2019年の契約更改で1億円に到達した小林誠司選手。
巨人の生え抜き捕手で1億円の大台に到達したのは、村田真一、阿部慎之助に次いで3人目の快挙ですが・・・
村田真一氏、阿部慎之助二軍監督は、正捕手として一時代を築き、監督に代わって優勝を義務付けられた中で、結果を残してきました。
一方で小林誠司選手はというと、入団後はじめての優勝が2019年、しかし2018年オフに西武の正捕手だった炭谷銀仁朗選手をFAで獲得、大城卓三捕手と3人体制を引いて一年を乗り切ったため、正捕手として優勝したとは言えない微妙な感じです。
さらに、入団3年目以降で出場機会はもっとも少ない92試合と物足りない数字の中での1億円到達には、若干の違和感を感じましたが・・
小林誠司選手の評価が「今まで過小評価されてきた」という事で、バッティング面だけでなく、捕手としての能力も総合的に判断しての評価だったという事で、これまでの頑張りが一気に評価されたような形になりました。
小林誠司選手の契約更改でのコメント
小林誠司選手は、契約更改の場で
「僕がまさか、そこまでいけるとは思ってなかったので素直にうれしい。まだ先の人生が長いので貯金したい」
とコメントし、続けて
「守備に関しては、すごく評価をしていただいた。(大幅増に)そこに関しては責任もついてくると思うし、自覚を持ってしっかりやりたい」
と、すでにキャプテンとしてチームを引っ張る自覚も持ちつつあり、真のチームリーダーへと成長が期待できそうです。
小林誠司選手が評価されているポイント
ところで、小林誠司選手の評価が急上昇した理由に「捕手力の評価が上がった」とポイントを書きましたが、捕手力の評価とは何なのか??という事ですが、
→ フレーミングが上手いキャッチャーは評価される?捕手の基本スキルになりつつある?
でも書かせて頂いたのが、お股ニキ氏が捕手の5ツールと呼ぶ
- バッティング
- フレーミング
- ブロッキング
- スローイング
- 野球IQ
5つのスキルの高さで評価が代わってくると思います。
では、小林誠司選手の5ツールを5段階評価した場合はどうなるのか?当てはめていくと
バッティング | 2 |
フレーミング | 5 |
ブロッキング | 5 |
スローイング | 5 |
野球IQ | 4 |
筆者の私見ですが、上記のように評価しました。
バッティングに関しては、侍ジャパン級の捕手と比べると、
試合 | 本塁打 | 打点 | 打率 | 長打率 | 出塁率 | |
梅野隆太郎 | 129 | 9 | 59 | .266 | .393 | .326 |
森友哉 | 135 | 23 | 105 | 329 | .547 | .413 |
會澤翼 | 126 | 12 | 63 | .277 | .439 | .387 |
中村悠平 | 126 | 5 | 36 | .269 | .384 | .373 |
甲斐拓也 | 137 | 11 | 43 | .260 | .387 | .346 |
打力ははるかに劣ってしまいますので、評価は「2」が妥当かと思います。
次の「フレーミング」、「ブロッキング」、「スローイング」ですが、ここが捕手の技術力で差が出やすいところだと思います。
- フレーミングとは、ストライクとボールぎりぎりの球をストライクに見せる高等技術
- ブロッキングは、ワンバウンド投球など後逸しないための技術
- スローイングは送球に関する技術
になりますが、小林誠司選手は
- フレーミングは、NPBでナンバーワンの評価。
- ブロッキングは、守備率の高さからみても、NPB屈指の評価。
- スローイングは、盗塁阻止率がナンバーワンと評価。
それぞれの高評価があるので、捕手力はNPBでもベスト3には入るほどの力量は持っていると、筆者個人としては感じています。
フレーミングはNPBナンバーワン
まず、フレーミングのデータですが、
写真引用 フレーミング評価の基本的な考え方(DELTA社)より
DELTA社独自のデータでは、他の捕手と圧倒的に違いを示しており、NPBで一番ストライクを稼いだ捕手という評価になります。
ブロッキングは捕逸の少なさからNPB屈指
2つ目のブロッキングですが、2019年の守備率ランキングと捕逸、エラーの数ですが、
守備率 | 捕逸 | 失策 | |
會澤 翼 | 0.998 | 2 | 2 |
加藤 匠馬 | 0.997 | 6 | 2 |
中村 悠平 | 0.9954 | 4 | 4 |
梅野 隆太郎 | 0.9953 | 6 | 5 |
小林 誠司 | 0.9949 | 3 | 3 |
伊藤 光 | 0.994 | 4 | 4 |
と、エラーも捕逸も少なく、安定感が光っています。
スローイングはNPBナンバーワン
最後にスローイングですが、盗塁阻止率ランキングは、
小林 誠司 | 0.419 |
若月 健矢 | 0.371 |
梅野 隆太郎 | 0.37 |
田村 龍弘 | 0.347 |
清水 優心 | 0.345 |
甲斐 拓也 | 0.342 |
中村 悠平 | 0.314 |
加藤 匠馬 | 0.286 |
森 友哉 | 0.283 |
會澤 翼 | 0.265 |
伊藤 光 | 0.245 |
と12球団で唯一の0.4台と大台に達し、NPBナンバーワンの成績です。
小林誠司選手の野球IQは高い??
そしてもう一つ「野球IQ」についてですが、お股ニキ氏はキャッチャーというポジションは単なるキャッチングやスローイング、配球を考えるだけでなく、試合の流れを読んだり、打者の傾向や相手チームの采配の傾向などを読んで、シフトや作戦を立てる「チームの司令塔」の役割を果たすと説明しています。
まさに、グランド内で監督として戦術を立てる事になりますので、自チームの状態や投手の状態の見極めまで、幅広い視野と観察力がなければ成り立たないポジションです。
小林誠司選手は、巨人で6年うち100試合以上の出場は3年、2017年WBCや2019年プレミア12では侍ジャパンに選出されて国際試合も経験するなど、豊富な経験を持っています。
入団3、4年目は優勝から遠ざかっていた事もあって、小林誠司選手への批判も多い時期もあり、配球にも解説者から苦言を受ける事もありました。
しかし、それでも腐る事なく、常に前抜きに努力してきた成果が、侍ジャパン選出、年俸1億円到達、FA権取得の結果となっったんだと思います。
小林誠司選手が国内FA権を行使するとどうなる?
ここまで小林誠司選手の評価に繋がっている部分をデータなどを基に紹介してきましたが、実際に小林選手が国内FA権を取得し、行使したらどうなるのか??
市場価値を予測してみたところ、モデルケースになりそうなのは
- 甲斐拓也選手
- 炭谷銀仁朗選手
の2人だと思いました。
一人目の甲斐拓也選手は、年俸6500万から1.1億へアップ、小林誠司選手よりも打力が上なので1000万の開きはありますが、守備力にも定評があるので、市場価値としては同レベルと思いました。
そして二人目の炭谷銀仁朗選手は、打撃が得意ではない中で守備を買われてWBCでも活躍、西武の正捕手を長く務めてきた経験もあり、小林誠司選手と境遇や成績も似ていると思いました。
甲斐拓也選手は、2020年も攻守両面で活躍し、東京オリンピック出場が叶えば、1.5~1.8億近くまでアップする可能性は十分あると思います。
そして、炭谷銀仁朗選手は、年俸1.5億の3年契約を結んでいますので、小林誠司選手も順調に出場試合を重ねれば、1.5億以上で複数年契約は十分あり得ると思います。
FA選手との契約は、一般的には複数年契約を結ぶことが多いので、小林誠司選手の市場価値は
- 2~3年の複数年契約、年俸1.5~1.8億前後
は、十分見込めるのではないか??と予測します。
もしくは、巨人が先手を打っていて、1億円契約がすでに複数年契約(3年前後)、プラス出来高払いなどのオプションも用意しているのでは??とも予想されます。
その場合は、国内FA権は行使せず、巨人残留となりますが・・
果たして、国内FAで巨人から移籍するのか??それとも巨人残留はすでに既定路線なのか??2020年オフまで楽しみにしておきましょう。
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