2019年セ・リーグ最下位に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。オフには高津臣吾監督に監督が交代しました。
ドラフトでは超高校級の奥川恭伸選手を獲得、楽天イーグルスの元正捕手嶋基宏の獲得と、着々と補強が進んでいますが、肝心の4番ウラディミール・バレンティン選手の交渉が難航している可能性があります。
11月はじめにFA権を行使しなかったバレンティン選手ですが、実はヤクルトに残留する事を前提にしたFA権未行使ではなく、自由契約での他球団との交渉も視野に入れている可能性があるとの事で、移籍の可能性も囁かれています。
現在の報道では、移籍候補先として
- 読売ジャイアンツ
- 横浜DeNAベイスターズ
- 阪神タイガース
- 福岡ソフトバンクホークス
の4球団が噂されていますが、阪神タイガースについては新外国人の獲得候補リストが報道でも目にしますので、バレンティン獲得は無いかな??と思われますが、残り3球団は資金力も問題ないので、獲得に乗り出す可能性は大です。
争奪戦になると、条件面でヤクルトは不利になると思われるので、移籍の可能性が高いと思われますが、そもそもバレンティン選手は他球団からしても魅力的な選手なのでしょうか?
ここでは、バレンティン選手の過去の成績、年俸の推移、打撃や守備の様々なデータを出しながら、考察をしていきたいと思います。
バレンティン選手のプロフィールと成績
それでは最初にバレンティン選手のプロフィール紹介ですが、
出身 | オランダ |
身長 | 185センチ |
体重 | 100キロ |
日本のプロ野球前はマリナーズとレッズに所属、2007年9月にメジャー初昇格するも、2010年オフにマイナーリーグFAとなり、ヤクルトへ移籍となります。
バレンティン選手の主な成績
その後の日本での活躍はご存じの方も多いと思いますが、
- 打率最下位の本塁打王
- 規定打席未到達での本塁打王
- 日本プロ野球シーズン本塁打60本
といった記録も持っているバレンティン選手の日本での主な成績はこちらです。
年度 | 所属球団 | 試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 四球 | 死球 | 三振 | 打率 | 長打率 | 出塁率 |
2011 | 東京ヤクルト | 140 | 111 | 31 | 76 | 3 | 61 | 2 | 131 | .228 | .469 | .314 |
2012 | 東京ヤクルト | 106 | 96 | 31 | 81 | 1 | 64 | 3 | 92 | .272 | .572 | .386 |
2013 | 東京ヤクルト | 130 | 145 | 60 | 131 | 0 | 103 | 1 | 105 | .330 | .779 | .455 |
2014 | 東京ヤクルト | 112 | 110 | 31 | 69 | 2 | 75 | 2 | 95 | .301 | .587 | .419 |
2015 | 東京ヤクルト | 15 | 8 | 1 | 6 | 0 | 9 | 0 | 14 | .186 | .302 | .327 |
2016 | 東京ヤクルト | 132 | 123 | 31 | 96 | 0 | 72 | 3 | 116 | .269 | .516 | .369 |
2017 | 東京ヤクルト | 125 | 113 | 32 | 80 | 0 | 70 | 3 | 112 | .254 | .506 | .358 |
2018 | 東京ヤクルト | 142 | 138 | 38 | 131 | 1 | 85 | 0 | 121 | .268 | .533 | .370 |
2019 | 東京ヤクルト | 120 | 115 | 33 | 93 | 0 | 54 | 1 | 117 | .280 | .554 | .363 |
特筆スべきは、来日三年目のホームラン60本、長打率は驚異の.779を誇った2013年ですが、過去のタイトルは
- ホームラン王 2011年、2012年、2013年
- 最高出塁率 2013年、2014年
- 打点王 2018年
と6度のタイトルを獲得し、2020年で10年目を迎えるため、FA権を取得、外国人枠から外れてプレーする事が可能になります。
巨人戦とWBCなど国際試合でバレンティン選手のバッティングを見る事が多いですが、印象として強いのは
「とにかく、勝負強い」
という点です。
第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)においては、打率.615、4本塁打、12打点と圧倒的な数字を残していて、オランダ代表のメジャー選手もメジャー復帰に太鼓判を押したほどです。
引用 “3冠”の大暴れ 蘭バレンティンのMLB復帰に同僚が太鼓判「彼ならできる」より
余談ですが、バレンティン選手は
「メジャーでプレーするセカンドチャンスがあるといつも考えている」
とも語っていて、メジャー復帰も視野にはしていたようですが、来年で35歳を迎える事や守備力の低さから2020年の復帰は無いだろう・・と予測されます。
バレンティン選手の守備力はかなり低いの?
バレンティン選手ですが、圧倒的な打力に比べて、守備の方の評価はとても低いです・・
9年前の入団時は肩が強いという評価だったのが、加齢もあってか今では守備力には目をつぶっての起用という感じになっていますが、実際に守備に関するいくつかのデータを調べてみました。
守備率 | 刺殺 | 捕殺 | 失策 | 併殺 |
.957 | 132 | 2 | 6 | 0 |
規定打席に立った選手15人の外野手の中で守備率は一番下です。
次にUZR(アルティメット・ゾーン・レーティング)ですが、レフトの2019年上位5名は
1位 | 金子侑司 西武ライオンズ | 19.8 |
2位 | 島内俊明 楽天イーグルス | 9.2 |
3位 | 吉田正尚 オリックス・バファローズ | 2.1 |
4位 | Yグラシアル 福岡ソフトバンクホークス | 0.4 |
5位 | 角中勝也 千葉ロッテマリーンズ | -0.3 |
となっていますが、バレンティン選手はー12.4、筒香選手のー14.6よりはマシですが、お世辞にも守備能力が高い選手ではありません。
あともう一つ大きなポイントが「失策(エラー)数」ですが、バレンティン選手は2019年は「6」と一番失策の多い外野手という評価です。
しかも、エラーが肝心なところでやってしまうという事なので、守備が下手という印象がファンからは離れないのかもしれません。
バレンティン選手が打ち続ければ獲得の価値あり
こうやって見てわかる通り、バレンティン選手は完全に「バッティング頼み」の選手で、守備は目を瞑らないといけないところがあります。
とは言え、巨人には第二次原政権の時にヤクルトから移籍してきたアレックス・ラミレス選手を起用していた事があります。
あの時もポジションはレフトだったのですが、守備に関しては本当に厳しい評価を受けていましたし、調べてみると2012年のラミレス選手でUZRが-39.8・・・
バレンティンが可愛く見えるほどの守備力しかありませんでしたが、ファンからも親しまれ4番を任されていましたので、巨人に移籍してきた場合は、我慢の起用が出来るかも知れません。
バレンティン選手の年俸推移
次にバレンティン選手の年俸の推移を見ていきましょう。
年度 | 年俸 |
2019年 | 4億4100万円 |
2018年 | 3億3600万円 |
2017年 | 3億3000万円 |
2016年 | 3億6000万円 |
2015年 | 2億5000万円 |
2014年 | 2億円 |
2013年 | 8000万円 |
2012年 | 7500万円 |
2011年 | 6000万円 |
今季の年俸は4億円を超えてきていますが、この金額はヤクルトスワローズでは高額だと思いますが、巨人やソフトバンクホークスだと、その上の選手は在籍していますので・・
自由契約となり、移籍交渉をする事になれば、年俸の釣り上げも予測されますので、5億円前後のお金が必要になってくるのでは??と個人的には想像します。
複数年契約はリスク?
今年35歳を迎えるバレンティン選手、日本球界で活躍できるのもあと数年が限界だと思います。
今から長期の複数契約は難しいですが、長くても2年~3年の間での契約となるか、もしくは単年度契約となるか?同じくFA権を取得したアレックス・ラミレス選手の例で考察したいと思います。
アレックス・ラミレス選手は、40歳で引退していますが
- 39歳 BCリーグ群馬でプレー
- 38歳 横浜DeNAを戦力外、.185、ホームラン2本と結果でず
- 37歳 横浜DeNAで.300、ホームラン19本と活躍
と、37歳までは何とか20本近くのホームランを放っていますが、一気に成績が降下しています。
この事を考えると、35歳からの3年契約はかなりリスクが高い、そのため2年契約まででまとまるのでは無いか??と筆者的には考察します。
バレンティンはFAでなく自由契約の方が美味しいの?
今回、バレンティン選手はFA権を取得していたので、FA宣言すれば他球団との交渉も行えたのですが、「あえて」FA宣言しなかったのでは?と見られています。
FA宣言をしなければ、保有者名簿にバレンティン選手の名前は残りますので、11月中の契約更改の交渉はヤクルトのみで行う事になります。
しかし、FA権を行使すると、FA宣言した選手の翌シーズンの年俸は「現状維持が上限(減額は無制限)」となりますので、年俸が上がらないため、バレンティン側は敬遠したのでは無いか?
と予測されます。
今回、ヤクルトが保有者名簿から名前を外した事で、自由契約に進む事になりますが、ヤクルトを含め他球団はバレンティン側と自由に契約交渉を行う事ができますので、年俸はさらに跳ね上がる可能性があります。
ちなみに、外国人FAの場合は、人的補償は発生しません。
ヤクルト残留?移籍するならどのチーム?
現在のヤクルトスワローズとの交渉状況は報道されていませんが、一般的な外国人保有選手との交渉は12/1までに行われていきます。
これは、選手側が契約交渉する意思を有しなければ、保留名簿には載せられないという暗黙のルールがあるため、バレンティン選手の動向も、保有名簿に載り交渉を継続する意思があるのか、自由契約にする事になるのかが分かってきます。
冒頭でも伝えたとおり、移籍先を探すとなると、獲得意思を示しそうな球団は
- 読売ジャイアンツ
- 横浜DeNAベイスターズ
- 福岡ソフトバンクホークス
の3球団。
- 巨人については、ゲレーロに代わる右の強打者獲得、レフトとポジションが被るので補強ポイントにマッチ。
- 横浜DeNAについては、筒香嘉智選手がポスティングによる大リーグ移籍があるため、レフトのポジションが空くのと強打者獲得が必要になるので、補強ポイントにマッチ。
- ソフトバンクホークスについては、日本人扱いとなるため外国人選手枠を使わずに右の強打者を獲得できるのはあり?
と、それぞれ獲得が必要な球団であると思われます。
この中で、特に巨人に関してはゲレーロ選手を退団させてまで、違う外国人選手の補強に走りたいと考えたところを見れば、未知数の外国人選手よりも、日本で十分な実績があるバレンティン選手が是が非でも欲しいところでは無いかと予想出来ます。
今の所、バレンティンは日本でも在京思考が強いとも言っていて、ヤクルト、巨人、DeNAは住み慣れた環境という事もあり、候補には上がりやすいと思います。
巨人に移籍なら5番を打つ事になりそう
仮に巨人に移籍するとなれば、若き大砲岡本和真選手が4番を打てるので、その後を打つ5番を任される可能性が高いと思われます。
予想オーダーとしては
- 吉川尚輝 セカンド(左)
- 坂本勇人 ショート(右)
- 丸佳浩 センター(左)
- 岡本和真 サード(右)
- バレンティン レフト(右)
- ジェラルドパーラ ファースト(左)
- 亀井善行 ライト(左)か陽岱鋼(右)
- 小林誠司 キャッチャー(右)か大城卓三(左)
- ピッチャー
という最強打線が組めるので、かなり面白い事になりそうです。
※2019年11月20日追記、パーラ選手と合意しましたので、6番に入れました。
横浜DeNAは中軸が重たくなる可能性が??
次に、横浜DeNA入りした場合の予想オーダーですが、筒香選手の代わりに4番を任せるのが有力かと思います。
- 神里和毅 センター(左)
- ソト セカンド(右)
- タイラー・オースティン ライト(左)
- バレンティン レフト(右)
- ロペス ファースト(右)
- 宮崎敏郎 サード(右)
- 大和 ショート(右)
- 伊藤光 キャッチャー(右)
- ピッチャー
と外国人が中軸を担う、破壊力抜群のオーダーの可能性がありますが・・・機動力がなくて、逆にバレンティン補強はオースティン獲得で無いのかも??とも感じました。
福岡ソフトバンクホークスそこまでする必要があるのか??汗
次に、獲得が噂される福岡ソフトバンクホークスの打線ですが、バレンティン選手必要??と思われるのですが、一応予想してみたのですが、
- 牧原大成 セカンド(左)
- 今宮健太 ショート(右)
- 柳田悠岐 センター(左)
- バレンティン DH(右)
- アルフレド・デスパイネ レフト(右)
- ジュリスベル・グラシアル ファースト(右)
- 上林誠知 ライト(左)
- 松田宣浩 サード(右)
- 甲斐拓也 キャッチャー(右)
この他に、明石健志、内川聖一、川島慶三、中村晃、長谷川勇也と巧打者も多いため、様々なパターンが予測されます。
福田周平選手がFA移籍したくなる気持ちも、分からないでも無いですね・・
以上、ヤクルトスワローズから移籍が噂される右の大砲ウラディミール・バレンティン選手に関する情報のまとめでした。
まだヤクルトスワローズとの交渉途中なので、不確実な事が多いですが、移籍の可能性が出てきた場合は巨人が有力な気もします。
バレンティン選手がソフトバンクホークスへの移籍が決定!2年5億円、背番号は「4」です。
その巨人もFA戦略では、美馬投手、鈴木大地選手と断られてきていますので、参戦するなら是が非でも獲得したいところでしょうし、条件は上げてくると予想されますので、他球団よりも良い条件になる可能性も高そうです。
今後もバレンティン選手の動向を見守りつつ、新情報が入れば、こちらの記事を更新したいと思います。
巨人の新外国人獲得が決定!(2020年11月20日追記)