラフト指名した実績型ではなく、いわゆる素材型として将来を見込まれたというところでしょう。
まだ18歳の高卒、大きな実績もないドラフト下位指名であれば、巨人のケースだとまずは体作りからはじめて、3年ほどで一軍デビューといったプランが多いですが、まさか一年目から大抜擢とは・・
ファンも想像していなかったと思います。
とは言え、ちょうどエースの菅野投手も怪我をしたり、期待された先発陣も結果が出ていないというタイミング的には丁度よい時でした。
もちろん、実力もありますのでラッキーだけではありませんが、与えられたチャンスを活かせるのかどうかは、プロの世界だと大きな分岐点ですので、よくぞモノにしたなぁと思います!
順風満帆なプロ人生のスタートとは言えますが、しかしだからと言ってこれから先もプロとして大成し、成長していくのか?と言えば、それは別の話になります。
これから先の戸郷翔征選手が巨人のローテーションピッチャーとして確固たる地位を築いていくために、課題も多いのは事実です。
ここでは、戸郷翔征選手のフォームの解説や2020年に向けての課題など、ドラフト下位指名からでも近未来の巨人を背負う可能性について、考察していきたいと思います。
戸郷翔征選手のプロフィールと成績
まず最初に、戸郷翔征選手のプロフィールですが、
出身校 | 聖心ウルスラ学園高等学校 |
身長 | 186センチ |
体重 | 72キロ |
身長は恵まれた186センチと立派ですが、体重が72キロと華奢(きゃしゃ)な印象。
それでも、高校時代の最速が149キロと紹介されていましたが、プロ入り後に1年足らずで154キロまで伸ばしていますので、ポテンシャルは十分です。
ストレートの他に、スライダー、チェンジアップ、スプリット、カーブ 、カットボールを投げるそうですが、一軍の試合を見る限り、スライダーとチェンジアップが大きな割合を占めそうです。
戸郷翔征選手のプロ入り後の成績
次に、プロ入り一年目のファームと一軍での成績ですが、
登板数 | 勝利数 | 負け数 | 防御率 | |
ファーム | 11 | 4 | 1 | 3.00 |
1軍 | 2 | 1 | 0 | 2.08 |
ファームでは先発は8試合の登板で4勝と結果を出した事で、一軍抜擢され、今季初勝利を挙げ、さらにクライマックスシリーズ、日本シリーズにも登板しています。
戸郷翔征選手の2019年クライマックスシリーズと日本シリーズの成績
阪神タイガースとのクライマックスシリーズは残念ながら3回1失点で降板でしたが球威は抜群でした。
また、日本シリーズでも登板機会に恵まれ、中継ぎ登板しましたが、1回4失点と結果を残す事ができませんでした。
とは言え、貴重な体験を積めたのは良かったのではないでしょうか。
戸郷翔征2020年キャンプやオープン戦の成績
戸郷翔征選手は、2020年シーズンもはじまる、春季キャンプから1軍に帯同し、紅白戦や練習試合、オープン戦でも進化を見せてくれています。
まず、2020年春季キャンプでの紅白戦での主な成績ですが、
イニング数 | 安打数 | 奪三振数 | 失点 | |
2020年2月4日 (紅白戦) |
1イニング | 1安打 | 0 | 0 |
2020年2月9日 (紅白戦) |
2イニング | 1安打 | 1奪三振 | 0 |
2020年2月19日 (中日ドラゴンズ練習試合) |
3イニング | 1安打 | 3奪三振 | 0 |
2020年3月1日 (東京ヤクルトスワローズオープン戦) |
5イニング | 2安打 | 6奪三振 | 0 |
と合計11イニングを無失点ピッチング、先日の東京ヤクルトスワローズ戦では、最速151キロのストレートを軸に素晴らしい投球を披露してくれたので、文句のない成績ですね。
戸郷翔征選手のアーム式フォームとは?
戸郷翔征選手のフォームですが、一般的なオーバースローやスリークォーターとは違って、「アーム式」と呼ばれる投球フォームで独特です。
同じようなアーム式の投法だと、2016年の甲子園優勝投手の佐藤世那投手、巨人で活躍した西山一宇投手、中日ドラゴンズの絶対的エース岩瀬仁紀投手などがいます。
アーム式と呼ばれる由来は肘を一回伸ばすので、その姿がピッチングマシーンのロボットアームのように見えるところからきていると思われますが、一般的にアーム式投法はプロ野球の常識では良くない投法だと言われています。
アーム式投法がプロ野球で敬遠される理由は?
アーム式は、一般的なオーバースローと違って肘を伸ばすため、肘の内側側副靭帯への負担は少ない投法ですが、逆に肩への負担が大きくかかる投法となります。
特に、上半身の強さを頼って投げるいわゆる「手投げ」のような状態が続くと、肩甲骨や上腕を動かす筋肉に大きな負担がかかる事になりますので、肘の故障よりも肩の故障リスクが高いのです。
また、投球フォームの問題点で指摘されるのは、腕を伸ばす=ボールを身体の一番遠いところに置くので、打者からするとボールが見やすい状態になります。
球の出どころが見やすくなれば、タイミングも取りやすく、ピッチングマシーンと対峙しているのと変わりがないため、どれだけ球速が上がっても、対戦相手に速いと感じさせられない事もあるかも知れません。
戸郷翔征選手のアーム式は若干特殊??
戸郷投手のアーム式の投法ですが、スリークォーターで球速が出るだけでなく、ナチュラルにストレートも動いています。
また、割とコントロールはアバウトなので、ストライクゾーンで良い感じで荒れてくれるため、投げ方からしても打ちにくい印象を持たれるところはあると思います。
ただ、プロ野球選手は、必ず対策を取ってきて、何度も壁にぶち当たる事になりますし、戸郷投手も近い将来壁に当たる事もあるでしょう。
その時に、どうやってその上を超えていけるか?というところで、秋季キャンプで掲げた課題の一つが「体重を増やす」というものでした。
秋季キャンプでは、基礎体力の向上と体重を10キロプラスと掲げて、肉体改造を試みているようですが、他の若手投手がタイヤを使ったトレーニングで力を見せている中、戸郷翔征選手は非力な一面を見せていました・・・
このあたりは、まだまだ19歳で身体も出来上がってきていないのかな??という印象は抱きますが、体幹がしっかり出来てくれば、球速も1年で5キロもアップしてきているところもあるので、まだまだま伸びしろはあるんじゃないか?と思います。
戸郷翔征投手の球種は?
戸郷翔征選手は、2019年から2020年にかけて大リーグへ挑戦した山口俊選手と共に自主トレを過ごしました。
山口選手から、ウイニングショットとなるフォークボールの投げ方を教わり、東京ヤクルトスワローズとのオープン戦で解禁していましたが、切れ味鋭い落ち方は、山口俊選手を彷彿させるようなボールでしたので、宮本コーチも納得のようでしたね。
どこまでも凄い選手になってもらいましょう✨ https://t.co/ywjZEybqnD
— たーくん@巨人愛溢れる二児のパパ (@takun_baseball) March 1, 2020
2019年までは、最速154キロのストレートを軸に、カットボールが主な球種になっていましたが、2020年はスプリット系のフォークボールも加わりますので、横の球種だけでなく、縦の球種も増えましたので、奪三振数は大幅に増えると思います。
戸郷翔征選手がドラフト上位指名されなかったのはなぜ?
ところで、戸郷翔征選手は1年目から一軍に出てくるほどの選手だったにも関わらず、2018年のドラフト会議では、ドラフト下位指名となる6位だったのはなぜなのでしょうか?
もう少しドラフト上位で獲得されてもおかしくない選手ですが、当時のドラフトレポートを見ると
- 中学校までは上手投げと横手投げで評価は二分されていた。
- 2年夏には甲子園に出場し、一回戦の早稲田佐賀戦で先発、9回被安打8、奪三振11、失点1で完投勝利、二回戦の聖光学院戦では7回1/3被安打10、奪三振1、失点4で負け投手で注目されるも、3年は甲子園の出場機会がなくアピール不足だった。
- 甲子園出場はしていませんが、3年の時に第12回U18アジア選手権に宮崎代表として選出され、高校日本代表と試合をして、5回1/3被安打5、奪三振9、四死球3、失点2の好投で巨人のスカウトから評価された
という事でした。
ドラフト前に武田康スカウトからは、
「最速149キロの右の本格派。今夏のU-18日本代表の壮行試合で宮崎選抜の一員として登板し、日本代表から5イニング9奪三振。決め球のカット、スプリットは切れ味が鋭い」
とドラフト下位ながらも、素材の評価は高かったという事になりますね。
ところで戸郷翔征本人がドラフトを意識し始めたのが、2年の甲子園敗退時だそうです。
当時のコメントを見ると、
「そこからプロの世界で投げたいという思いも強くなりました。めちゃくちゃ楽しくて。こんなに楽しいのがやっぱり野球なんだと、もう一度思い出させてくれた場所ですかね。全部を変えてくれたところが甲子園だったと思います」
と答えていますので、この時からドラフトを意識して練習も取り組んできたため、結果的に巨人のスカウトから評価され、ドラフト6位の指名ですが、プロ入りの夢が叶ったという事ですね。
是非とも、これからも頑張って欲しいですね。
戸郷翔征選手の2020年に向けての課題
基礎体力の向上、体幹づくりと、まだまだ身体づくりが出来ていない印象があるため、一年間ローテーションで回ることは難しいかもしれません。
ポテンシャルを見れば、使いたくなる首脳陣の気持ちは痛いほど分かりますが、無理をして怪我をしたり、研究されて不調に陥る・・なんて事があると勿体ない逸材ですので・・
2020年前半戦は、身体づくりが出来てきているか?を判断基準の一つにしても良いのではないか?と思います。
後半戦で本格的にローテーションを回って、5勝あげる事を目標にしてもらえれば、巨人としてはとても助かりそうな気がします。
5勝をあげるためには、ストレートの球威を上げる事は大事ですが、どちらかと言えば気になるのが「変化球の精度の低さ」です。
独自に覚えたと言われる変化球は、色々と球種がありますが、スライダーとチェンジアップは高めに抜けている印象が強いです。
初見で通じたものが、2、3度と対戦すれば通用しなくなっていくのがプロの世界。
変化球の精度が上がれば、どんどんストレートで押していく強気な投球スタイルも確立し、ピッチングも楽になると思いますので、是非とも2020年前半戦で一回り、二回り大きくなった戸郷投手になる事を楽しみにしたいと思います。
戸郷翔征選手2020年の評価はうなぎのぼりか?
戸郷翔征選手は、2019年11月14日 ソフトバンクホークスとの練習試合で好投し、秋季キャンプ、自主トレと良い階段を登っており、評価はうなぎ上りでした。
日本シリーズへのリベンジ・・とヤングジャイアンツも期する気持ちがあったと思いますが、残念ながら4-8でソフトバンクホークス勝利・・
戸郷投手は、2回を投げて最速148キロと上々のスピード、1奪三振でヒット無しと結果を残したので一定の評価を勝ち取りましたが・・・
首脳陣の評価が明らかに上がったと思うのが、背番号ですが67から13へと変更になった点ですが、原監督はじめ宮本チーフ投手コーチの評価も明らかに上がっていると思います。
一桁の背番号を勝ち取るなんて、首脳陣からの期待を感じますが、来年だけで終わる投手にならないように、個人的には長い目で見守ってほしいと想います。
そして、ゆくゆくは二桁勝利できるピッチャーへと成長し、巨人を長く支えてくれるピッチャーに成長してほしいので、そこまでの評価をしてほしいなぁと切に願います。
以上、戸郷翔征選手に関する考察でした、また随時情報更新していきたいと思いますので、皆様のご意見があればコメントなどを利用して情報交換させて下さい!
良い情報交換ができれば、記事更新の参考とさせていただこうと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
2020年3月2日更新
巨人期待の若手ピッチャーと言えば??