今年2対2のトレードで日本ハムから巨人入りした鍵谷陽平選手。
巨人にはいないリリーフタイプで、速球の平均球速が150キロ前後でストレートで押すスタイルは、見ていても気持ちの良いピッチングでした。
入団前は、吉川光夫選手、宇佐見真吾選手とのトレードというところで「どこまで使えるのか??」と懐疑的なところがありましたが、久しぶりの当たりトレードで巨人ファンからも信頼される存在になった事でしょう。
そんな鍵谷投手の魅力や課題、2020年に向けての期待を、過去の成績やデータなどから考察していきます。
鍵谷陽平選手のプロフィールや成績
まずはじめに鍵谷投手のプロフィールですが、
出身校 | 北海高→中央大 |
身長 | 178センチ |
体重 | 85キロ |
高校では1年からベンチ入り、3年時に夏の甲子園大会へ出場するも、東邦高校に敗退し、中央大学へ進学。
大学2年には最速152キロまでストレートの球速を上げるも、右肘靭帯の損傷で全治4ヶ月の怪我を負うも見事に復活し、リーグ通算37試合に登板し、7勝9敗、防御率1.94の成績を収めて、2012年には日本ハムのドラフト3位指名を受けプロ入り。
同大学には2学年先輩の澤村拓一、遠藤一星、1学年先輩の井上晴哉、2学年後輩の島袋洋奨選手がプロ入りしています。
2012年のドラフトは、
菅野智之、大谷翔平、増田達至、金子侑司、東浜巨、石山泰稚、小川泰弘、鈴木誠也、則本昂大、田村龍弘、藤浪晋太郎
とプロでも結果を残している選手が多くいる豊作の年ですが、鍵谷選手も他のドラフト選手に負けずにプロでは主にリリーフとして起用されてきました。
鍵谷陽平投手の主な投手成績
次に、鍵谷選手の主な成績ですが、
年度 | 所属球団 | 登板 | 勝利 | 敗北 | HP | 勝率 | 投球回 | 安打 | 本塁打 | 四球 | 三振 | 防御率 |
2013 | 北海道日本ハム | 38 | 2 | 3 | 7 | .400 | 54 | 41 | 4 | 33 | 42 | 3.33 |
2014 | 北海道日本ハム | 21 | 1 | 0 | 3 | 1.000 | 28.2 | 25 | 4 | 10 | 27 | 2.20 |
2015 | 北海道日本ハム | 40 | 5 | 3 | 20 | 625 | 34.2 | 45 | 3 | 12 | 32 | 4.67 |
2016 | 北海道日本ハム | 48 | 5 | 3 | 8 | .625 | 44.2 | 37 | 3 | 21 | 38 | 4.23 |
2017 | 北海道日本ハム | 60 | 2 | 3 | 19 | .400 | 57 | 33 | 6 | 17 | 46 | 2.53 |
2018 | 北海道日本ハム | 28 | 0 | 0 | 2 | .000 | 27.1 | 33 | 2 | 12 | 22 | 4.28 |
2019 | 北海道日本ハム | 18 | 0 | 0 | 1 | .000 | 16.2 | 16 | 0 | 12 | 16 | 5.94 |
2019 | 読 売 | 27 | 0 | 2 | 6 | .000 | 27 | 21 | 4 | 18 | 11 | 3.00 |
今年は45試合に登板、主に6回あたりでビハインド時や同点の時に多く起用されている印象がありましたが、60試合に登板した2017年はリリーフエースとして勝ち試合に登板する事が多かった投手です。
四球率と三振率を計算してみたところ、
投球回 | 四球 | 三振 | ||
54 | 33 | 1.63 | 42 | 1.28 |
28.2 | 10 | 2.82 | 27 | 1.04 |
34.2 | 12 | 2.85 | 32 | 1.06 |
44.2 | 21 | 2.10 | 38 | 1.16 |
57 | 17 | 3.35 | 46 | 1.23 |
27.1 | 12 | 2.25 | 22 | 1.23 |
16.2 | 12 | 1.35 | 16 | 1.01 |
27 | 18 | 1.50 | 11 | 2.45 |
と巨人にきてから三振率が倍以上に上がっています。
また、四球率に関しては、年々数字が悪化してきており2イニング以内に1つ以上の四球を出す計算になりますので、絶対的な制球力があるわけではないのかもしれません。
K/BBで鍵谷選手の制球力をチェック
四球率だけでなく、制球力を見る場合に使えるもうひとつのセイバーメトリックとして「K/BB」がありますが、入団後のK/BBを見てみると、
K/BB | ||
2019 | 巨人 | 0.61 |
2019 | 日本ハム | 1.33 |
2018 | 日本ハム | 1.83 |
2017 | 日本ハム | 2.71 |
2016 | 日本ハム | 1.81 |
2015 | 日本ハム | 2.67 |
2014 | 日本ハム | 2.70 |
2013 | 日本ハム | 1.27 |
先ほどの四球率と同じように3.50以上が優秀なピッチャーと言われるラインと言われる事を考えると、鍵谷選手は「かなり制球力が悪い部類」になります。
FIPで運に左右されない防御率をチェック
直球で押し込むパワーピッチャーの場合に多く見られる傾向ですが、巨人移籍後の防御率は改善されていますので、運的な要素を取り除くために「FIP」を使ってデータを分析してみたところ、
年度 | 所属球団 | 防御率 | FIP |
2013 | 北海道日本ハム | 3.33 | 4.42 |
2014 | 北海道日本ハム | 2.20 | 4.31 |
2015 | 北海道日本ハム | 4.67 | 3.52 |
2016 | 北海道日本ハム | 4.23 | 3.63 |
2017 | 北海道日本ハム | 2.53 | 3.77 |
2018 | 北海道日本ハム | 4.28 | 3.89 |
2019 | 北海道日本ハム | 5.94 | 3.18 |
2019 | 読 売 | 3.00 | 5.90 |
2019年だけ見ても、面白いのが日本ハムでは防御率が悪化していますが、FIPは3点台前半。
つまり、不運な面もあって防御率が悪い可能性があるのですが、逆に巨人では防御率が改善されていますが、FIPは悪化・・つまり守備に助けられている傾向はあるのかも知れませんね。
RSAAやWHIPをチェックすると得点シーンが予想できる
さらに、RSAAとWHIPを見ると、
被打率 | RSAA | WHIP | ||
2013 | 日本ハム | .212 | 2.66 | 1.37 |
2014 | 日本ハム | .243 | 3.64 | 1.22 |
2015 | 日本ハム | .324 | -7.75 | 1.64 |
2016 | 日本ハム | .230 | -3.03 | 1.3 |
2017 | 日本ハム | .170 | 2.48 | 0.88 |
2018 | 日本ハム | .297 | -1.22 | 1.65 |
2019 | 日本ハム | .226 | 1.81 | 1.44 |
2019 | 巨人 | .254 | -3.03 | 1.68 |
日ハムの時よりも、データは悪化しているのが顕著に分かりますので、一概に防御率だけでは鍵谷選手の評価をするのは難しいと言えるのでは無いでしょうか。
鍵谷陽平選手の投球割合と球種
次に、鍵谷選手の投球割合や球種ですが、
投球割合 | 被打率 | 被四死 | 奪三振 | 空振率 | 見逃率 | |
ストレート | 56.97% | .224 | 18 | 14 | 9.03% | 12.35% |
フォーク | 23.41% | .239 | 3 | 8 | 15.61% | 6.36% |
スライダー | 17.19% | .273 | 4 | 5 | 10.24% | 20.47% |
カーブ | 0.81% | 1.000 | 0 | 0 | 0.00% | 16.67% |
カットボール | 1.22% | .000 | 1 | 0 | 11.11% | 44.44% |
軸となるのは、ストレートとフォークボールで合わせて80%近くになります。
ただ気になるのが、「ストレートの空振り率が低い事」で、最速150キロ近いといっても、体感的にはあまり速いと感じさせられていない可能性があるのでは??と思いました。
また、フォークボールの使い方については、追い込む前にフォークボールを多投しストライクゾーンに投げ込む事も多く、最後仕留めにいったストレートが甘く入り痛打・・
というケースもあるのでは??とデータを見たり、投球チャートを分析すると想像できます。
得点圏被打率を見ると頼りになる存在?
得点圏での被打率を調べてみると、
打率 | 四球 | 三振 | 出塁率 | 長打率 | OPS | |
通算 | .204 | 8 | 12 | .300 | .347 | .647 |
ビハインド時 | .172 | 5 | 11 | .286 | .276 | .562 |
同点時 | .000 | 1 | 0 | .167 | .000 | .167 |
リード時 | .313 | 2 | 1 | .368 | .563 | .931 |
ビハインドの試合で投げる事も多いですが、かなり被打率が低く、ピンチの場面を凌いでいる事が分かります。
一方でリードしている場面で登板すると、得点圏にランナーを出したら高確率で長打を打たれているので、勝ちパターンとして起用するのは難しいピッチャーかもしれません。
データだけを見ると、ビハインドの時に登板し6回、7回あたりで「ゲームを立て直す役割」をするのが鍵谷選手の起用なのかな??という印象です。
鍵谷陽平選手の年俸と背番号の推移
次に、鍵谷選手の年俸と背番号ですが、
年俸(推定) | 背番号 | |
2020年 | 4500万円 | 30 |
2019年 | 4300万円 | 32 |
2019年 | 4300万円 | 30 |
2018年 | 5000万円 | 30 |
2017年 | 2800万円 | 30 |
2016年 | 2200万円 | 30 |
2015年 | 1700万円 | 30 |
2014年 | 1600万円 | 30 |
2013年 | 900万円 | 30 |
巨人にトレードで入団した際には、宇佐見真吾選手が付けていた32番をそのまま付けていますが、日本ハム時代の「30」には愛着もあって、2020年からは宮國選手に代わって30番を付ける事になります。
年俸も、マックス5000万まで上がっていますが、ユーティリティな使い方という事を考えると、これからのノビシロは薄いかもしれません。
それでも、2017年には日本ハムで60試合登板を果たし、結果を残した事で勝ちパターンの試合でも起用される事も多く、同点時の登板は
- 増井浩俊 50試合
- 宮西尚生 42試合
- マーティン 36試合
に続く32試合に登板で信頼を勝ち取っていますので、巨人でも結果を残して同点でも安心して起用できるピッチャーになってほしいと願います。
以上、鍵谷陽平選手に関する情報のまとめになりますが、今後も追加で情報あれば入れていきますので、情報があれば頂ければ幸いです。
リリーフピッチャーで成長してほしいと願うのは?