2019年オフに一般女性の方と結婚し、アジアウィンターリーグへ出場するために台湾入りしている畠世周選手。
持っているポテンシャルは高橋監督の時から期待されていましたが、毎年怪我の連続。
2016年には、ドラフト指名後に右肘の遊離軟骨除去手術、2018年は腰痛、2019年は再び右ヒジの遊離軟骨摘出等の手術を行っています。
ドラフト時の評価は、怪我さえなければ1位候補の一人と言われるほどの実力者です。
首脳陣としては山口俊投手の大リーグ移籍に伴い、ローテーションの柱を期待したいところだと思いますので、2020年に向けたの課題を、過去の成績、球種割合、年俸などのデータから考察していきます。
畠世周選手のプロフィールと成績
まず最初に、畠世周選手のプロフィールですが、
出身校 | 近大広島高福山校→近畿大 |
身長 | 186センチ |
体重 | 82キロ |
近畿大学では、通算46試合に登板、13勝13敗、防御率2.03、216奪三振を記録。
ドラフト指名前に怪我が判明し、手術する事を懸念した他球団が指名を回避する中で、巨人は2016年ドラフト2位で指名。
巨人のドラフト1位は吉川尚輝選手、ドラフト上位2名が怪我持ち・・という事で、不安の残るドラフトでしたが、二人のポテンシャルは球界内でもファンの間でも認めるところです。
また、2016年のドラフト下位指名には、床田寛樹(広島)、小野泰己、才木浩人(阪神)、山本由伸、黒木優太(オリックス)と巨人でも獲得が可能だった選手で、他球団で活躍する選手も多くいますので・・
今回のドラフトが巨人にとって間違いでなかったという事を証明してくれる事を願っています。
畠世周選手の主な投手成績
次に、畠選手の入団後の投手成績ですが、
登板 | 勝利 | 敗北 | セーブ | HP | 勝率 | 投球回 | 本塁打 | 四球 | 三振 | 防御率 | |
2017 | 13 | 6 | 4 | 0 | 0 | .600 | 72.1 | 9 | 23 | 72 | 2.99 |
2018 | 9 | 2 | 0 | 0 | 5 | 1.000 | 9.2 | 0 | 2 | 10 | 2.79 |
2019 | 5 | 0 | 1 | 0 | 0 | .000 | 15.2 | 2 | 5 | 14 | 6.89 |
2017年は前年の手術の影響もあり後半戦から一軍で活躍、主に先発で6勝をあげるなど大活躍、2018年は腰痛の影響もありペナント終盤で復帰し、リリーフとして起用、2019年は先発で期待するも不調と手術で大半を二軍で過ごしていますが・・
2020年は、先発起用がメインで起用されると思いますので、ウィンターリーグで投げれるところをアピールしてほしいところです。
データから、被本塁打率、与四球率、奪三振率を計算したところ、
被本塁打率 | 与四球率 | 奪三振率 | |
2017年 | 1.114 | 2.862 | 8.669 |
2018年 | .000 | 1.862 | 9.310 |
2019年 | 1.149 | 2.871 | 8.420 |
2018年、2019年はイニング数が少ないですが、2017年に近い数字が出ていますので、畠選手の特徴としては、
- 四球率は平均以下で無駄なランナーを出すような制球に困るタイプではない。
- 奪三振能力が高いので、先発、リリーフ両方で起用が可能。
という事が言えそうです。
ちなみに、先発で72イニングという事で、近しい数字だと2019年の高橋優貴投手が93イニングを投げていますので、高橋選手の成績と比較すると、
登板数 | 勝利数 | 負け数 | 防御率 | 被本塁打率 | 与四球率 | 奪三振率 | |
2019 | 18 | 5 | 7 | 3.19 | 1.355 | 4.644 | 8.612 |
全ての数字において、畠選手が上回っていますし、何より高橋選手と違って四球で崩れたり、球数が増えるという事がないのが、最大のアドバンテージだと言えます。
畠世周選手の投球をセイバーメトリクスより分析
次に、セイバーメトリクスから畠選手の分析を行いたいのですが、イニング数の関係で2017年の数字のみの紹介としますが、
被打率 | 被出塁率 | QS | QS率 | FIP | DIPS1 | RSAA | WHIP | 得点圏打率 | 得点圏出塁率 | 得点圏長打率 | 得点圏OPS | 右被打率 | 左被打率 | |
2017 | .206 | .274 | 8 | 66.67% | 3.78 | 3.78 | 5.45 | 1.05 | .220 | .255 | .390 | .646 | .231 | .194 |
注目は、QSが8回で66.67%と高く、先発すればだいたい試合を作ってくれます。
また、右被打率が.250ですが、左被打率が.194と左右で苦にしない事、左に強打者が多い中で右の本格派で左を封じ込める事ができるのは、大きなアドバンテージです。
2019年最多勝の山口俊選手のデータと比較すると、
被打率 | 被出塁率 | QS | QS率 | FIP | DIPS1 | RSAA | WHIP | 得点圏被打率 | 得点圏被出塁率 | 得点圏被長打率 | 得点圏OPS | 右被打率 | 左被打率 | |
山口俊 | .222 | .302 | 18 | 69.23% | 2.79 | 2.79 | 20.63 | 1.16 | .230 | .304 | .309 | .614 | .199 | .242 |
登板数が26試合と、2017年の畠選手の2倍にあたりますが、QSを18回を記録し70%に迫る素晴らしい数字です。
また、RSAAが20.63もあり、山口俊投手が登板すると、点を与えない安心感は大きいですが、出塁率は3割超えを許しています。
それでも、防御率が2点台なのは、得点圏にランナーを進められても、被長打率を抑えられているので、「最少得点で切り抜けられている」事が証明されていると思われます。
畠選手も、山口俊投手に近似値が多いため、一年間怪我なくローテーションを回ることが出来れば、二桁勝利も夢ではないのが、データからも予想が出来そうです。
畠世周選手の球種と投球割合
畠選手の球種は、ストレート、カットボール、スライダー、カーブ、チェンジアップ、フォークを操り、どの球種もレベルが高く、中畑清氏も菅野級の投手と評価しています。
そんな畠選手の投球割合ですが、2017年のデータは
球種 | 投球割合 | 被打率 | 被本塁打 | 被四死 | 奪三振 | 空振率 | 見逃率 |
ストレート | 51.34% | .223 | 8 | 15 | 33 | 9.26% | 19.19% |
カットボール | 18.06% | .208 | 1 | 3 | 17 | 19.62% | 17.22% |
チェンジアップ | 7.43% | .357 | 0 | 0 | 2 | 13.95% | 17.44% |
フォーク | 5.70% | .200 | 0 | 2 | 5 | 10.61% | 3.03% |
スライダー | 15.04% | .079 | 0 | 3 | 15 | 13.22% | 24.71% |
カーブ | 2.42% | .500 | 0 | 0 | 0 | 7.14% | 14.29% |
最速156キロを計測したストレートが半数以上、球威があるストレートだけでなく、カットボールの評判も高く、高い空振り率を誇っています。
最初に父から教わった球種がチェンジアップだったというのですから、自信がある変化球なんでしょう。
しかし、三振はストレートとカットボール、スライダーで奪っているところからすると、チェンジアップはカウントを整えるのに使っているケースが多いのかも知れませんね。
ちなみに、目指す投手像は桑田真澄氏という事で、
「カーブとストレートの緩急や、他の変化球も交えたコンビネーション、タイミングをずらす投球が好きだから」
とストレートでガンガン押していくだけのパワーピッチャーではなく、野球脳の高い投手だという事もコメントからも見て取れます。
畠世周選手の年俸と背番号の推移
次に、畠選手の年俸と背番号ですが、
年 | 年俸(推定) | 背番号 |
2020年 | 1630万円 | 31 |
2019年 | 1920万円 | 31 |
2018年 | 2400万円 | 28 |
2017年 | 1200万円 | 28 |
2018年、2019年は怪我の影響で登板数が減っていますので、年俸が下がってきましたが、結婚を機に守るべき家族も出来たので、ここからは2倍、3倍と上げていってほしいですね。
背番号31は、水野コーチの現役時代に背負った番号ですが、メジャーではマダックスが付けていた事でも知られる番号です。
是非とも、マダックスのように、チームの大黒柱として活躍する先発ローテーションの柱へと成長を遂げて欲しいと心より願っています。
2020年に向けて畠世周選手の課題は?
ここまでデータや過去の成績から畠選手の紹介をしてきましたが、2019年オフは右ヒジの遊離軟骨摘出等の手術をしたので、秋季キャンプには参加せず、二軍で過ごしています。
投球練習はセーブして患部の完治を優先していたようですが、現在では秋季練習でも投げられる状態まで上げてきているのが動画でも分かりました。
60球のうちファウルが16球、空振りも8つと完全復活も近いことを予感させてくれたので、あとはウィンターリーグでしっかりと投げてアピールしてほしいですね。
2020年に向けて畠選手の課題はたった一つ。
「怪我をしない事。」
この一言に尽きるでしょう。
入団時、76キロだった体重も82キロまで増量されて、下半身を中心に体幹もしっかりしてきたように思えます。
フォームを見ても、とてもキレイな投げ方ですし、怪我しやすい体質というところを除けば、不安要素はありません。
この2年、相当悔しい思いをしてきたと思いますし、その悔しさを来季にぶつけてもらって、山口俊選手の抜けた穴を見事に埋める、そんな働きを期待していますので、オフの期間も新婚生活も満喫したいでしょうが、一旦封印して・・
2020年オフの楽しみに取っててもらえたらと思います。
2020年期待の右腕は誰?