ここ数年登板機会が減っていて、中継ぎ構想から干されている感もある田原誠次選手。
今年で30歳を迎えたサイドスロー右腕ですが、巨人にはサイドスローのピッチャーはいなかったので、貴重な存在だったと思うのですが、若手投手では鍬原拓也投手や育成選手の田中優大投手が出てきたため、ライバルは増えています。
入団8年と中堅選手を迎え、2016年には「保留することで多くの人にひどい環境で僕らは野球をやっているんだよと知って欲しかった。保留がきっかけになって環境改善につながれば」と、球団にブルペンの改善を要求した事もありましたが・・
まだまだ、実力が落ちているわけではないと思いますので、2020年の奮起を期待して、ここでは過去の成績や年俸の推移を見ながら課題や活躍の鍵を考察していきたいと思います。
田原誠次選手のプロフィールと成績
最初に田原投手のプロフィールですが、
出身校 | 聖心ウルスラ学園高→三菱自動車倉敷オーシャンズ |
身長 | 181センチ |
体重 | 85キロ |
プロフィールを見て知ったのですが、戸郷翔征と同じ高校出身だったんですね!
甲子園の出場は叶わず、社会人野球に進み、4年間社会人で腕を磨いた結果、山下スカウトの眼力にかない2011年ドラフト7位で指名を受けてプロ入りしています。
2012年からは、一軍で中継ぎメインで起用され、毎年コンスタントに登板数を重ねていますが、2013年は腰痛を発症したため、7試合の登板にとどまっています。
田原誠次選手の主な投手成績
田原選手の主な投手成績ですが、
年度 | 登板 | 勝利 | 敗北 | セーブ | HP | 勝率 | 投球回 | 四球 | 三振 | 防御率 |
2012 | 32 | 2 | 0 | 0 | 9 | 1.000 | 30.1 | 8 | 23 | 3.26 |
2013 | 7 | 0 | 0 | 0 | 0 | .000 | 9 | 4 | 8 | 6.00 |
2014 | 20 | 0 | 1 | 0 | 3 | .000 | 18.2 | 3 | 15 | 2.89 |
2015 | 18 | 1 | 0 | 0 | 5 | 1.000 | 18 | 9 | 18 | 10.00 |
2016 | 64 | 4 | 3 | 0 | 18 | .571 | 54.2 | 22 | 29 | 3.46 |
2017 | 27 | 1 | 1 | 0 | 2 | .500 | 28 | 11 | 17 | 2.89 |
2018 | 29 | 2 | 0 | 0 | 3 | 1.000 | 31.2 | 8 | 19 | 2.56 |
2019 | 25 | 2 | 2 | 0 | 7 | .500 | 16.2 | 7 | 9 | 4.32 |
8年間で222試合に登板、ほとんどが中継ぎという事もあって、毎日のように肩を作っていましたし、筆者も毎日使われている田原投手を見て「故障には気をつけてほしいな」という気持ちでしたが・・
2016年の64試合をキャリア敗に、年々登板機会が減ってきていますので、勤続疲労が出ているのか??心配です。
田原誠次投手のセイバーメトリクスから見た貢献は?
次に、田原選手のセイバーメトリクスから見た成績ですが、キャリアハイの2016年以降の数字を調べてみたところ
被打率 | 被出塁率 | FIP | DIPS | RSAA | WHIP | 得点圏被打率 | 得点圏被出塁率 | 得点圏被長打率 | 得点圏被OPS | 右被打率 | 左被打率 | |
2016年 | .279 | .357 | 4.09 | 4.09 | 2.57 | 1.43 | .266 | .392 | .375 | .767 | .248 | .343 |
2017年 | .267 | .347 | 4.83 | 4.83 | 3.56 | 1.39 | .188 | .278 | .313 | .590 | .242 | .355 |
2018年 | .235 | .282 | 4.23 | 4.23 | 6.81 | 1.11 | .258 | .294 | .355 | .649 | ||
2019年 | .241 | .309 | 3.9 | 3.9 | -0.1 | 1.26 | .250 | .318 | .375 | .693 | .227 | .308 |
2016年、2017年、2018年と防御率は3点台以下と安定した結果を残している事もあり、RSAAもプラス、特に2018年の6.81は数値的にはリリーフでは及第点と言えます。
また、被打率や得点圏被打率もリリーフとして及第点の数字ですし、田原投手は中継ぎとして結果を出している方だと感じました。
田原誠次投手の球種と投球割合
次に、別の視点からもう少し田原選手のピッチングスタイルを見ていきます。
まず、田原投手の球種ですが、ストレート、カットボール、カーブ、シンカーの4種類ですが、投球割合や球種別のデータは以下の通りです。
投球割合 | 被打率 | 空振率 | 見逃率 | |
ストレート | 42.86% | .346 | 5.00% | 10.83% |
カットボール | 28.21% | .235 | 11.39% | 20.25% |
シンカー | 13.93% | .143 | 15.38% | 7.69% |
カーブ | 15.00% | .000 | 11.90% | 16.67% |
勝負球となるシンカーの被打率が低く、空振り率も高いので、使える球種になっていますが、ストレートの被打率が.350近くあり、空振り率も低く、勝負にいく前にやられている可能性があるかも?
と思い、カウント別の被打率を調べてみたところ、
被打率 | 被安打数 | |
カウント1-1 | .273 | 3 |
カウント1-2 | .286 | 2 |
カウント2-2 | .286 | 2 |
と平行カウントや不利なカウントで痛打されているケースが多いですので、追い込むまでのストレートの使い方に工夫が必要だと言えそうです。
田原誠次投手の生命線はゴロ率の高さ
ストレートの最速は140キロ満たない中、球種も多いわけではありませんので、低めに制球してゴロを多く打たせていくのが、田原選手の持ち味になります。
そこで、GO/AOと呼ばれる「ゴロで凡退する比率が高いタイプなのか、打ち上げて凡退する比率が高いタイプなのか」を見る指標を調べてみたところ
GO/AO | |
2016年 | 1.67 |
2017年 | 0.82 |
2018年 | 0.89 |
2019年 | 0.76 |
と結果が出ていました。
GO/AOは、1を上回ればゴロが多く、1を下回ればフライが多いという数字ですが、田原投手のキャリアハイである2016年は圧倒的に「ゴロを打たせてアウトを取るタイプ」でしたが・・・
2017年以降は、フライを打たれる事が増えてきています。
その結果、ホームラン数が
- 2016年 3本
- 2017年 4本
- 2018年 4本
- 2019年 1本
と登板数が減っているにも関わらず、被本塁打率が上がっている事になりますので、首脳陣の判断としては「危ない」と見ていたのかもしれません。
田原誠次投手が干されたって本当なの??
大きな怪我は2013年の腰痛以外はありませんが、2017年からの3年間は30試合にも満たない登板数です。
勤続疲労でなければ、2016年オフの契約更改の席で球団に楯突いた事が響いているのか??と勘ぐりたくなるところですが、田原選手の発言は筆者的には「間違っていない」と思っています。
ブルペンピッチャーは、先発と違って中6日の調整期間があるわけではなく、ほぼ毎日のように肩を作って、待機しています。
また、リリーフエースにあたるセットアッパーや抑えのように、役割が明確でないリリーフは、いつ自分の役割が回ってくるかが分からなければ、コーチからの指示や試合の流れを見ながら作らないといけないので、毎日肩を作るだけで数十球を投げる事になります。
中継ぎの評価が、年俸に反映しにくいところもあって、契約更改の席で球団に現状を伝えるという事は、一般企業で言えば「職場改善を要求する」わけですから、問題はないと思います。
データからもお分かりいただける通り、干されたわけでなく、勤続疲労か不調かで、以前のようにゴロを打たせる確率が低くなった事で、首脳陣の印象としては「打たれている」とか「打たれそう」と思われている可能性はあるかもしれません。
田原誠次投手の年俸と背番号の推移
次に、田原投手の年俸と背番号の推移ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2020年 | 3200万円 | 変更予定 |
2019年 | 3600万円 | 37 |
2018年 | 3600万円 | 37 |
2017年 | 4500万円 | 37 |
2016年 | 1800万円 | 37 |
2015年 | 1500万円 | 37 |
2014年 | 1300万円 | 37 |
2013年 | 1500万円 | 37 |
2012年 | 700万円 | 63 |
先日の契約更改で、400万円減の3200万円と減俸されていますが、背番号「37」については若林選手が来年から付ける事が決まりましたので、田原選手の背番号は変更になります。
まだ発表されていませんので、何番になるか気になるところですが、当ブログでは背番号の情報を読売巨人軍の2020年背番号はどうなる?2019年は背番号シャッフルが成功?でまとめていっていますので、合わせて確認いただければと思います。
2019年12月5日追記
背番号の発表があり、新人の時に付けていた「63」に決定です!
2020年の田原誠次選手の課題と期待
ここまでデータや過去の成績で田原選手の課題を挙げてきましたが、ここでまとめると
ストレートの被打率 | .346と高いため、被打率.300以下に抑えるよう球威よりもコントロールミスをしない事。 |
カウント別被打率 | 1-1、1-2、2-2と平行カウントや不利なカウントでコントロールミスをしない慎重さを持つ事。 |
GO/AO | ゴロ率が年々落ちており、フライが多くなっているので、基本球威がない田原選手は危ないので、2016年のように丁寧にゴロを打たせる投球をする事。 |
以上の課題の中で、共通するのが「低めにコントロールし、ゴロを打たせる」という、田原選手の原点とも言えるピッチングスタイルを取り戻してほしいと思います。
中継ぎのタイプで言えば、澤村投手や戸根投手のように力で抑えるようなタイプではないので、貴重な存在だと思いますが、冒頭でも書かせて頂いたとおり、巨人には新たなタイプのサイドスローも出てきていますので・・
来春のキャンプに向けて、しっかりとオフを過ごして、競争に打ち勝てるように頑張って欲しいと思います。
以上で、田原誠次選手の課題や期待についてまとめましたが、今後も新しい情報があり次第、更新したいと思いますので、何か情報があればTwitterやコメント頂ければ幸いです。
中継ぎのライバルになる可能性がある投手は??