現在、プエルトリコのウィンターリーグに武者修行に出ている高田萌生選手。
2018年二軍成績が、11勝2敗、防御率2.69、勝率.846で、最多勝、最優秀防御率、最高勝率の三冠を獲得した期待の若手選手ですが、2019年は一軍、二軍ともに不完全燃焼。
2020年こそ才能を開花させ、巨人の近未来のエースへ名乗りをあげてほしいところですが、高田投手が一軍で活躍するために必要な事は何でしょうか?
今回は、高田選手の過去のデータや成績を参考にして、課題や期待をまとめていこうと思います。
高田萌生投手のプロフィール
最初に高田選手の紹介からですが、
出身校 | 創志学園高等学校 |
身長 | 178センチ |
体重 | 80キロ |
高校時代は1年からベンチ入り、3年夏には甲子園出場で最速152キロのストレートを投げていますが、初戦の盛岡大付属に5回2/3を10失点と崩され初戦で敗退しています。
松坂大輔に似たフォームから、最速154キロのストレートと、二種類のスライダー、カーブ、フォークを操りますが、ストレートとスライダーのコンビネーションという点も、松坂選手に似た配球で意識している事が分かりますね。
ゆったりとしたワインドアップ、しなやかな腕の振りから力強いストレートを投げられています。
高田萌生選手の主な投手成績
高田選手ですが、1軍では2018年1試合、2019年は2試合に登板、初勝利をあげる事が出来ていませんが、プエルトリコのウィンターリーグへ派遣されていて、球団からの期待の高さを感じます。
ここでは、二軍での主な投手成績を紹介しますが、
防御率 | 試合数 | 勝利 | 敗北 | セーブ | 勝率 | 投球回 | 本塁打 | 被本塁打率 | 与四球 | 与四球率 | 奪三振 | 奪三振率 | WHIP | |
2019 | 2.99 | 20 | 6 | 6 | 0 | .500 | 108.1 | 4 | 3.70% | 20 | 0.19 | 87 | 0.80 | 1.28 |
2018 | 2.69 | 21 | 11 | 2 | 1 | .846 | 113.2 | 2 | 1.77% | 38 | 0.34 | 85 | 0.75 | 1.21 |
2017 | 5.4 | 2 | 0 | 1 | 0 | .000 | 5 | 0 | 0.00% | 2 | 0.40 | 2 | 0.40 | 1.2 |
二軍戦とは言え、「被本塁打率の低さ」は高田投手の特徴が出ているのでは??という事で、GO/AOを調べてみたところ、1軍のみの結果しかありませんが、
2019年 | 0.50 |
2018年 | 0.67 |
となっていました。
GO/AOは、1.00を基準として、1.00以上だとゴロを打たせる確率が高く、以下だとフライを打たせる確率が高くなります。
本塁打をよく打たれる投手の特徴として、フライ率が高い事がありますが、高田投手の場合は一軍の試合数は3試合とサンプルが少ないですが、相関性は見られないです。
できれば、イニング数が多いファームでの結果を見たいのですが、残念です・・
(もし、分かる方がいらっしゃれば、ご教示下さいませ)
次に確認したいのが、K/BBですが、
K/BB | |
2019 | 4.35 |
2018 | 2.24 |
2017 | 1.00 |
年々改善されていき、平均3.50以上が「制球力の高いピッチャー」と言われますが、ファームでは制球力に定評があるように見えます。
一方で、サンプルが少ないですが1軍のK/BBを調べると
K/BB | |
2019 | 3.50 |
2018 | 0.00 |
2017 |
2018年の1試合に登板した試合では三振を奪えなかったですが、2019年には2試合で7奪三振と高い奪三振率を見せています。
もう一つ加えたいのが、フライ率が高いという事は、「空振りを奪える可能性が高い」、「ストレートの回転数が高い」と言われます。
BaseballLABのサイトでは、ストレートを5種類に分けていますが、
→ コラム 野球×統計は最強のバッテリーであるより引用
この中でフライ率の高いピッチャーは、いわゆる「ホップ方向の変化量が多い」ので、この図でいえば
- ホップ型
- まっスラ型
- 平均
にあたると思われますが、高田選手は動画で見る限りホップ型でないのは明白なので、スライダー投手という点からもまっスラ型か平均の可能性が高いと予想します。
高田選手の場合は、フライ率が高いわりに被ホームランが少ないと結果の相関性が見えにくいのですが、ストレートの性質上、ある程度のイニング数を投げ出すと被ホームランが増える可能性があるという事は念頭に置いた方が良いかもしれません。
WHIPを見ると、毎回ランナーを背負うイメージ
次に、WHIPですが1イニングあたりのランナーを背負う数を数値化したものですが、3年通して1.2以上となっていますので、毎回ランナーを1人背負う可能性があります。
ヒットもしくは四死球などでランナーを出していますが、今年最多勝を獲得した山口俊選手の場合は1.16です。
当然の事ながらランナーを出さなければピンチもなければ、ホームランを打たれても最少得点で切り抜けられる可能性がありますので、勝率が上がってきます。
WHIPを1.20以下にする事で、無駄なランナーを出さないようになれば、高田選手の良さが出てくるかもしれませんね。
P/IPが高いので、長いイニング数を投げられない?
ファームでは、2018年に113回、2019年に108回と最多イニングを投げていて、「イニングイーター」になれる可能性を示していますが、一軍のP/IPをみると、長いイニングを投げられない可能性がある事が分かりました。
P/IPですが、「一イニングあたりの投球数」を表した数字なのですが、これも1軍のみの数字しかないのでサンプルは少ないですが、
2019年 | 17.4球 |
2018年 | 31.5球 |
と球数が多いのがデータ上から分かりました。
ちなみに2018年の菅野投手のP/IPは15.5球、QS達成率は70.4%、2019年の山口俊投手のP/IPは16.5球、QS達成率は69.2%と長いイニングを投げるにはP/IPを1.0以上減らしたいところです。
PFRから見る高田投手のピッチングスタイル
次に、Power/Finesse Ratio(PFR)と呼ばれる数字を紹介したいのですが、PFRの計算は、(奪三振+与四球)÷投球回数で算出出来ます。
この数字で分かる事は、「本格派ピッチャー」か「軟投派ピッチャー」かが分かり、先発投手だと1.02を平均とし、高ければ高いほど本格派、低いほど軟投派という参考数値になります。
ちなみに、PFRは抑えの投手だと1.28を平均とし、直球で押すスタイルのピッチャーだと2.00近い数字になる事もあります。
高田投手のPFRですが、
2019年 | 0.99 |
2018年 | 1.08 |
2017年 | 0.80 |
とやや軟投派ピッチャーよりと見られますが、最速154キロのストレートも平均球速は145キロ前後とやや物足りない印象なので、平均球速のアップが必要になりそうです。
高田萌生投手の投球割合と球種
ここまでデータから、高田投手のピッチングスタイルや特徴を見てきましたが、ここでは高田投手の投球割合と球種に関するデータを紹介します。
球種 | 投球割合 | 被打率 | 被四死 | 奪三振 | 空振率 | 見逃率 |
カットボール | 17.75% | .600 | 0 | 2 | 13.33% | 13.33% |
ストレート | 49.41% | .333 | 1 | 1 | 4.76% | 21.43% |
カーブ | 11.76% | .500 | 0 | 1 | 10.00% | 30.00% |
フォーク | 10.59% | .000 | 0 | 1 | 22.22% | 11.11% |
スライダー | 9.41% | .000 | 0 | 2 | 25.00% | 25.00% |
高校時代のスカウト評では、ストレートと2種類のスライダーのコンビネーションで抑えるスタイルと紹介されていました。
カットボールを小さいスライダーと考え、ストレート、スライダーの3球種を合計すると、76.57%の投球割合となります。
この中で注目がスライダーの空振り率と見逃し率が共に25.00%と高いという点です。
OBの堀内恒夫氏も、自身のブログで高田投手の事に触れた際に
「高田萌生のスライダー、これに少し希望が持てたかな」
と書いているように、プロでも通用する球種であるのは間違いありません。
また、2019年オフには松坂大輔選手からアドバイスをもらい、松坂流スライダーの習得にも意欲を見せている事をコメントしていました。
この事からもスライダーをウィニングショットの一つとなっている事は明らかですし、大きく曲げすぎずに精度を上げる事に取り組んでいましたので、方向性としては間違いないと、データからも感じました。
あともう一つ気になるのが「ストレートの空振り率の低さ」です。
本格派のピッチャーになっていくには、ストレートで空振りを取れる球威になってほしいので、10%以上は出して欲しいところです。
残りの20%近くがカーブとフォークとなりますが、カーブの被打率が高く、空振りを奪えていないのがカウントを整える際に使えていない事で、ピッチングの幅を狭めている印象です。
逆にフォークボールの空振り率が20%を超えているので、スライダーと並んでウィニングショットとして使える球種になっていく可能性を感じます。
高田萌生選手の年俸と背番号の推移
続いて、高田選手の入団後の年俸と背番号ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2020年 | 710万円 | 53 |
2019年 | 680万円 | 53 |
2018年 | 520万円 | 53 |
2017年 | 500万円 | 53 |
入団以降、毎年年俸は少しずつ上がってはいますが、1.5軍レベルの状態ですので、背番号は期待を込めての変更などありません。
53から若い番号へ変更されるかどうかは、やはり一軍で初勝利をあげ、また二桁勝利をあげていく事が求められるはずです。
特に2021年には大学へ進学した同期たちが大卒プロとして入団してくる事になりますので、その前に同世代の中で一歩抜け出した存在となりたいところです。
ちなみに、2016年ドラフトの出世頭ですが、
- オリックス・バファローズの山本由伸投手
- 中日ドラゴンズの藤嶋健人
- 西武ライオンズの今井達也
らが、高校生からドラフト指名で結果を残しています。
特に山本由伸投手は、リリーフでも先発でも日本を代表するレベルに成長した下位指名投手ですから、高田投手も活躍を刺激にしてもらって、2020年こそ才能を開花させてほしいですね!
この三人以外にも、高校生で期待される選手は
高橋昂也、坂倉将吾、アドゥワ誠(広島カープ)、堀瑞輝(日本ハム)、京山将弥(横浜DeNA)、才木浩人、浜地真澄(阪神タイガース)、藤平尚真(楽天イーグルス)、大江竜聖(読売ジャイアンツ)、九鬼隆平、古谷優人(ソフトバンクホークス)
と沢山いますので、期待の世代ですね。
高田萌生投手、2020年こそブレイクするか??
現在、高田投手は、古川侑利投手と共にプエルトリコのウィンターリーグに参戦し、先発にリリーフにとチームの勝利のために奮闘中です。
台湾のウィンターリーグと違って、プエルトリコのウィンターリーグは、大リーガーやトリプルA、ダブルAクラスの選手も出場してくるため、武者修行には良いところで、何より結果を伴わない場合は出場機会も与えられない厳しいリーグです。
そんな厳しい環境の中でも高田選手は、
登板数 | 勝利数 | 敗北 | 防御率 | 投球回 | 本塁打 | 被本塁打率 | 与四球 | 与四球率 | 奪三振 | 奪三振率 | WHIP | B/KK | |
プエルトリコ ウィンターリーグ | 7 | 1 | 2 | 1.99 | 31.2 | 1 | 3.21% | 14 | 0.45 | 20 | 0.64 | 1.17 | 1.43 |
と奮闘中です。
パワーヒッターの多い中で、防御率と被本塁打率を見ると、大怪我をしない投球が出来ていそうですし、もしフライ率が高い場合でも球威で押し込む事が出来ている可能性もあります。
K/BBは1.42と日本球界で投げているほどの結果をあげられていませんが、四球を出しながらも要所をしっかりと抑えています。
現地のフェリシアーノ監督からは、
「初回をよく1点でしのいでくれた。その後、迷っている様子も見えたが、四回、五回は吹っ切れたピッチングに戻っていた。グレートジョブだ。あれこそ俺の知っているタカタだ」
とコメントされているように、信頼を勝ち取っているようですから、評価は上がっていると思いますし、帯同している杉内コーチからも
三振かヒットか、くらいの大胆なピッチングを
と求められているようですから、結果を恐れずに思い切って向かっていくスタイルになってくれるかもしれませんね。
ちなみにウィンターリーグでは、ワインドアップ投法でなくセットから投げています。
今さらかもしれないけど、高田くんワインドアップやめたんだね🙄
松坂に憧れてワインドアップのフォーム真似してたエピソードあった気が
どんどんワインドアップ少なくなるな😑 https://t.co/YIDEt7qab2
— 永久に不滅 (@eikyuunihumetu) 2019年12月19日
制球力アップを意識してだと思いますが、個人的には松坂大輔選手のように振りかぶって静止する瞬間が、ワインドアップ投法を見ていて好きなので、高田投手にも続けて欲しいですが・・
課題の制球力がこれで改善していくのであれば、ノーワインドアップでも仕方ないところでしょうか。
今は、とにかく課題の制球力アップを先決させていると思いますが、思い切りの良さだけは失わないように、慎重な中でも大胆なピッチングで、若者らしさを見せてくれる事を期待したいと思います。
以上、異国の地で奮闘中の高田萌生選手の課題や期待をまとめてきましたが、常に最新情報を更新したいと思いますので、何か情報が出ればTwitterやコメントを頂ければ幸いです。
高田選手と共に異国の地で奮闘中!また同期で結果を求めたい選手