2016年に最多セーブ王に輝き、巨人の守護神として活躍していた矢先の2017年、開幕前から右肩の違和感が続き、調子が上がらないまま登板なく終わり・・
2018年にリリーフ登板で復帰するも、思うような結果を出ない事で、2019年には交換トレード要員という噂もある中で、見事にリリーフで結果を残してくれた澤村拓一投手。
2019年前半戦は、「澤村劇場」と言われたり、先発調整のためファーム落ちしたり、厳しい立場でしたが、後半戦は力でねじ伏せる頼もしいピッチングが復活しました。
一時はハリ治療のトラブルや暴行事件などで選手生命を危ぶまれる声がありましたが、見事に復活し、2020年はさらなる成績の上積みも期待できそうです。
そんな、澤村投手の魅力や課題を、過去の成績やデータなどから考察していきたいと思います。
澤村拓一投手のプロフィールと成績
まずはじめに、澤村投手のプロフィールですが、
出身校 | 佐野日大高→中央大 |
身長 | 184センチ |
体重 | 102キロ |
高校時代は3番手ピッチャーで目立った活躍はなく、甲子園の出場歴も無しです。
阿部慎之助、亀井善行選手達がOBの中央大学へ進学し、2年の秋から才能を開花させエースとして活躍、4年春には最速157キロまでストレートの球威を伸ばし、ドラフト1位確実と言われるまで成長を遂げます。
東都大学1部リーグでは、通算41試合に登板し19勝14敗、防御率1.31、266奪三振。2部リーグで7勝2敗と、圧倒的な力を示しています。
澤村投手と言えば、「筋トレ」とイメージする人が多いですが、大学時代からハードな筋トレで体作りをしてきました。
高校卒業時の体重が70キロほどだったのが、今では100キロ超という事ですから、大学卒業時でも90キロ近くあったのでしょうか・・
なんでも、「筋トレビッグ3」と呼ばれるような、澤村投手が取り組んでいる筋トレが3つあるみたいで、
- ベンチプレス 150キロを10回3セット
- スクワット 185キロを10回3セット(プロ入り後240キロを10回)
- デッドリフト 回数の情報なし
と過酷な筋トレを継続してきたことが分かりますし、あの豪速球は筋トレで作られた上半身と下半身によって生まれているという事でしょう。
ただ、2012年にプロ入り後、先発で結果が出ないまま年数が過ぎた事もあって、筋トレだけでは結果が良くならないという事を理解し、体幹トレーニングも取り入れるようになった結果、2016年には最多セーブ王を獲得する事も出来ました。
澤村拓一投手の主な投手成績
そんな巨人の筋肉王とも言える澤村投手の主な投手成績ですが、
登板 | 勝利 | 敗北 | セーブ | 勝率 | 投球回 | 本塁打 | 四球 | 三振 | 防御率 | |
2011 | 29 | 11 | 11 | 0 | .500 | 200 | 14 | 45 | 174 | 2.03 |
2012 | 27 | 10 | 10 | 0 | .500 | 169.2 | 12 | 54 | 138 | 2.86 |
2013 | 34 | 5 | 10 | 0 | .333 | 158.1 | 18 | 43 | 148 | 3.13 |
2014 | 12 | 5 | 3 | 0 | .625 | 72.2 | 3 | 14 | 66 | 3.72 |
2015 | 60 | 7 | 3 | 36 | .700 | 68.1 | 4 | 21 | 60 | 1.32 |
2016 | 63 | 6 | 4 | 37 | .600 | 64.1 | 5 | 22 | 55 | 2.66 |
2018 | 49 | 1 | 6 | 0 | .143 | 52.1 | 4 | 27 | 54 | 4.64 |
2019 | 43 | 2 | 2 | 1 | .500 | 48.1 | 3 | 17 | 55 | 2.61 |
2011年に新人王を獲得、2012年と連続二桁勝利をあげるも、貯金はなし。
その後はリリーフに回って30セーブ以上あげるなど、一見数字上の貢献度は高く見えるのですが、「澤村劇場」と言われる理由がセイバーメトリクスから分かったのですが、
投球回 | 本塁打 | 被本塁打率 | 四球 | 与四球率 | 奪三振 | K/BB | |
2011 | 200 | 14 | 0.63 | 45 | 2.24 | 174 | 3.87 |
2012 | 169.2 | 12 | 0.63 | 54 | 2.863 | 138 | 2.56 |
2013 | 158.1 | 18 | 1.20 | 43 | 2.443 | 148 | 3.44 |
2014 | 72.2 | 3 | 0.37 | 14 | 1.734 | 66 | 4.71 |
2015 | 68.1 | 4 | 0.52 | 21 | 2.766 | 60 | 2.86 |
2016 | 64.1 | 5 | 0.69 | 22 | 3.77 | 55 | 2.50 |
2018 | 52.1 | 4 | 0.68 | 27 | 4.642 | 54 | 2.00 |
2019 | 48.1 | 3 | 0.55 | 17 | 3.165 | 55 | 3.24 |
実は澤村投手ですが、被本塁打率を見ても分かる通り、一試合投げきっても1本もホームランを打たれない投手なのですが・・
与四球率が3~4と「大変高い」ため、無駄なランナーを溜める事が多いです。
しかし、K/BBは平均以上という事で、「四球を出す割には三振も取れる」投手なのです。
何が言いたいのか??と言えば、
「一人相撲でランナーを四球で出し、出したランナーは三振で抑えるので危機は乗り越える」
つまり、劇場型のピッチングだというのは、印象だけでなく数字でもありありと表れているという事です。
ある程度パワーピッチャーなので、予想はできていましたが、ここまでデータにしっかりと出てくると、もう少し制球力の改善はしてほしいなぁという気持ちにもなりますね。
澤村拓一投手の球種と投球割合
次に、澤村投手の球種ですが、ストレート、シュート、カットボール、スライダー、フォークとなっていますが、投球割合を見ると
球種 | 投球割合 | 被打率 | 被四死 | 奪三振 | 空振率 | 見逃率 |
ストレート | 59.09% | .283 | 12 | 22 | 9.98% | 16.63% |
フォーク | 26.78% | .159 | 2 | 29 | 23.85% | 3.21% |
スライダー | 11.67% | .250 | 1 | 2 | 7.37% | 18.95% |
シュート | 0.49% | .000 | 0 | 1 | 25.00% | 25.00% |
カットボール | 1.97% | .000 | 1 | 0 | 12.50% | 18.75% |
6割近くがストレート、残り30%弱がフォークとスライダーとなっているため、完全に力で押すピッチングですが、フォークの見逃し率は3%台とかなり低いです。
空振り率が23%という事なので、勝負給として使われる事が多いと思うのですが、150キロ近くにせまるスピードフォークで、落差よりもスピードがある球質で奪三振力が高めです。
得点圏被打率と左右被打率
次に、得点圏での打率関係のデータですが、
得点圏被打率 | 四球 | 三振 | 得点圏出塁率 | 得点圏長打率 | 得点圏OPS | |
ビハインド時 | .200 | 1 | 6 | .250 | .400 | .650 |
同点時 | .143 | 1 | 3 | .250 | .286 | .536 |
リード時 | .222 | 4 | 4 | .364 | .333 | .697 |
とリードしている展開で起用される勝ちパターンを担うのであれば、得点圏打率と出塁率をもう少し抑えないと、信頼感を得る事が難しいと思います。
逆に同点時の起用には無類の強さを見せているので、相手の流れを止める豪腕を発揮するというところで言えば、6回、7回あたりで起用されるのが一番良いのかもしれませんね。
次に、左右別の被打率ですが、
右打者被打率 | 左打者被打率 |
.223 | .246 |
左が.250に迫る被打率ですが、そこまで目立った数字ではないですし、左右苦にしないのは、ストレートとフォークで組み立てられるからだと思います。
とにかく、澤村投手には、ストレートで相手を制圧する、そんなピッチングが似合っているという事なのでしょうね。
澤村拓一投手の年俸と背番号の推移
次に、澤村投手の年俸と背番号の推移ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2020年 | 1億5400万円 | 15 |
2019年 | 1億2150万円 | 15 |
2018年 | 1億5000万円 | 15 |
2017年 | 1億5000万円 | 15 |
2016年 | 1億円 | 15 |
2015年 | 4800万円 | 15 |
2014年 | 6000万円 | 15 |
2013年 | 6500万円 | 15 |
2012年 | 5200万円 | 15 |
2011年 | 1500万円 | 15 |
2016年以降は、リリーフメインで活躍し、最多セーブ賞を獲ったり、侍ジャパンに選出されたりと1億円プレーヤーをキープしています。
特に、今年は本当に年間通して高いパファーマンスを発揮してくれたので、2250万アップと過去最高の評価となりました。
背番号15は、入団以降ずっと澤村投手が付けていますので、今では巨人の15番と言えば澤村投手。
と認知されるようになりましたし、来季以降もリリーフで勝ちパターンを支えるピッチャーになってくれる事を願っています。
2020年澤村投手の活躍を予測
ここまでデータや成績をもとに、澤村投手の特徴をまとめてきましたが、来年澤村投手に担って欲しいポジションは、ずばり「ポストマシソン」です。
巨人の抑えはデラロサ選手で決まり、ポスト山口鉄也は中川皓太選手が独り立ちしてくれそうな予感なので、あとはマシソンのようなパワーピッチャーが加わってくれると、リリーフ起用の幅が広がり、相手も嫌なはずです。
澤村投手は、澤村劇場と言われるように、ランナーを四球、四球で出して、出したランナーは三振を奪って返さない・・
見ていてハラハラするところが多い投手なので、なかなか評価が難しい選手ですが、ポテンシャルは十分にありますし、何より巨人のナンバーワンパワーピッチャーでもあるので、他に代えの利かないピッチャーである事は間違いありません。
ソフトバンクホークスで言えば、今年新人でリリーフエースを務めていた甲斐野投手のような役割です。
2020年もしびれる展開での起用に応えて、リリーフ陣を安定させてくれる事を願っています。
以上、今回は澤村拓一投手に関するまとめでしたが、また新しい情報があれば、随時更新していきたいと思いますので、何か新しい情報があればコメントやTwitterをいただければ幸いです。
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来年もリリーフでしょうか?今年は本当にお疲れ様でした!