大リーグのノーコンピッチャー、チアゴ・ビエイラ投手が2020年巨人の救世主となるのでしょうか?
球団は育成の目的も兼ねているので1年で終わらず2年後、3年後に期待しているところもありますが、ブラジル代表の抑えも務めた最速167キロのストレートは何よりも魅力のリリーバーです。
ここでは、ビエイラ投手の過去の成績やデータを見ながら、ビエイラ選手が活躍できるか?考察していきたいと思います。
チアゴ・ビエイラ選手のプロフィール
最初にビエイラ選手のプロフィールからですが、
出身 | ブラジル、シアトル・マリナーズ、シカゴ・ホワイトソックス |
身長 | 188センチ |
体重 | 95キロ |
2011年にシアトル・マリナーズのマイナー契約からプロ生活がはじまり、2011年、2012年はルーキー級ベネズエラン・サマーリーグ・マリナーズでプレーしました。
2012年にはWBCブラジル代表に選出され、予選では抑えを任され2セーブ、翌2013年のWBC本戦でもブラジル代表として活躍しています。
2017年に初メジャー・デビューを果たすも1試合1イニング無失点の記録のみで、マイナーへ降格、オフにはシカゴ・ホワイトソックスへトレードで移籍します。
ホワイトソックスではメジャー登板をしていますが、2018年は暴投を6つ記録するなど、コントロールに難があるピッチャーですが、平均球速が155キロ前後と速球がずば抜けているところが魅力でもあります。
チアゴ・ビエイラ選手の主な投手成績
続いて、ビエイラ選手の投手成績についてですが、
登板数 | 先発 | 勝利 | 敗戦 | セーブ | 勝率 | 投球回 | 被安打 | 被本塁打 | 与四球 | 四球率 | 奪三振 | 奪三振率 | K/BB | 防御率 | WHIP | ||
2017 | シアトル・マリナーズ | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0.00 | 1 | 1.00 | 0.00 | 0 | 0 | |
2018 | シカゴ・ホワイトソックス | 16 | 0 | 1 | 1 | 1 | .500 | 17.2 | 21 | 4 | 9 | 0.52 | 15 | 0.87 | 0.60 | 7.13 | 1.7 |
2019 | 6 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1.000 | 7 | 11 | 0 | 5 | 0.71 | 8 | 1.14 | 0.63 | 9.00 | 2.29 |
奪三振率が、1.00近くに迫るなど、高い数値を見せていますが、四球率とWHIPを見ると、四球が絡んでピンチを招く事が多いピッチャーである事が伺えます。
また、2018年の被本塁打4本は、ちょっと多いかな??という印象もあり、球速が速いピッチャーなのでフライボールピッチャーの傾向があるのかも??という印象です。
ビエイラ選手の球質はデラロサ選手に似ている?
2019年途中入団したデラロサ選手ですが、ストレートの平均球速は156キロとメジャーの中でも速い部類の投手でしたが、ビエイラ選手も同じで、平均球速は155キロと相当速いです。
また、デラロサ選手のストレートはシュート成分が多いと分析されていて、右打者の内側へ食い込むイメージですが、ビエイラ選手のストレートも同じでシュート成分が多い4シームです。
ストレートだけを見れば、デラロサ選手と大差がないのですが、大きな違いは「回転数」にあります。
ビエイラ選手の4シームの回転数は、2323rpm。デラロサ選手のデータがありませんが、この回転数はメジャー平均の2287rpmも超えていて、デラロサ選手以上に高いためホップするイメージの伸びがあります。
シュート回転しながら、伸び上がる・・
これだけを聞くと、凄まじい魔球のようなストレートに聞こえますが、ホップ成分の大きいピッチャーは「フライを打たれる確率が上がる」ので、狭い球場やホームランが出やすい球場が多い日本の場合は、ホームランが増えてしまう傾向にならないか?が懸念です。
特に、ビエイラ選手の場合はノーコン投手と言われるほど、制球に難がありますので、アバウトな制球力を日本で上げる事が出来るかは、注目したいと思います。
マシソン投手が日本で成功した理由
話は変わりますが、スコット・マシソン選手が巨人入りした時の話ですが、メジャーでは好まれない投げ込みを積極的に取り入れ、当時の川口投手コーチと二人三脚でフォームや握りの修正を加えて、巨人軍最強のリリーバーになっています。
メジャー時代の制球難が消え、巨人ではセットアッパー、抑えで7年間支えてくれた背景には、日本流を積極的に取り入れた結果です。
ビエイラ選手も入団時のコメントで、
「伝統と歴史のある巨人軍の一員になれて心からうれしく思います。ブラジルで日本人コーチの指導を受けたことがあり、日本の文化や習慣にもなじみがあります。以前から日本でプレーしたいと思っており、この挑戦は家族にとっても素晴らしい経験になるでしょう。常にベストを尽くし、チームの優勝に貢献したいと思います」
と言っていますので、マシソンのように積極的に日本に馴染んで、結果を出して欲しいですね。
チアゴ・ビエイラ選手の球種と投球割合
次に、ビエイラ選手の球種と投球割合ですが、
球種 | 平均球速 | 投球割合 |
4シーム | 156.9 | 65.7 |
2シーム | 153.6 | 2.4 |
チェンジアップ | 140.7 | 5.9 |
スライダー | 139.5 | 25.4 |
カーブ | 124.4 | 0.6 |
4シームとスライダーの割合を足せば90%を占めるので、ほぼ2種類の球種で攻めている印象。
ちなみにデラロサ選手は、
球種 | 球速 | 投球割合 |
4シーム | 156 | 50 |
2シーム | 155.4 | 3 |
チェンジアップ | 142.9 | 1 |
スライダー | 136 | 46 |
4シームの割合が50%程度で、スライダーも46%とほぼ同数、2種類の球種で攻めるスタイルは似ていますが、ビエイラ選手の方が、よりストレートで押すイメージが強いです。
ストレートにこだわらず変化球を磨くことも重要
また、ビエイラ選手の第三球種はチェンジアップになりますが、ほとんど投げていませんが、日本球界入りでチェンジアップやフォークなど、スライダーに次ぐ変化球を覚える事ができれば、投球の幅が広がりますので、制球難克服に繋がる可能性があります。
かつての横浜ベイスターズの守護神マーク・クルーン投手は、日本にきて権藤監督からフォークボールを授かりストレートと同じ割合投げる事で成功したそうです。
ストレートの制球が出来ないのであれば、信頼できる変化球が増えれば、ストレートがさらに生きてくるはずですので、日本来日で大化けする可能性は、十分にあると思います。
チアゴ・ビエイラ選手の年俸と背番号
続いて、ビエイラ選手の年俸と背番号ですが、
年 | 年俸(推定) | チーム | 背番号 |
2020年 | 4700万 | 巨人 | 49 |
2019年 | $555,000 | Wソックス | 50 |
2018年 | $545,000 | Wソックス | 50 |
2017年 | $535,000 | マリナーズ | 40 |
巨人ではウォーレン・クロマティ選手、テイラーヤングマン選手が付けた背番号「49」に決定、往年のクロマティー選手のような活躍を期待したいところです。
2020年チアゴ・ビエイラ選手に期待するところ
ここまで、ビエイラ選手の成績やデータを見ながら課題をあげてきましたが、
- 制球力の向上
- 第三変化球の投球割合を上げる
必要があると感じました。
制球力に関しては、FAN GRAPHSと呼ばれる海外のサイトでビエイラと選手のデータがありましたので紹介すると、
まずこちらが、ストレートの割合で、ストレートが右打者の外角に集まる傾向が高いですが、基本は真ん中周辺に集まっています。
そしてスライダーですが、
スライダーも右打者の外角に多く投げ込みますが、ボールゾーンに集まっているので、ストライクを取るのに苦労している可能性も見られます。
デラロサ選手のように、スライダーでストライクを簡単に取れれば、ストレートが真ん中付近に集まっても、ごまかしが効くような気もします。
ノーコンを克服するというよりは、変化球の精度と割合を増やす事で、ストレート勝負だけにこだわらなくても良いのでは??という印象です。
画像引用 FAN GRAPHS
そして、ウィニングショットとしてスライダーだけでなく、「第三の変化球のマスター」ですが、日本のコーチは変化球を教えるのが上手ですし、チェンジアップを筆頭候補に握りや球種を色々と試してみて、自分の合う球種を一つ増やして欲しいと思います。
現状だと、ビエイラ選手は育成込みの獲得と思えるほど、即戦力とは考えていない可能性はありますが、長いシーズン何があるか分かりませんし、マシソン選手のように大化けする事もありますので・・
ビエイラ選手が活躍する日を、心待ちにしていたいと思います。
巨人の2020年外国人事情です