今年は相当悔しいシーズンを送ったはずですが、2020年には完全復活で巨人の先発陣を引っ張って欲しい岩隈久志投手。
2018年オフに日本球界に電撃復帰も、2017年9月に手術した右肩の影響もありリハビリ生活に明け暮れた1年。
その中でも確かな手応えを感じたはずですし、大リーグマリナーズやWBCで培った経験は、若手投手にとっては、貴重な存在です。
そんな岩隈久志投手復活に向けて、今現在の状況や2020年に向けて期待するところなど、岩隈選手の全てをここで記録としてまとめていきます。
岩隈久志選手のプロフィールと成績
最初に岩隈選手のプロフィールから紹介ですが、
出身校 | 堀越高等学校 |
身長 | 190センチ |
体重 | 77キロ |
大阪近鉄バファローズのドラフト5位指名で、プロ入りしていますが、甲子園に出場した事がなく、ドラフト指名順位的にも、即戦力というわけでもありませんでした。
しかし、2000年の黒潮リーグでストレートが最速149キロ出たという事で、首脳陣の目に止まり、翌2001年には先発投手として活躍し、4勝をあげる結果を出しています。
ちなみに1999年のドラフト会議は、1位が延岡高校の宮本大輔投手、2位は静岡高校の高木康成投手と高校生が上位指名。
上位高校生の指名では、河内貴哉(広島)、正田樹(日本ハム)が甲子園を沸かせた投手として有名です。
また、プロ入り後に活躍した選手は、田中賢介、藤井秀悟、清水直行、高橋尚成、山口和男といった面々が揃っています。
今年で田中賢介選手が引退したため、今現在も同期で野球を続けているのは、正田選手が四国アイランドリーグ(独立リーグ)のみですから、岩隈選手が一線級で活躍している事は、本当に凄いことだと思います。
岩隈久志投手の主な成績
岩隈投手の主な投手の成績ですが
年度 | 所属球団 | 登板 | 勝利 | 敗北 | 勝率 | 投球回 | 四球 | 三振 | 防御率 |
2001 | 大阪近鉄 | 9 | 4 | 2 | .667 | 43 | 13 | 25 | 4.53 |
2002 | 大阪近鉄 | 23 | 8 | 7 | .533 | 141 | 42 | 131 | 3.69 |
2003 | 大阪近鉄 | 27 | 15 | 10 | .600 | 195 | 48 | 149 | 3.45 |
2004 | 大阪近鉄 | 21 | 15 | 2 | .882 | 158 | 30 | 123 | 3.01 |
2005 | 東北楽天 | 27 | 9 | 15 | .375 | 182 | 40 | 124 | 4.99 |
2006 | 東北楽天 | 6 | 1 | 2 | .333 | 38 | 12 | 16 | 3.72 |
2007 | 東北楽天 | 16 | 5 | 5 | .500 | 90 | 23 | 84 | 3.40 |
2008 | 東北楽天 | 28 | 21 | 4 | .840 | 201 | 36 | 159 | 1.87 |
2009 | 東北楽天 | 24 | 13 | 6 | .684 | 169 | 43 | 121 | 3.25 |
2010 | 東北楽天 | 28 | 10 | 9 | .526 | 201 | 36 | 153 | 2.82 |
2011 | 東北楽天 | 17 | 6 | 7 | .462 | 119 | 19 | 90 | 2.42 |
日本でプレーしていた時までのデータですが、2年目で一軍デビューし、中継ぎ経験を積んでから以降は、先発での起用がほとんどです。
毎年コンスタントに勝ち星を上げていますし、イニング数が稼げて、四球が少ないピッチャーなので、大崩れしない事が岩隈選手の大きなセールスポイントです。
メジャー移籍以降も
年度 | 所属球団 | 登板 | 勝利 | 敗北 | 勝率 | 投球回 | 四球 | 三振 | 防御率 |
2012 | マリナーズ | 30 | 9 | 5 | .466 | 125 | 43 | 101 | 3.16 |
2013 | マリナーズ | 33 | 14 | 6 | .606 | 219 | 42 | 185 | 2.66 |
2014 | マリナーズ | 28 | 15 | 9 | .857 | 179 | 21 | 154 | 3.52 |
2015 | マリナーズ | 20 | 9 | 5 | .700 | 129 | 21 | 111 | 3.54 |
2016 | マリナーズ | 33 | 16 | 12 | .848 | 199 | 46 | 147 | 4.12 |
2017 | マリナーズ | 6 | 0 | 2 | .000 | 31 | 12 | 16 | 4.35 |
2017年9月の手術前の影響もあって、2017年は成績が古いませんが、それまでの5年間は素晴らしい活躍で、日米通算170勝を誇ります。
岩隈久志投手の球種と投球割合
2017年は登板6、2018年、2019年の登板は無いため、最新のデータが2016年のものになりますが、その年の岩隈投手はマリナーズで16勝あげています。
この時の球種は、ストレート、ツーシーム、カットボール、スプリット、スライダー、カーブの6種類を操っていましたが、それぞれの球種に対しての主なセイバーメトリクスデータですが、
球種 | スイング割合 (Sw Rate) | 空振り割合 (Whf/Sw) | ゴロ割合 (GB/BIP) | ライナー割合 (LD/BIP) | フライ割合 (FB/BIP) | 平均球速(km/h) | 最高球速(km/h) | 投球割合(%) |
4シーム | 44% | 17% | 27% | 24% | 34% | 142 | 147 | 19 |
2シーム | 51% | 6% | 44% | 26% | 22% | 141 | 147 | 27 |
カットボール | 51% | 14% | 45% | 23% | 22% | 138 | 145 | 4 |
スプリット | 56% | 32% | 50% | 28% | 17% | 134 | 147 | 16 |
スライダー | 45% | 27% | 24% | 35% | 33% | 132 | 143 | 29 |
カーブ | 35% | 20% | 38% | 26% | 23% | 115 | 123 | 5 |
すべての球種に対して、平均球速はメジャー平均を大きく下回っていますが、勝ち星を積み重ねていけた最大の理由が「ゴロ率の高さ」と「球種の多さ」です。
投球割合の多くを占めるのが、
- ツーシーム
- スライダー
の2種類で、この二種類に次ぐボールがフォーシームとスプリットですが、4球種の割合はかなり高いため、「球種の絞り込みが難しい投手」です。
日本で21勝をあげた2011年も、ゴロ率は60%を超える数字をあげていたとも言われていますので、基本的には球威で押すタイプでは無いと言えるかもしれません。
ピッチトンネルを最大限に活かした投球スタイル
そして、球種の多さですが、どの球種もフォーシームと球速差が大きくないため、球種を見分けるのが難しいと思われ、特徴を活かす事が出来ています。
メジャーではフライボール革命でバッターの考え方が変わってきているように、ピッチャーも「ピッチトンネル」と呼ばれる考え方が浸透してきています。
ピッチトンネルとは、簡単に言えば、
「様々な球種を同じような軌道で投げる」
という事。
つまり、バッター近くまで球種の判別がつかない状況を作り出せば、バッターの優位性を奪う事が出来るので、打ち取れる確率は飛躍的に高まり、そこからホームプレート付近での変化量が大きければ、打者は「ボールが動いている」と感じやすくなります。
セ・リーグ最多勝投手と同じ成績も期待出来る?
このピッチトンネルを活かした投球スタイルを岩隈投手は怪我さえ治れば可能ですが、実はピッチトンネルを巧みに操るセ・リーグの野村祐輔投手のような成績を上げる事が出来る可能性があるのです!
これも、データで見つけてきたのですが、野村祐輔投手の投球割合と平均球速のデータですが、
球種 | 空振率 | 見逃率 | 平均球速 | 投球割合(%) |
シュート | 5.12% | 13.95% | 138 | 26.27% |
スライダー | 8.33% | 19.79% | 131 | 23.46% |
チェンジアップ | 16.75% | 9.57% | 130 | 12.77% |
カットボール | 3.44% | 15.27% | 138 | 16.00% |
ストレート | 3.76% | 25.35% | 139 | 13.01% |
カーブ | 10.22% | 16.79% | 113 | 8.37% |
比較すると、とても分かりやすいですが、球種の割合や球速差など、データが酷似していて、ピッチトンネルを上手く使った投球術で勝ち星をあげています。
球速は140キロにも満たない投球でも、結果を残せている事を考えると、岩隈投手も同じような投球術を見せてくれれば、十分に先発ローテーションで活躍する事が出来るのでは??と筆者は楽観的に見ています。
二軍復帰登板の動画を見ましたが、最速141キロで1イニング無失点の結果で終わっていますが、平均球速からすると135キロ前後と思われますので、身体がもう少し元気になってくれば、野村投手くらいの球速は出るのでは無いかな??と思っています。
岩隈久志投手の年俸と背番号推移
次に、岩隈投手の年俸と背番号の推移ですが、
年俸(推定) | 所属先 | 背番号 | |
2020年 | 2000万円 | 読売ジャイアンツ | 21 |
2019年 | 5000万円 | 読売ジャイアンツ | 21 |
2018年 | 100万ドル | マイナー契約 | |
2017年 | 1400万ドル | マリナーズ | 21 |
2016年 | 1100万ドル | マリナーズ | 21 |
2015年 | 700万ドル | マリナーズ | 21 |
2014年 | 650万ドル | マリナーズ | 21 |
2013年 | 650万ドル | マリナーズ | 21 |
2012年 | 150万ドル | マリナーズ | 21 |
2011年 | 3億円 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 21 |
2010年 | 3億円 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 21 |
2009年 | 3億円 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 21 |
2008年 | 1億1000万円 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 21 |
2007年 | 1億3500万円 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 21 |
2006年 | 1億8000万円 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 21 |
2005年 | 1億5000万円 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 21 |
2004年 | 6500万円 | 大阪近鉄バファローズ | 21 |
2003年 | 2500万円 | 大阪近鉄バファローズ | 21 |
2002年 | 1000万円 | 大阪近鉄バファローズ | 48 |
2001年 | 500万円 | 大阪近鉄バファローズ | 48 |
2000年 | 500万円 | 大阪近鉄バファローズ | 48 |
プロ入団後に「21」へ変更してからは、楽天、メジャー、巨人でも慣れ親しんだ21番を着用しています。
巨人復帰時は、楽天イーグルスとの争奪戦もありましたが、契約条件よりも原監督からのラブコールで巨人入りを決めたともインタビューで答えていますので、楽天は復帰条件として5000万円以上を提示した可能性はあると思います。
肩の手術をしているので、復帰できるかどうか分からない投手というところで、評価が難しかったかもしれませんが、少なくとも原監督の中には、「戦力である」という事は考えているのは間違いありません。
決して、コーチや若手育成のために獲得したわけではないので、岩隈投手の復帰を誰よりも待ち望んでいるのは、原監督なのかもしれませんね。
2020年の岩隈投手へ求めるのはローテーションの中心投手
年俸5000万で入団も、一軍登板なしで終わったため、2000万での契約更改となり、悔しいシーズンを過ごした岩隈投手ですが、契約更改の席では来季は開幕から戦力となる事を伝えているとの事です。
という事は、体調面ではかなり不安はなくなってきている?という事かなと思いますし、2020年は開幕からローテーションを回って欲しいと思います。
中途半端にローテーションの谷間を守って欲しいとか言えば、岩隈選手のような実績のある方に対して失礼だと思いますし、やる限りは年齢関係なく最高の結果を残して欲しいと願っています。
一年間、大きな怪我もなく、ローテーションを回れるようであれば、二桁勝利も夢ではないはずですし、今年の大竹寛選手のような復活を、ファンとしては期待せずにはいられませんので・・
是非とも、来年は最高のピッチングを見せて下さいね。
今後も、岩隈投手の最新情報等があれば、随時更新していきますので、何か情報があればコメントやTwitterを頂ければ幸いです。
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